「対立しつつ調和する労使」―松下幸之助ちょっといい話
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【今日は何の日 5月1日】今日は「May Day」。1886年のこの日、米国の労働者が「8時間の労働、8時間の休息、8時間の教育」を叫びストライキ、デモ。3年後の第2インターナショナル創立大会で、この日が<万国労働者団結の日>となり、翌年、第1回メーデーが開催されています
2013-05-01 07:14:33【対立しつつ調和する労使 1】終戦直後の民主化の波のなか、各地で労働組合が生まれていました。昭和21年1月、松下電器労働組合が結成され、その結成大会が開かれることになりました。「社長として祝辞の一つも言わねばなるまい」 そう考えた松下幸之助は、当日、会場へと出向きます。
2013-05-01 11:56:35【対立しつつ調和する労使 2】しかし、祝辞を述べたいという幸之助の希望は、すぐに容れられません。「少々お待ちください。みんなと相談しますから」 議長が会場に向かい、幸之助の祝辞を受け入れたものか賛否を問うと「やめとけ」「いいから聞いてやれ」と、会場は騒然となります。
2013-05-01 11:59:24【対立しつつ調和する労使 3】それでも、「とにかく話させてやれ」と、大方の賛意が得られ、幸之助はようやく登壇を許され、話をはじめました。
2013-05-01 12:02:09【対立しつつ調和する労使 4】「これからの日本は、破壊された状態から復興へと立ち上がる大切な時期だ。労働組合の誕生は真の民主主義に基づく新しい日本を建設する上において、非常に喜ばしいことであり、私は心から祝意を表したい」
2013-05-01 12:02:42【対立しつつ調和する労使 5】「私は基本的には労働組合に賛成するものである。組合ではいろいろなことが決議され、また会社に対して提案や要望も出てくるであろう。それが国家国民のため、皆さんのためになることであれば、喜んで聞いていこう」
2013-05-01 12:04:14【対立しつつ調和する労使 6】「…けれども聞くべきでないことは聞かない。そしてともどもに力をあわせて日本再建に努力して行こうではないか」 3分間ほどの短い祝辞でしたが、会場からは割れんばかりの拍手が起こります。
2013-05-01 12:04:54【対立しつつ調和する労使 7】その晩、来賓として出席していた社会党の代議士が訪ねてきて、幸之助にこう言いました。
2013-05-01 12:05:14【対立しつつ調和する労使 8】「私は長いあいだ労働運動を続け、ずいぶんたくさんの労働組合をつくってきたが、どの組合でも社長、経営者の悪口を言っているし、経営者のほうでも労組の結成式などには出てこない」
2013-05-01 12:06:07【対立しつつ調和する労使 9】「しかし、あなたは敢然として出席し、満場の拍手喝采を受けて引き上げた。全国の会社を回っているが、労組の結成大会に経営者はまず出てこない。こんなことはあなたがはじめてだ。私は非常に感銘を受けた。だからこうして来たのだ」
2013-05-01 12:09:46【対立しつつ調和する労使 10】後に松下幸之助はこういっています。「労使の関係は、常に“対立しつつ調和”するという姿が望ましいと思います。つまり、一方でお互いに言うべきは言い、主張すべきは主張するというように対立するわけです」
2013-05-01 12:10:33【対立しつつ調和する労使 11】「しかし、同時にそのように対立しつつも、単にそれに終始するのではなく、一方では、受け入れるべきは受け入れる。そして常に調和をめざしていくということです」
2013-05-01 12:11:09【対立しつつ調和する労使 12】「このように、調和を前提として対立し、対立を前提として調和してゆくという考えを基本に持つことがまず肝要だと思います。そういう態度からは必ず、よりよきもの、より進歩した姿というものが生まれてくるにちがいありません」
2013-05-01 12:11:47