パターン・ランゲージのイラストの発想の仕方

「パターン・ランゲージのイラストの発想の仕方」について井庭先生がつぶやかれていたことのまとめです。
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井庭 崇(いば たかし) @takashiiba

建築やソフトウェアなどのパターン・ランゲージでは、文章を補足するために写真や図などが使われているが、僕ら井庭研でつくるパターン・ランゲージには、パターンの内容を表現したイラストをつけている。

2013-05-06 22:04:47
井庭 崇(いば たかし) @takashiiba

「ラーニング・パターン」イラスト一覧 http://t.co/T4C0ybm2PC 「プレゼンテーション・パターン」イラスト一覧 http://t.co/Zqq09IO35y 「コラボレーション・パターン」イラスト一覧 http://t.co/lSGVvxa5ap

2013-05-06 22:08:14
井庭 崇(いば たかし) @takashiiba

プレゼンテーション・パターンで制作したイラストすべての変遷(約500枚)と、モチーフの発想、ボツの理由をまとめた冊子がある。PDFのダウンロードができる 『Presentation Patterns イラスト制作の軌跡』(Ver.α) http://t.co/YycF3i0Rcw

2013-05-06 22:11:23
井庭 崇(いば たかし) @takashiiba

今日新しいパターン・ランゲージのイラストを描いているメンバーから、そもそもどうやって発想しているのか、と聞かれた。そのときはうまく答えられなかったけれども、自分の発想の仕方を掘り起こしてみたい。

2013-05-06 22:16:00
井庭 崇(いば たかし) @takashiiba

まず、パターンのイラストは、そのパターンの「解決」(Solution)の本質を端的に表したものであり、イラスト案を考えるときには、そのパターンの内容をしっかりと踏まえる必要がある。

2013-05-06 22:18:20
井庭 崇(いば たかし) @takashiiba

しかし、実際問題としては、パターンの文章をブラッシュアップしている段階でイラストを描き始めることになる。内容が詰まってからイラストを描くのではなく、内容を詰めながら同時並行でイラストを描くことになることが多い。

2013-05-06 22:21:26
井庭 崇(いば たかし) @takashiiba

そのため、そのときのパターンの文章に惑わされないように、パターンの内容の本質をつかむ努力をしなければならない。このことがあるから、イラストはそこだけ外注するということができず、最初からプロジェクトに参加していなければならないということになる。

2013-05-06 22:23:03
井庭 崇(いば たかし) @takashiiba

このことは、プロジェクトの進行上やむを得ないことというわけではなく、実はそうすることのメリットも大きい。イラストを文章と並行して描くことには意義があるのだ。

2013-05-06 22:25:05
井庭 崇(いば たかし) @takashiiba

それは、パターンの本質をつかんだイラストのモチーフができると、パターンの文章で何を書くべきかが明確になるのだ。また、パターン名がばちっと決まることもある。

2013-05-06 22:26:06
井庭 崇(いば たかし) @takashiiba

このことは、棚をつくっているときに、1箇所ずつネジを最後まで締め切るのではなく、最初はすべての箇所をゆるく締めておいて、徐々に全体の締めを強くしていくことに似ている。

2013-05-06 22:29:46
井庭 崇(いば たかし) @takashiiba

パターン・ランゲージをつくるときにも、パターン本体の文章(状況・問題・解決など)と、イラスト、パターン名、導入文などは、どこかが先に確定するわけではなく、全体的に徐々にネジを締めていくように仕上げていくのだ。

2013-05-06 22:31:00
井庭 崇(いば たかし) @takashiiba

そういうプロセスでイラストをつくることになるので、パターンの内容やパターン名に強い影響を受けつつも、それらに逆に強い影響を及ぼすこともある。この関係について理解することは、まずとても大切なことである。

2013-05-06 22:32:09
井庭 崇(いば たかし) @takashiiba

さて、話をイラストの発想の仕方に戻そう。最初に考えるのは、そのパターンで言いたいことを表すためには、どのような要素がなければならないか、ということである。

2013-05-06 22:35:04
井庭 崇(いば たかし) @takashiiba

これは、どのパターンを例にとってもよいのだけれども、例えばコラボレーション・パターンの「創造の場づくり」( http://t.co/C9WGUhxZ3s )を考えてみよう。

2013-05-06 22:39:09
井庭 崇(いば たかし) @takashiiba

「楽しくのびのびと創造的な活動ができる空間を、自分たちでつくる。」というSolutionであるから、まず、「空間・場」が表現されていなければならないだろう。そして、「創造的な活動」が描かれている必要があって、それは「楽しくのびのび」としている。そういう場を「自分たちでつくる」。

2013-05-06 22:41:06
井庭 崇(いば たかし) @takashiiba

「楽しくのびのび」している「空間・場」といっても、遊園地を描くのは、このパターンの趣旨に会わないだろう。そこまでいかなくても、どこかの世界で唯一の最先端のクリエイティブ・ルームのようなものを描いても、何のことだかわからないし、第一、そういう場は業者がつくりそうだ。

2013-05-06 22:43:03
井庭 崇(いば たかし) @takashiiba

そう考えると、自分たちの身の回りにありそうな「空間・場」がよさそうだ。机で作業して、ホワイトボードがあったり、壁にいろいろ貼ってあったり、と。ただし、会議室のようになってはだめで、「魅力的」である必要もある。そこでホワイトボードは大きくしておこう、と考えたりする。

2013-05-06 22:44:35
井庭 崇(いば たかし) @takashiiba

そして、そこにいる人たちがみんな「楽しくのびのび」と「創造的な活動」をしてなければならない。それぞれの人がやっていることや動き、表情などを、「楽しくのびのび」と「創造的な活動」をしているようにする。

2013-05-06 22:46:07
井庭 崇(いば たかし) @takashiiba

本当は、このイラストでは、「自分たちでつくる」を表現したかったけれども、どうしても、椅子を運んでいたり、準備をしている絵になってしまうので、そういう準備ではなく、それが実現された状態を描いた。

2013-05-06 22:47:06
井庭 崇(いば たかし) @takashiiba

ちなみに、このパターンのイラストでは、このモチーフが決まった後、実はものすごい調整をしている。人の位置や動き、家具や壁の位置・関係などなど。

2013-05-06 22:48:30
井庭 崇(いば たかし) @takashiiba

さて、このパターンのイラストから離れて、一般的な話に戻りましょう。

2013-05-06 22:50:21
井庭 崇(いば たかし) @takashiiba

パターンでは、状況・問題・解決ということが書かれるので、ある状況で何か問題が生じていて、それをうまく解決する方法がある、ということが書かれるわけである。イラストもそういうことが描かれることになる。

2013-05-06 22:51:48
井庭 崇(いば たかし) @takashiiba

そうすると、一番最初に思いつくのは「比較型」。問題に陥っている人と、解決している人の比較のイラストにするというものである。

2013-05-06 22:55:10
井庭 崇(いば たかし) @takashiiba

比較型イラストは、ラーニング・パターンでいうと、直接的な比較は「教わり上手になる」「身体で覚える」「アウトプットから始まる学び」「学びのなかの遊び」「動きのなかで考える」「捨てる勇気」「魅せる力」で使われている。 http://t.co/T4C0ybm2PC

2013-05-06 22:58:39
井庭 崇(いば たかし) @takashiiba

この他にも、形式的な「比較のための比較」ではなく、「イラストのなかに含まれている比較」もある。ラーニング・パターンの「学びのチャンス」「学びの竜巻」「まずはつかる」「自分で考える」「外国語の普段使い」「ゴール前のアクセル」「突き抜ける」などである。

2013-05-06 23:02:38