オリジナル小説【KURAMA天狗】『動乱・下』

オリジナル作品「KURAMA天狗」ノベル版をtwitterにて公開する試みです。『動乱』『狗喰』『罪戻』『修羅』の作品から、『動乱・中』としてまとめたリストです。 誤字脱字もありますが暫定版としてご容赦下さい、感想も@unicornbtnあてにお待ちしております。 『前日譚』はこちら→http://togetter.com/li/492579 『動乱・上』はこちら→http://togetter.com/li/493004 『動乱・中』はこちら→http://togetter.com/li/493378
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ユニコーン事業本部@夏は休暇 @unicornbtn

【KURAMA天狗】本日は時間のあるうちに『動乱・中』をまとめました →http://t.co/hz2F9qB5O7 予告。今夜19:30~20:00に『動乱・下』をリアルタイムツイートします。一鬼と秘密をかかえる鈴丸のゆくえやいかに!ご期待下さい。  #KURAMA天狗

2013-04-26 09:37:02
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【KURAMA天狗】昨日までの話。傷だらけの少年・鈴丸を保護した鍛冶屋の一鬼。日が経つにつれ、鈴丸の体は回復しふたりの距離は縮まりつつあった。そんなある日のこと、浮浪児を探す旅芸人の噂を聞く。「あいつらだ…」鈴丸はつぶやいた。→http://t.co/hz2F9qB5O7

2013-04-26 19:22:49
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【KURAMA天狗】まもなく、『動乱・下』をリアルタイムツイートします。 『動乱・中』、これまでの話はこちら→http://t.co/hz2F9qB5O7 今夜が『動乱』も佳境です!どうぞ、20:00までお付き合いください。 #KURAMA天狗

2013-04-26 19:24:32
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【動乱・下#1】虫音が響く夜。「――っっ!」鈴丸は飛び起きた。思い出す、いろいろ。もう、何か月も前のこと。『死ぬなよ、鈴丸――』夢の中で死んでいった兄者の姿がよみがえった。 『お前だけは逃げろ』腹からは吹き出す血を抑えられない。へたりこみ、懐から取り出した巻物。

2013-04-26 19:34:34
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【動乱・下#2】『任せたぞ』そう言い残し、悲しそうに笑った。鈴丸はぎゅうと布団を握る。ぐごお、隣で一鬼がいびきをかいていた。……浮浪児を探しているという旅芸人。奴らだ――。兄を殺した奴――。巻物を追ってわたしを追ってきたに違いない。何も知らない一鬼に迷惑をかけられなかった。

2013-04-26 19:36:13
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【動乱・下#3】物音を立てないよう細心の注意を払ってほこりが積もった止め板を外す。普段の生活では、逆に目に入るあまりに気づきにくい。(あった…武具だ)鈴丸はこれまでの生活に思わず笑みがこぼしてしまった。(――最初は空家と思ったぜ……)けれど雑念を振り払うように首を振る。

2013-04-26 19:37:32
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【動乱・下#3】物音を立てないよう細心の注意を払ってほこりが積もった止め板を外す。普段の生活では、逆に目に入るあまりに気づきにくい。(あった…武具だ)鈴丸はこれまでの生活に思わず笑みがこぼしてしまった。(――最初は空家と思ったぜ……)けれど雑念を振り払うように首を振る。

2013-04-26 19:37:32
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【動乱・下#4】鈴丸は大事そうに巻物を懐にしまった、その時!「なにしてんだい、鈴丸」「なっ」鈴丸は一鬼の前にすっと指を二本出した。「一鬼さん、世話になったぜ」「は…」力が抜けたようにへたりと倒れこむ一鬼。何が起こったから理解できないように目を白黒させている。幻術だった。

2013-04-26 19:38:33
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【動乱・下#4】鈴丸は大事そうに巻物を懐にしまった、その時!「なにしてんだい、鈴丸」「なっ」鈴丸は一鬼の前にすっと指を二本出した。「一鬼さん、世話になったぜ」「は…」力が抜けたようにへたりと倒れこむ一鬼。何が起こったから理解できないように目を白黒させている。幻術だった。

2013-04-26 19:38:33
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【動乱・下#5】「わりい、明日には戻ってるから」タッ――鈴丸は振り返らなかった。目的地は雑賀。そこにならきっと助けが居る。巻物には『風魔一族秘伝之書』の文字。夜風が鈴丸の頬をなでた。(一鬼さん、迷惑かけらんねえ。兄者みてえに殺されちまうよ)

2013-04-26 19:39:45
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【動乱・下#5】「わりい、明日には戻ってるから」タッ――鈴丸は振り返らなかった。目的地は雑賀。そこにならきっと助けが居る。巻物には『風魔一族秘伝之書』の文字。夜風が鈴丸の頬をなでた。(一鬼さん、迷惑かけらんねえ。兄者みてえに殺されちまうよ)

2013-04-26 19:39:45
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【動乱・下#6】「わりい、おいらのことは忘れてくんな」タッ――鈴丸は振り返らなかった。目的地は雑賀。そこにならきっと助けが居る。巻物には『風魔一族秘伝之書』の文字。夜風が鈴丸の頬をなでた。(一鬼さん、迷惑かけらんねえ。兄者みてえに殺されちまうよ)

2013-04-26 19:42:13
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【動乱・下#6】「わりい、おいらのことは忘れてくんな」タッ――鈴丸は振り返らなかった。目的地は雑賀。そこにならきっと助けが居る。巻物には『風魔一族秘伝之書』の文字。夜風が鈴丸の頬をなでた。(一鬼さん、迷惑かけらんねえ。兄者みてえに殺されちまうよ)

2013-04-26 19:42:13
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【動乱・下#7】「兄者のように強くなりてぇ!」「十年早いね」忍者の風体をしたかつての鈴丸の姿がそこにあった。そこは江戸から少し離れた集落。歴史から忘れ去られた末裔。――そう、彼らは現代に生きる忍者、風魔一族!! 風魔の魂を受け継ぐ者たち。「いつか兄者に勝ってやらぁ」鈴丸は笑う。

2013-04-26 19:44:55
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【動乱・下#7】「兄者のように強くなりてぇ!」「十年早いね」忍者の風体をしたかつての鈴丸の姿がそこにあった。そこは江戸から少し離れた集落。歴史から忘れ去られた末裔。――そう、彼らは現代に生きる忍者、風魔一族!! 風魔の魂を受け継ぐ者たち。「いつか兄者に勝ってやらぁ」鈴丸は笑う。

2013-04-26 19:44:55
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【動乱・下#8】その瞬間は、突然だった。「日本と同じようにこの集落も、変わらなくてはいけない。じゃろう?」族長はニタリ告げた。一族はそれまで守り伝えてきた秘術を、再び世に持ち出したのだ。繰り返される略奪行為。堕落していく風魔一族の誇りは、ずたずたに引き裂かれた。「俺は風魔を守る」

2013-04-26 19:46:56
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【動乱・下#8】その瞬間は、突然だった。「日本と同じようにこの集落も、変わらなくてはいけない。じゃろう?」族長はニタリ告げた。一族はそれまで守り伝えてきた秘術を、再び世に持ち出したのだ。繰り返される略奪行為。堕落していく風魔一族の誇りは、ずたずたに引き裂かれた。「俺は風魔を守る」

2013-04-26 19:46:56
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【動乱・下#9】「来てくれるな」「おうよ」互いに泣き出しそうになる感情を必死で抑えて笑った――。雨降る集落から二人は逃げ出した。「裏切り者に死を」二度と帰れない。鉄砲を使った最強集団の雑賀衆ならば、きっと巻物を守る術がある……。そう信じて旅に出た。

2013-04-26 19:48:31
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【動乱・下#9】「来てくれるな」「おうよ」互いに泣き出しそうになる感情を必死で抑えて笑った――。雨降る集落から二人は逃げ出した。「裏切り者に死を」二度と帰れない。鉄砲を使った最強集団の雑賀衆ならば、きっと巻物を守る術がある……。そう信じて旅に出た。

2013-04-26 19:48:31
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【動乱・下#10】『死ぬなよ――、鈴丸』頭をよぎる兄者の死顔を振り払うかのように前へ前へと風を切って進んでいく鈴丸。「わたしは風魔一族だ!」希望はそれだけだった。「いたぞ!裏切り者だ!」「……くぅ」思ったよりもずいぶんと早く見つかったようだ。鈴丸は焦った。聞き覚えの声もする

2013-04-26 19:51:07
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【動乱・下#10】『死ぬなよ――、鈴丸』頭をよぎる兄者の死顔を振り払うかのように前へ前へと風を切って進んでいく鈴丸。「わたしは風魔一族だ!」希望はそれだけだった。「いたぞ!裏切り者だ!」「……くぅ」思ったよりもずいぶんと早く見つかったようだ。鈴丸は焦った。聞き覚えの声もする

2013-04-26 19:51:07
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【動乱・下#11】かつて共に修行した里の者たち。だが、その魂に風魔の誇りはない。四方から飛ぶクナイをよけきれない。「…ッ!」鈴丸は何度も立ち上がる。すっと抜かれた日本刀に、小刀でどこまで応戦できるか。鈴丸は息を整えた。キィィン!ガギィィン! 「小癪なぁぁ」交差する刃が力を比べ合う

2013-04-26 19:54:22
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【動乱・下#11】かつて共に修行した里の者たち。だが、その魂に風魔の誇りはない。四方から飛ぶクナイをよけきれない。「…ッ!」鈴丸は何度も立ち上がる。すっと抜かれた日本刀に、小刀でどこまで応戦できるか。鈴丸は息を整えた。キィィン!ガギィィン! 「小癪なぁぁ」交差する刃が力を比べ合う

2013-04-26 19:54:22
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【動乱・下#13】ガッキ――。(いける!)そう思った瞬間、キンッ……。鈴丸の完治していない腕に力が入らなかった。「……しまっ」「死ねえッ――!」 死を覚悟した、刹那。バキュゥゥン―――ッ。銃声が真空を切り裂いた。「だれだっ!」銃が放たれた方向には、バイクにまたがった男がひとり。

2013-04-26 19:55:56
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【動乱・下#13】ガッキ――。(いける!)そう思った瞬間、キンッ……。鈴丸の完治していない腕に力が入らなかった。「……しまっ」「死ねえッ――!」 死を覚悟した、刹那。バキュゥゥン―――ッ。銃声が真空を切り裂いた。「だれだっ!」銃が放たれた方向には、バイクにまたがった男がひとり。

2013-04-26 19:55:56