#besideyou　イェソン妄想

ぴょんて師匠は移動。 @pinkmonster0203

D-7 1. あの人が入隊すると聞いたのは、やわらかな陽射しの中にまだ冬の寒さが残る朝だった。 何度も2人で話して来たから彼以外の人からこのニュースを聞いても別段驚きはしなかった。 その時が来たんだとぼんやりと感じたことだけは覚えてる。 #SJで妄想 #besideyou

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2. それでも1日、また1日とその日が近づく度に寂しさと不安は増えていく。 彼に会えなくなるという不安と比例して、待ってられるのかという不安が同時に増えては胸をぎゅうぎゅうと締めつけた。 “入隊する日は騒がれずに静かにその時を迎えたい” #SJで妄想 #besideyou

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3. 彼がよく言っていた言葉を思い出した。 今、彼は何を思ってその時までの時間を過ごしているんだろう。 会えない分の時間を埋めるかのように毎日ファンの子の前へと姿を現す彼 それで2人の時間が減ったとしても不思議と怒る気にはならなかった #SJで妄想 #besideyou

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4. 彼の入隊まで1週間をきった日の朝、それは突然に私の元へと届いた。 手紙も何も添えられていない7枚のDVD。 それぞれにD-7、D-6と番号が記されていた 見覚えのあるお世辞にも綺麗とは言えない字で書かれた宛名をそっと指先で撫でた #SJで妄想 #besideyou

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5. D-7と書かれたDVDを手に取り、プレーヤーに入れて再生ボタンを押した。 『あーあー、ちゃんと映ってる？ん？』 映し出された彼の姿に途端に滲む画面。 『あ、泣くなよ。泣いたらメロに笑われるぞ？な、メロ』 #SJで妄想 #besideyou

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6. 画面いっぱいのメロの顔に笑って目尻に滲んだ涙を指先で掬う。 『元気にしてる？…入隊する日が決まったこともう知ってるだろ？』 画面の中、静かに彼が話し出す。 『泣かないで聞いて欲しい…俺、お前に会わないまま行こうと思う』 #SJで妄想 #besideyou

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7. 何となくそんな気はしてた。 付き合い始めた頃から不思議と彼の考えることは言われなくてもわかる 『怒るかな…きっとお前ならわかってるよって言うんだろうな。お前は誰よりも俺の事をわかってくれてるから…だからこのビデオを撮る気になった』 #SJで妄想 #besideyou

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8. 見慣れた彼の部屋のソファで静かに、それでいて凛とした雰囲気を纏いながら話す彼に無意識に背筋が伸びる。 『どうか泣かないで俺の話を聞いて欲しい。これからの一週間を俺にくれないか…ゆっくりこれからの話をしよう』 #SJで妄想 #besideyou

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9. 『バカだな、もう泣いてるだろ？まだ俺はお前のそばにいるのに』 急に優しく響いた声音に次々と頬を涙が滑り落ちていく。 『ほら、泣き止んで。悲しい話じゃないから。これからの俺たちの話だって言っただろ？』 #SJで妄想 #besideyou

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10. 彼の言葉にうんうんと頷きながら、溢れた涙を指先で拭う。 『続きはまた明日な？一度に話すと一週間もお前の時間をもらった甲斐がないだろ？ゆっくり寝て…また明日会おうな。おやすみ』 途切れたDVDにまた泣き出しそうになって深く俯いた。 #SJで妄想 #besideyou

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11. 彼が7枚のDVDにして伝えようとしてくれてることを思うとひどく怖かった。 それでもそれを受け止めたいと強く思う。 D-7と記されたDVDをケースにしまって、カレンダーの日付けに×印を付けたした。 あと7日。 #SJで妄想 #besideyou

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D-6 1. 泣き腫らした目蓋を見て鏡の中の自分に苦笑いを返した。 勢いよく蛇口を捻って、冷たい水で火照った目蓋を冷やす。 昨夜、彼からのDVDを見た後やっぱり寂しくなって一晩中泣いてしまった。 D-6と記されたDVDを手に取る。 #SJで妄想 #besideyou

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2. 今の私と彼を繋ぐのはこのDVDだけ。 きっとまた泣いてしまう…それでも無性に彼に会いたい。 彼の声が…聴きたい。 『おはよう』 再生ボタンを押して聞こえた言葉に驚いた。 私が朝に見ることわかってた？ 『よく眠れたか？』 #SJで妄想 #besideyou

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3. 画面の中の彼の眼が優しく揺れる。 『…いっぱい泣かせちゃったんだろうな。会社なのにごめんな？』 心配そうに呟いた彼の指先がそっと画面に触れた。 『大分…目、腫れた？』 画面越しに目蓋を撫でられてる気がして思わず目を閉じる。 #SJで妄想 #besideyou

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4. あぁ、そうだった。 私が彼のことをわかるみたいに、彼もいつも私のことをわかってくれてた。 彼はきっと全部わかっててこのDVDを準備してくれてる。 「泣かせたの、そっちでしょー」 画面の中の彼に小さく笑いながらそう返す。 #SJで妄想 #besideyou

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5. その言葉に彼がフッと唇を緩ませた気がした。 『ちょっと待ってて』 そう言って彼が消えた画面、しばらくすると映し出されたのは見覚えのあるマグカップに入れられた私の大好きなカフェラテ。 『覚えてるか？出会った頃のこと…』 #SJで妄想 #besideyou

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6. 今はもうない行き慣れたカフェ。 彼に会いたくて毎日のように通った大好きな場所。 『いつもの場所で1人で本読んでるお前を見るの大好きだった。俺がレジしたファンの子にお前が妬いてケンカした日もあったな』 「あれは妬いたんじゃないし…」 #SJで妄想 #besideyou

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7. 軽く頬を膨らませて彼を軽く睨んだ。 『なぁ、俺が来なくなっても…ここには毎日顔出してくれるだろ？お前が来ないとジョンジナも寂しがるから』 眼鏡の奥の眼を猫みたいに細めて微笑んだ彼が手を伸ばすと大きく揺れる画面。 #SJで妄想 #besideyou

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8. 『ここはずっとお前の席だから』 カメラを手に取った彼がいつも私が座るテーブルを映して、小さな手のひらで撫でる。 『ほら、予約席って書いてあるだろ？』 彼の言葉に画面に目を凝らすとテーブルの隅に書かれた小さな文字。 #SJで妄想 #besideyou

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9. “Reserved” 『2年間予約入れといたから、2年後また俺に言って忘れずに予約しろよ？』 「もーまた泣かす…バカ」 微笑む彼の顔がゆらゆらと滲んで揺れる。 『ほら、泣いてないで。時間だろ？いってらっしゃい。また明日な？』 #SJで妄想 #besideyou

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10. 彼に背中を押されながら泣き腫らした眼で会社に向かう。 あの場所で待っててもいいの？とは何故だか画面越しにも聞けなかった。 あと6日。 #SJで妄想 #besideyou

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D-5 1. 仕事から帰ってきて重たい体を引きずるようにしてソファに沈めた。 月が変わったカレンダーをぼんやりと眺めながら、赤マルが記された日付けを見て溜め息を吐いた。 まだまだだと思っていたその日はすぐそこまで迫っていた。 #SJで妄想 #besideyou

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2. どれぐらいそうしていたのか、メールの着信を知らせて震えたケータイに現実へと引き戻された。 職場の同僚からの味気ないメール。 こうやって何でもない毎日がその日に繋がってるのだと思うと何だか全てが億劫に思えた。 #SJで妄想 #besideyou

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3. テーブルの上に並べられたDVDを眺めて、もう何度目かわからなくなった溜め息を吐いた。 再生ボタンを押せば彼に会えるのに…会えた途端に彼が遠退いていく。 D-5と記されたDVDを手に取ったまま、しばらく再生出来ずにいた。 #SJで妄想 #besideyou

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4. 所々歪んだ彼の字に突き動かされるようにプレイヤーにDVDをセットした。 『おかえり』 どうしてだろう…予め録画されているはずのDVDなのに驚くほど近くに彼を感じる。 『疲れただろ？お疲れさま』 何で私が今欲しい言葉がわかるの？ #SJで妄想 #besideyou