- hatigatu16
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ガミラス帝国軍と同盟諸国軍の合同演習は、その全てのスケジュールを消化した。いくつかの式典の後は、将兵たちの懇親会となる。
2013-05-03 01:28:28惑星リルガ4は、呼吸可能な大気で覆われた可住惑星で、陸戦の演習場と将兵の保養所を兼ねている。 惑星首都にある『秤動点』は、将官級将校の為に用意された社交クラブだ。 ガミラス新古典様式で統一された建築、室内の調度は落ち着きと調和を表現していた。
2013-05-03 01:40:01ドメル「地球・国連宇宙軍第一艦隊司令長官のオキタ・ジュウゾウ宙将閣下です。こちら、ガミラス帝国軍航宙艦隊総司令ガル・ディッツ元帥閣下」 ディッツ「オキタ提督、どうか楽にしてくれたまえ。どうしても見事な戦いぶりを見せたテロン艦隊の指揮官と言葉を交わしたくて、ドメルに頼んだのだ」
2013-05-03 21:15:30沖田「高く評価していただき、恐縮です」 ディッツ「テロン人はガミロンの酒は飲めたかな?」 沖田「医学的な所見では問題ないと教えられました。まだ、試したことはないのですが」 ディッツ「では、これを」
2013-05-03 21:16:14ディッツの音頭でグラスを掲げ、三人は乾杯した。 沖田は、初めて見るガミラスの酒に、鼻を近づけた。独特の芳香がある。酒と言うよりは花の香に近い。グラスを傾け一口含んで味わう。嚥下すると、食道に熱を感じる。確かにアルコールを含んでいるようだ。
2013-05-03 21:17:36ホテル・リンダルは一般将兵向けの懇親会場として借り上げられている。 ホテルが面して建つ目抜き通りには、そこかしこにステージが設けられ、歌手やダンサーがショウを繰り広げていた。 ガミラス軍の兵士たちをメインに、同盟諸国の兵士たちも、そこここで足を止めて余興を楽しんでいる。
2013-05-03 21:41:57ホテルのエントランスホールも開放され、兵士たちが行き交っている。 第707航空団所属の戦闘機パイロット、メルダ・ディッツ少尉は制服を頼りに人を探していた。 ホテルのバーに屯している、見慣れない服装の一段を見つけて近寄った。
2013-05-03 22:38:26メルダ「寛いでいるところ、申し訳ない。こちらはテロンの航空隊か?」 山本「ああ、そうだ」 メルダ「自分は、第707航空団所属メルダ・ディッツ少尉。テロンの艦上偵察機のパイロットを探している。赤軍の先行偵察を担当していた機体の……私をマニューバキルした」
2013-05-04 00:56:15山本「君が、赤いツヴァルケのパイロットか。その偵察機の操縦桿を握っていたのは俺だ。地球・国連宇宙軍343航空団所属の山本明。一尉だ」
2013-05-04 01:05:26メルダは相手の階級が上と知り、敬礼する。 山本も答礼した。 343航空団の仲間たちが、山本を冷やす。 先行偵察のついでにガミラス美人を落として来たんですか、と。
2013-05-04 01:07:03そこまで言ってメルダは言葉に詰まった。何を話したいというのではない。自分を撃墜判定に追い込んだパイロットの顔を観てみたかったのだ。 最近、帝国の支援を受けて恒星間宇宙に乗り出した後進惑星の軍隊の機体が、自分を翻弄したのだ。 メルダが受けた衝撃は大きかった。
2013-05-04 02:20:02メルダの愛機DWG262ツヴァルケはガミラス軍の主力単座戦闘機で、名機と呼ぶに相応しい設計だ。 全幅の信頼をおく鋼鉄の翼が、目の前の男の操縦する偵察機(機種名までは知らなかった)によって翻弄され、しまいには友軍の艦艇に衝突したとの判定を受けてしまった。
2013-05-04 02:23:17山本「何か?」 メルダ「……何という名前なのですか、あの艦上偵察機は」 山本「01式空間偵察機コスモハリアー。貴国からの技術提供を受けて設計された第1世代機になる。まだ荒削りなところはあるが良い機体だ」 メルダ「はい。鼻面を引きずりまわされた気分です」
2013-05-04 02:35:49山本「こちらも必死だった。ステルス性能と機動性能にかけてうった大博打が当たったというところか」 メルダ「次は負けません」 山本「お手柔らかに。……ああ」 メルダ「どうかされましたか?」
2013-05-04 02:38:14