中野毅 (@ts_nakano)氏による、島薗進氏の『つくられた放射能「安全論」論』書評

中野毅(@ts_nakano)氏が、島薗進『つくられた放射能「安全論」論』に関する書評を連続ツイートし、それを島薗進氏が連続ツイートで紹介しました。 中野氏のツイートと、島薗氏のツイートなどをまとめました。
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中野毅 @ts_nakano

島薗進評1:『つくられた放射能「安全論」論』河出書房新社、2013年を読む。福一原発放射能漏出で多くの住民が被爆・避難を余儀なくされたが、低線量被曝リスクは100mSv/年以下では科学的に証明不可、子供でも「20mSv/年ならば許容できる」という安全論が繰り返された。

2013-04-29 22:48:41
中野毅 @ts_nakano

島薗評2:宗教学者であるがかつて医学を志した著者は、この事態に疑問を感じ、誰が、如何なる背景と意図で、安全言説を流し続けているのかを、著者の人文学的リテラシーを応用して解明。特に80年代以降の放影研、電中研、放医研、長崎大学医学部、笹川チェルノブイリ医療協力の動向を精査。

2013-04-29 22:48:56
中野毅 @ts_nakano

島薗評3:これらが広島・長崎の米国原爆被害調査機関ABCCを引き継ぐ国内機関であり、疫学調査はするが治療はせずという基本姿勢に貫かれていること、そこに関係する集団が現在も政府の原子力政策や放射線被爆問題に深く関わり、安全・安心言説を流し続けていたことを突き止めた。

2013-04-29 22:49:12
中野毅 @ts_nakano

島薗評4:山下俊一、長崎大教授、重松逸造、元海軍軍医、元放影研理事長)、神谷研二(広大原放医研所長、福島医大副学長)、長瀧重信(長崎大医学部長、放影研理事長等などの東大や長崎大の医学部における師弟関係にある集団である。

2013-04-29 22:49:24
中野毅 @ts_nakano

島薗評5:原発推進の既得権益集団・原子力ムラは、電力各社、経産省など省庁、原子力関連研究者等だと指摘されてきたが、住民の健康被害に直接かかわり、被災地でも専門家として期待された自称科学者集団が、実は原発推進の隠れた当事者であったことを筆者は改めて暴露したのである。

2013-04-29 22:49:37
中野毅 @ts_nakano

島薗評6:諸関係者の講演、記事、主張などの諸言説を集めて突き合わせ、隠された意図や背景を分析・解説して行く著者の人文学手法を駆使して、安全神話の形成過程を暴露した。最後に自然科学と人文社会科学との相互交流、相互批判を深める必要性を主張する。その主張には大いに賛同する。

2013-04-29 22:49:53
中野毅 @ts_nakano

島薗評7:著者は東京大学教授で日本学術会議委員という学界の最高権威機関の一員でありながら、大学と学術会議のあり方、同僚の科学者たちも批判の遡上に乗せた。その意味で、本書や彼の活動が持つ社会批判、学術界批判、現代日本の科学への批判として、大きな意義がある。

2013-04-29 22:50:05
中野毅 @ts_nakano

島薗評8:問題点としては、著者の方法論の言説分析だけでは不十分な印象。戦前からの原爆開発との関連性、原子力開発を国策として進めた権力構造などの社会学的分析、歴史的背景の精査なども必要であろう。詳細は、できたての拙ブログを参照されたい。http://t.co/QRqOndFmWi

2013-04-29 22:51:29
中野毅 @ts_nakano

1月以来の懸案だった島薗進さんの著書について、書評らしきものをつぶやいた。ツイッターでは語りきれないので、ついでに長年の懸案だった自分のブログを開設。http://t.co/DbdSJMBeX8 「中野毅の朝風呂」です。使っている朝日ネットのブログがアサブロなので。

2013-04-29 23:09:22
島薗進 @Shimazono

『つくられた放射線「安全」論』中野毅教授(創価大)書評。以下のブログ→ http://t.co/smWAi15uDU 「80年代以降の放射能影響研究所(放影研)、電力中央研究所(電中研)、放射線医学総合研究所(放医研)、長崎大学医学部、笹川チェルノブイリ医療協力などの動向を精査」

2013-05-01 09:03:37
島薗進 @Shimazono

『つくられた放射線「安全」論』書評 http://t.co/smWAi15uDU 「被災地でも専門家として期待された自称科学者集団が、実は原発推進の隠れた当事者であったことを、筆者は改めて暴露」「90年代後半からは、低線量被爆は健康にむしろ有益であるという「安全論」が広められた

2013-05-01 09:04:13
島薗進 @Shimazono

『つくられた放射線「安全」論』書評。 http://t.co/smWAi15uDU 「かつて東大紛争の最中、駒場の教養学部時代に理系の教員に科学者の社会的責任を質問して、その回答に失望し、文転した時の記憶が蘇ってきた」。これは共有体験。批判もいくつも述べられている。

2013-05-01 09:04:31

中野氏による関連書評
2012年5月5日にtweet
山崎正勝『日本の核開発:1939~1955』(績文堂、2011.12)