もちころな時間

ひとりもちころ祭りの一幕。 『時間線上の呼声人』辺りと同じ時間軸・物語設定で何かやってます。 『時間線上の脇役達』を読んだ後にこっち読むとちと幸せになれる…かも。
もちこーぅ!
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だいけ ”夢送人”という字名を名乗るも、 @daike000
【1】「あー、あのお餅、どこ行ったんだー?」一台の自転車が街を走っていく。
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【2】「何か今日はやけに暑いしなー。どこかで干乾びたり固まってたりしなけりゃいーんだけど」暦の上では秋と言えども残暑厳しく、自転車乗りの全身は既に汗に塗れていた。
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【3】「…全く、だから勝手に出歩くなっつったのに。…っと、電話か。誰だ?」ジーンズのポケットから携帯を取り出す。「…非通知?」
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【4】普段なら怪しくて無視するが、しかし今は妙に焦る何かがある。「…あのお餅に関する電話かもしんねーし…。あー、もしもし?」
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【5】『屋上で?番長グループの呼び出し?』無機質で中世的な感じの声。自転車乗りは速攻で電話を切った。
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【6】また携帯に着信。「…非通知。しつけーな…」無視して、自転車を走らせる。太陽がだんだんと傾いていく。街はそろそろ、夕方に差し掛かるようだった
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【7】その頃、当のお餅は穴にハマっていた。傍目には、アスファルトから顔だけが生えている状態であった。
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【8】状況は単純だ。道をテキトーに歩いていたら、マンホールに落ちた。…いや、落ち切る前に顔が引っかかった。ぽよん、と
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【9】「も゛ち゛こ゛ーぅ゛…」お餅は必死に助けを求めるべく、声を上げる。陽光に焼けたアスファルトがお餅の白い肌を焼く。このままでは煎餅かおこげになってしまうのは明白だった。
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【10】そこに、人が通り掛った。親子連れだった。「あ、見てみておかーさん、あそこに何か白いのが…」「しっ、ダメよ見てはいけませんよ?」そそくさと、その場を立ち去るというお約束っぷりを間のあたりにして、お餅は落胆した。そしてまた、声を上げる。「も゛ち゛…」
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【11】次に、また誰かが通り掛った。自称淑女、過去には縞々で一世を風靡したお方である。
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【12】「あー、これ何だっけ。見覚えがある」淑女の言葉に、お餅は顔をぷるぷると震わせて、「もちこーぅ…」と呟いた。見た目にも分かるほど、お餅は衰弱していた。いや、乾燥し始めていた。
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【13】「ははは、何かこう、抱き上げたいなコレ」淑女はお餅に抱きついた。そして、両腕に力を込めて、抱き上げ、――
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【14】「さっきの白いの何だったのかなー?」という少年の声を耳にして、自転車乗りは急ブレーキを掛けた。そして親子連れに話を聞いた。「全く、心配かけさせやがって…」目的地を目指して、車輪を回す。――全速力で。
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【15】「あれ、何か、こう、喉が渇くなぁ…」淑女がお餅の顔に手を回した瞬間、妙な感覚が走った。まるでこの夏の日差しの下、全力疾走させられたかのような感覚。だが、汗の一つすら掻いてなどいない。――喉が、喉が、喉が、
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【16】「え、何コレ…?」その場を通り掛ったエフィは、恐ろしいモノを見た。猫とも犬ともつかぬ動物が、一瞬で乾いて、そしてミイラ化する瞬間を。「…あはは、暑くって疲れてて、だから見間違いだよねー?」その脇を抜けようとして、しかし、「もちこー…」妙な声が聞こえて、そして地面が傾いた。
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【17】「うへぇ、何じゃこりゃあ…」自転車乗りが現場に辿り着いた時、お餅は既に煎餅と化してアスファルトに広がっていた。その周囲、彩りのごとく、動物やら人間やらが乾燥状態で転がっていた。「…お餅め、ホラーだぞオイ…」
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【18】「水分やんねぇとマズいなコレ…」自転車乗りは冷静だった。そして背負ったバッグからペットボトルを取り出そうとしたところで、「…もちこーぅ」酷く嫌な予感が、
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【19】「あー、ヤバ。俺、今汗だくじゃねぇか…っ!」お餅は多分水分を求めている。煎餅になりたくない、と本能が抗っているのだろうか。だから今は、「――逃げるに限るっ!絶対助けてやるかんな!絶対に!」
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【20】「…危ねえな。ギリギリだった。守備範囲が狭いのが幸いだったか。…ぉ?」自転車で全力逃走を図った自転車乗りは、見覚えのある顔とすれ違った。「よぉ、ルイス。…ちょっと助けてほしーんだが」
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【21】自転車乗りが軽く状況を説明すると、ルイスは腕を組んで、「迂闊に近付くのは危険だね。うーん、車とかなら大丈夫かな…?」やっぱ頼りになるなー、と自転車乗りは思った。遠く、お餅の新たな犠牲者らしき者の悲鳴が聞こえたが、2人とも無視した。
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【22】「そーいう訳で、テリアさんだ。週末F1乗りの頼りになる御仁だよ」爆音を立てて、凄いのが現れた。真っ赤なF1カーであった。
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【23】「あぁどーも」1人乗りの運転席、赤ヘルメット姿が頷いたのが分かった。そして当然のごとくリアウイングにしがみ付くルイスを見て、自転車乗りは尋ねた。「えーっと、そこ定位置?」ルイスが楽しげな笑みを見せた。
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【24】「よぉぉぉぉーし、それじゃ行くぞ!」威勢良い声を張り上げるルイスの声は、爆音に掻き消された。気持ちの良いくらいの加速。一瞬にして遠ざかって行く。「あー、いっちまった。…追いかけるか」視線の先、赤が交差点でドリフトを決めた。――何かが慣性の法則に従ってまっすぐ飛んでいった
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