連休中はゆっくり読書をしようと選んだのが、朝井リョウ『何者』。面白くてページをめくる手が止まらないのだけど、数分おきに「ねえ、これどうしたらいいの?」「わっ、へんな画面になっちゃった!」と午前中スマホに変えたばかりの妻に呼び止められる。平和な午後だ。
2013-05-03 16:37:471.朝井リョウ( @asai__ryo )『何者』(新潮社)読了。就職活動の情報交換をきっかけに集まった大学生の群像劇。就職活動を経験していない僕には、どこか遠い世界の出来事に感じられてしまうのかな、という不安は見事に裏切られた。 http://t.co/4VONBvmgeo
2013-05-03 22:33:562.TwitterやFacebookなどのSNSで表現している自分と、本当の自分との乖離。いや、「本当の自分」は正確な表現ではない。SNSでは表現できない自分。本音。心の叫び――そうだよね。就活を経験していない僕でさえ、何度もうなずき、ニヤリとし、思わず下くちびるを噛みしめた。
2013-05-03 22:41:163.15年前、「普通の大学生」だった僕が本を出すと、劇的に環境が変わった。街中でサインを求められ、カメラを向けられ、自宅前数ヶ所には写真週刊誌の記者に張り込まれた。「普通の大学生」だったはずの僕は、いったい「何者」になったのだろうと考え込んだ時期もあった。不安に潰されそうだった。
2013-05-03 22:45:594.『五体不満足』出版当初は、「世間から期待される乙武さん」から逃げ回っていた。それから少し経って、「世間から期待される乙武さん」に近づこうと試みたりもした。いまでは、「世間から期待される乙武さん」と「等身大の乙武洋匡」を状況に応じて切り替えるスイッチを手にしたような気もする。
2013-05-03 22:55:355.以前に比べたら、ずいぶん生きやすくなった気もするけれど、それでも自分が「何者」なのか、いまでもわかったようで、わからない。「どんな自分になりたいのか」という理想像だって、ぼんやりと輪郭だけは見えているような気もするけれど、近づいてみると、じつにおぼろげで、曖昧な形をしている。
2013-05-03 22:59:126.そして、それは作者である朝井リョウ氏の胸中とも重なるのではないかと、本人にとってはおそらく迷惑な邪推をした。大学時代に出版された処女作がベストセラーとなり、映画化もされ、今度は直木賞まで――。十数年前に僕が抱いていた迷いや不安を、いま彼がなぞっていたとしても不思議はない。
2013-05-03 23:08:307.若き直木賞作家。周囲からの期待は、かなりの熱量で彼を取り巻いているのだろう。そして、その期待に応える自信もあれば、不安だってあるだろう。「いったい、自分は何者になっていくんだろうか」――岐阜から出てきた青年は、もしかしたらそんな思いを動機にこの小説を書き始めたのかもしれない。
2013-05-03 23:17:068.…なんて、主人公の「拓人」ばりに分析したところで、僕の推察はまったくの見当はずれで、この一連のツイートを朝井氏が読んだら、ふふんと鼻で笑い飛ばすかもしれない。でも、まあ、なぜ作者はこうした物語を書こうとしたのかとあれこれ考えを巡らすことも小説の楽しみのひとつ。ご寛容のほどを。
2013-05-03 23:24:569.彼の小説は、もちろん何か明確な答えを提示してくれるわけではないけれど、「自分って、何者なんだっけ?」という、普段できるだけ見て見ぬふりをしてきた問いをあらためてぶつけてくれる。ああ、面白かった。素敵な休日をプレゼントしてくれた朝井リョウ氏( @asai__ryo )に感謝。了
2013-05-03 23:31:29@h_ototake ほ、ほんとに読んでくださったんですね…!感想まですみません、ありがとうございます!お会いするの余計に緊張してきました…(笑)
2013-05-03 23:02:46こちらこそ勝手なことをつらつらとスミマセン! お叱りは、今月末にお会いしたときにでも(笑) RT @asai__ryo: ほ、ほんとに読んでくださったんですね…!感想まですみません、ありがとうございます!お会いするの余計に緊張してきました…(笑)
2013-05-03 23:34:34