いくら既存の罹患率データなどをこねくり回しても、それだけではスクリーニング検査の有病率を出すことはできましぇん

何だかねえ、とずっと思っていたのですが… そもそも有病率調査って、リスク因子曝露の影響を解析するには不向きなもので、大事なのはその後の(有病率調査と同一条件での)新規罹患者の増加傾向がどうなっているかです。 で、ここでまとめを作成した意図は、「数値が正しいか否か」ではなく、「どういった前提で何がわかればどこまでわかるのか」を整理しておこう、ということです。
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地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

甲状腺癌の有病率云々という話がいろいろ出ているけど、やっぱ津田氏のこれはまずいよなあhttp://t.co/v3J91Nb4qW 小児甲状腺癌で有病率≒平均罹病期間×罹患率(発生率)は成立しないっぽ。この式が成立するのは「定常状態」を仮定できるとき。

2013-04-27 13:32:38
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

これについては、片瀬さんのブログwarblerの日記 http://t.co/abMwosmT7M や、yoka72さんのまとめhttp://t.co/y8sjQ7T4rq などが参考になります。

2013-04-27 13:34:45
まとめ 福島県での甲状腺がん検診の結果に関する考察 ver.3.02 岡山大学大学院・津田敏秀氏 に関しての考察 福島県での甲状腺がん検診の結果に関する考察 ver.3.02 岡山大学大学院・津田敏秀氏 http://www.kinyobi.co.jp/blog/wp-content/uploads/2013/03/fefc48e1bcaef4b4191bb12c61f176731.pdf に関して考えてみました。素人考えですので誤りがある可能性が多分にあるのでご注意ください。 【同文書にあわせた各数値】 有病率(10万人当たり):約7.87名 平均有病期間:7年 発生率(罹患率、10万人・年当たり):約1.124人 ポイント①:発生率一定という原則から考えれば、有病率を7.87名とした時点で『発生率=有病率(7.87名)÷対象群の平均年齢』 となるが、これはこの文書による平均有病期間7年とは矛盾する。 ポイン.. 4857 pv 41 1 user
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

ちなみに、http://t.co/7xVqpVk3pt のまとめの本体ではなくてコメント部分、特にNATROMさんとkentarotakahash さんのコメントは参考になります。

2013-04-27 13:35:34
まとめ 福島の小児甲状腺ガンが意味するものを、スクリーニング効果までふまえて考えてみる。 罹患率・有病率などの言葉の定義や、チェルノブイリの知見に立ち返って考えてみました。正直この問題はもうこれで終わりにしたいです。 コメント欄のNATROMさんとのやりとりから、ぷりりんさんの表に関する補足説明を追加しました(※) 平均有病期間に関するマキリンさんのまとめと、チェルノブイリにおけるスクリーニング効果に関するみーゆさんのツイートを追加しました。 48188 pv 597 14 users 16
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

まあ、いろいろ説明はできるけど、私はより直観的に考えてみようと思います。http://t.co/LoEI1qAvwlの最後のページのスライドを引用。 http://t.co/grYn2iqsm0

2013-04-27 13:36:50
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地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

有病者数をXとすると、有病者の時間経過に伴う変化はdX/dtで表され、それは罹患者の増加(=I)と治癒や死亡による有病者のウォッシュアウト(=kX)の差で、dX/dt=I-kXとなる。kはあるX人の集団中のある割合kがXから脱落する確率、ということでこの逆数が平均罹病期間。

2013-04-27 13:37:20
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

定常状態とは、結局この図の有病率が一定であるということ。つまり、dX/dt=0が成立するので、I-kX=0が成立する、という事で、この場合X=1/k×I、即ち有病率=平均罹病期間×罹患率が成立する、ということ。逆に、dX/dt≠0のときは、この公式は適用できない。

2013-04-27 13:37:49
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

次、罹患率から有病率なんて説明できない、ということについて。NATROMさんのブログhttp://t.co/3C8lHfEpe3 がよい説明になっている。ちなみにここでは累積という言葉は使っていないが、累積でも同じこと。

2013-04-27 13:38:23
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

これをちょっと別の角度から説明してみようと思う。甲状腺癌がこの図のような推移を示すと仮定。実際には、途中進行速度が変わるものもあるだろうし、発症時期が同じである必要もないが、以下の考察に影響はしない。 http://t.co/m8x310HRVk

2013-04-27 13:39:09
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地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

全くスクリーニングをしないで、自覚症状が出るまで放置プレイ、という状況を考えれば、レッドゾーンまで行ってしまった例だけが「甲状腺癌患者」とされる。例えば、t1の時点ではレッドゾーンの例数はゼロなので、スクリーニングをすれば無限大に増えたことになる

2013-04-27 13:39:34
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

一方、t2の時点ではレッドゾーンの症例が存在するので、前ツイの仮定(基本放置プレイ)に基づいて考えると、スクリーニングをした場合の有病率はスクリーニングしない場合の有病率の有限の値倍の数値になるが、それがどれくらいかは「スクリーニングをやってみなければわからない数値」。

2013-04-27 13:40:43
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

ちなみに、スクリーニングをしない場合は罹患率は単位時間当たりにどれだけレッドゾーンに行った症例がいるか、を表すことになる。治療によっても完治しなければ(かつ死亡がほとんどなければ)、時点tまでの累積罹患率は時点tでの点有病率に等しい。

2013-04-27 13:41:13
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

ただ、治癒したかどうかの判定はある意味「恣意的」で、癌の場合は例えば5年間とか10年間再発なし、ということで決めていたりするけど、それは医療上の都合で決められた数値であって、「生物学的に」治癒しているかどうかと必ずしも一致しない。

2013-04-27 13:42:36
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

それでは結局、レッドゾーンの症例とイエローゾーンの症例がどれだけいるか、ということによってスクリーニング効果は決まるといっていいのか、というと必ずしもそうではなかったりする。

2013-04-27 13:43:31
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

なぜかというと、そもそも「甲状腺癌を見つけよう」という目的でない検査(他の甲状腺疾患とか、成人の場合には乳癌検診とか)でたまたま見つかってくる症例というのが結構多いので現状でもイエローゾーンの患者が見つかっている。http://t.co/K99UZsN4p3

2013-04-27 13:43:55
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

従って、イエローゾーンの患者が定常的にどれだけ(偶然に)見つかっているかによって、スクリーニング効果というのはある程度見積もることができるとは思われるかど、別にそれは世界共通で一定なわけではない。

2013-04-27 13:45:02
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

甲状腺の超音波検査の受診率は他の甲状腺疾患の罹患状況に影響する因子、例えばヨウ素欠乏状況などによっても影響を受けるし、その他の医学的、非医学的要因(経済状況など)によっても変わる。

2013-04-27 13:45:27
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

なので、このツイートの記述は正しいhttps://t.co/qQMn3rc1bL としても、このまとめの本体の考察は正しくないhttp://t.co/7xVqpVk3pt

2013-04-27 13:45:53
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

チェルノブイリで子供がもともと受けていた甲状腺検査の受診率と、日本の子供の甲状腺検査の受診率が同じ、という前提が成立しているかどうかの検討なしにチェルノブイリでのスクリーニング効果による数値を日本のデータに当てはめてはいけません、ということ。

2013-04-27 13:47:05
地下楽師@Ph.D @tonkyo_Vc

なお、こういった数値などデータ不足の現状では前提の置き方で如何様にでもなるので、現時点で誰の数値が正しいとか間違っているとか議論するのは単に不毛だし、それを盛んに騒いでいる人たちは被災者のことなどどうでもよいと思っているのではないかと思われ(個人的感想)。

2013-04-27 13:48:14