『リンカーン』の感想
リンカーン観たけど、ダニエル・デイ=ルイスの演技が圧倒的だった。それに尽きる。もう『ザ・マスター』の2人が霞むくらい。少し猫背で、物静かな雰囲気の中に揺るぎのないカリスマ性と強烈な意思を内在させる圧倒的な存在感。演出なんだけど、彼が口を開くたびに周りが静かになるのも納得できる。
2013-04-28 01:17:23言葉を発するたびにそれが演説になってるというか。ユーモアといい、説得の際に用いるメタファーだったり、すべてにおいて知的で熱量もハンパじゃない。相手の肩だったり、膝だったりを力強く叩くシーンがすごく印象的。
2013-04-28 01:21:57修正第13条の可決が彼にしか成し得なかった偉業であることを彼の演技力のみで納得させてしまうんだからすごい。逆に、ダニエル・デイ=ルイスがリンカーンをやってなかったらどんなことになってしまってたか想像するだけで恐ろしい。たしか、リーアム・ニーソンも候補にあがってたんだっけ?
2013-04-28 01:30:43ストーリーはイマイチだったか。南北戦争とかリンカーンの話はアメリカ人にとって言わずもがななのかもしれないけど、まずリンカーンがなぜあそこまで奴隷制廃止に入れ込んでいたのかとか説明がまったくないんだよね。もちろん今の価値観でいえば、奴隷制がありえないことは当たり前なんだけど…
2013-04-28 01:35:02たしか高校の世界史ではすでに奴隷制を廃止していたイギリスが連合国側に肩入れするのを防ぐためだったとか、共和党の支持者が資本家やら労働者が多かったからとか、そういう政治的な理由は習ったんだけど、そういうリンカーンの個人的思い入れとかはよくわかんないんだよね。
2013-04-28 01:38:45唯一奴隷制廃止を推し進める納得する理由があるのがトミー・リー・ジョーンズ演じるスティーブンスだったんだけど、他の共和党の人たちもなんであんな奴隷制をやめたがってたのかがさっぱりわからん。ほんとに「黒人にも人権が…」って理由だけなのか?当時の価値観がよくわからんからなんともねぇ…
2013-04-28 01:44:57なんか息子が戦争に行くとか行かないとかいう話も回収されないままじゃなかった?僕が見落としてただけ?リンカーンが戦争をさっさと終わらせるか13条の可決を優先させるかで葛藤するのに必要な演出だったのはよく分かる(「息子まで戦争に行っちゃったら…」ってことね)んだけど、結局どなったのよ
2013-04-28 01:49:52あと、向こうの時代劇特有の問題なんだけど、主要人物がみんな白人で同じような顔や髪型してて服装も似てるから誰が誰やらよくわからなくなるんだよね。今回は登場人物が多いからなおさら…もう一回くらい観ないとすべてを把握できないかも。
2013-04-28 01:53:30けど、美術は最高だったね。ほんとに19世紀なんじゃねーかってくらい服装やら小道具やら部屋の内装が完璧だった。キューブリックの『バリー・リンドン』にも匹敵するこだわり。どんだけリサーチしてお金かけてやったんだろか。もうその細部を観てるだけで満足できちゃうほど凝ってる。
2013-04-28 01:57:16さらにヤヌス・カミンスキーの撮影も冴え渡ってた。全体的に照明が暗いところなんかは時代的なものを考えてなのか。『ミュンヘン』も素晴らしかったけど、今回はそれに匹敵する完成度だと思う。とにかく美術が素晴らしいからね。これならどこから撮ってもいい絵になるだろ…ってのは言いすぎか。
2013-04-28 02:06:01だから、ダニエル・デイ=ルイスの演技&部屋の内装や小物といったところが最大の魅力になってるというのが僕の結論です、はい。ながながと失礼しました。けど、スピルバーグは『戦火の馬』から2本続けて時代劇だから、そろそろSFとか撮ってほしいね。
2013-04-28 02:07:52