「アはアーケードのア」 見城こうじ氏によるレトロアーケードゲームの思い出まとめ(第1回~第22回)
それでも『シェリフ』は敵や敵弾の動きが直線的でしたし、軌道の法則性が明確でした。その点ではインベーダーにまだ近いです。そういう意味で初期のシューティングゲームは、よりデジタルな感覚の強い、パズルに近いジャンルだったともいえる気がします。
2013-05-05 15:22:20その登場が衝撃的だったのはナムコの『ギャラクシアン』です。隊列そのものは上空で待機しており、その中から敵が一機ずつ飛び出してきて、曲線を描いてダイブしてきます。それぞれが意思を持つかのごとくバラバラに、そして滑らかな動きで攻撃を仕掛けてくる。敵一体一体の存在感が半端じゃない。
2013-05-05 15:22:34更に続編『ギャラガ』では、今度は隊列を組んだ敵が曲線を描いて飛び交うようになります。いわゆる編隊飛行です。ものすごーくざっくり言うと、これに地形スクロールと地上ターゲットの概念が付加されると、その後の縦シューの骨格が一通り揃う事になると思います。
2013-05-05 15:22:48黎明期シューティング史は、このように“隊列をどう扱うか”という歴史でもあった、そんな視点でも語れると思うんです。インベーダーの元ネタが“動かない隊列”を狙い撃つ『Breakout』だった事を考えると、どれも順当な流れの中で、生まれるべくして生まれたゲームなのではないでしょうか。終
2013-05-05 15:23:09第3回『ウィッツ』(1989年・アテナ)
と書きましたが、実は僕『ウィッツ』自体はあまりプレイしていません……。これの元になったのは米国のゲームで、当時何種類も出ていたのですが、最初に発売されたのは『Blockade』(1976年Gremlin)というタイトルだったようです。基本的に『ウィッツ』はそれと同じ遊びです。
2013-05-11 00:18:34映画「トロン」でも題材になったゲームというと分かる方も結構いるかもしれませんが、2人ないし4人が各々カーソルを左右上下に移動させて、固定画面のフィールドの中で、壁にぶつからずにできるだけ長く生き残れば勝ちという非常にシンプルな遊びです。
2013-05-11 00:18:51プレイヤーのカーソルは停止することができません。常に移動し続けます。そして、プレイヤーが移動した跡にはそのままカーソルが残ります。カーソルがある場所はもう通る事ができません。つまり、時間の経過とともに、どんどん動ける場所が減っていくのです。
2013-05-11 00:19:04このルールの元で、いかに自分の行動可能領域を確保しつつ、対戦相手の進路を封鎖するか、という単純ながら戦略性の高いゲームになっています。『Blockade』は当時何度も友達と対戦プレイで遊んだ覚えがあります。進行方向と逆のボタンを押してもミスになるのが辛かった。
2013-05-11 00:19:17『Blockade』が後年『ウィッツ』としてリメイクされたのはむしろマイナーな例で、1970年代の米国の製品にはその後の様々なメジャーゲームのオリジンになっているものが幾つもあります。例えばAtariの『Breakout』が元となってその後国内で様々なブロック崩しが生まれました。
2013-05-11 00:19:54星を避けて宇宙船をゴールへ導く『Space Race』は、『ギャラクシーウォーズ』の原型といえます。撃破目標となる敵UFOが存在しない事、自機は前進と後退ができるが左右に動けない事、そして2人で競争プレイのできる所などが『ギャラクシーウォーズ』とは異なる点です。
2013-05-11 00:20:06ドライブゲームでは『Night Driver』が黎明期の秀作です。一人称のドライブ物で画面がほぼ真っ暗なので“Night”です。画面上にはコースの左右両端を表現するドットが奥へ向かって2列に並んでいるだけなのですが、それが自在に曲がりくねって見事に3次元的な奥行きが表現されてます
2013-05-11 00:21:16表現したい物とスペック間の差を埋めるために舞台を夜に設定したゲームでは、タイトーの『ミッドナイトランディング』を思い出します。また、初期のテレビゲームに宇宙を舞台としたものがきわめて多い事も、当時のゲームのグラフィック性能と無関係ではないはずです。
2013-05-11 00:21:30他にも、少し強引かもしれませんが、迷路で2人で鬼ごっこをする『Gotcha』というゲームは、その後の『パックマン』のヒントになっているかもしれません。この事は『パックマン』作者の岩谷徹さんにお聞きした事が無かったので、お会いする機会があったら聞いてみたいです。
2013-05-11 00:21:44『Gotcha』は本当に迷路の中で追いかけっこするだけのゲームなのですが、迷路の一部の壁がリアルタイムで出たり消えたりする仕掛けがあって、この動きを予測する事で相手を一時的に引き離すようなちょっとした戦略が生まれます。とても単純ですが、当時夢中になって遊びました。
2013-05-11 00:21:57今回、この文章を書くために『ウィッツ』や『Blockade』などの動画を見返したのですが、『ウィッツ』がいわゆるピクトさんが主人公の、シュールな感じのゲームになっているのは、元々の『Blockade』がいわゆる「アブストラクトゲーム」っぽい遊びなので、これはむべなるかなと。
2013-05-11 00:22:09アブストラクトゲームとは、ゲームの舞台世界が抽象化されている遊びの事です。また、これに加えて、遊ぶ上での情報が全て開示されている、偶然性の関与が無い等の定義を含む事も一般的なようです。オセロや囲碁、ダイヤモンドゲーム等がこれに当たります。
2013-05-11 00:22:22ただ、リアルタイム性があり、反射神経要素の入るテレビゲームに、この言葉を使って良いのかは僕にはよく分かりません。『Blockade』はかなり近いと思うのですが、厳密には含まれないのかもしれませんね。
2013-05-11 00:22:34余談ですが、『Blockade』や『ウィッツ』に似た考え方の遊びで、フランスのボードゲームに「ブロックス」というのがあります。有名なのでご存知の方も多いかもしれませんが、テトリスのピースのような持ち駒を4人で順に盤面に置いていく遊びで、置ける場所が無くなった人から負けになります。
2013-05-11 00:22:49オンラインでも遊ぶ事ができるので、僕も何度かプレイした事があります。4人がかりでピースを置き合っていくので思うとおりにならず、そこがなかなか熱いゲームです。終 ※内容に誤りがあったら、ご指摘いただければ幸いです。
2013-05-11 00:23:02第4回『エグゼドエグゼス』(1985年・カプコン)
#1 「アはアーケードのア」。第4回は『エグゼドエグゼス』(1985年カプコン)です。ただ、このゲーム自体きわめて有名で、僕なんぞよりしっかり語ってこられた方が沢山いると思いますので、話は脱線しまくります(毎回ですけど)。内容に誤りがあったら、ご指摘いただければ幸いです。
2013-05-22 00:12:37#2 『エグゼドエグゼス』はカプコン初期の縦スクロールシューティングです。当時同社に在籍されていた岡本吉起さんがディレクションされていました。敵が昆虫型メカで、パワーアップ要素の他、敵弾を消し去る“クラッシュ”や、敵をフルーツに変えてしまう“Pow”などが印象的でした。
2013-05-22 00:12:54#3 『エグゼドエグゼス』には、当時としてはまだ少なかったマルチプレイ(協力型の2人同時プレイ)が搭載されていました。プレイヤーとしては遊びが広がり、店舗としては売り上げが伸びるという、商品的にきわめて重要な仕組みを搭載した先駆けの一つです。
2013-05-22 00:13:10