シャーロック・ホームズ+クトゥルフなボードゲーム“A Study in Emerald”
「ニール・ゲイマンの短編を基にして」「マーティン・ウォレスがデザインした」「クトゥルフ神話に関連して」「シャーロック・ホームズ(とモリアーティ教授)が登場する」「正体隠匿系」「二重スパイあり」のゲーム……もうハネ満確定だわこれ。 http://t.co/HyH886wdr2
2013-04-26 23:03:38原作短編とベータ版ルールブックを読み終えたので簡単にレビューを。
原作となっているのは2004年にヒューゴー賞を短編部門で受賞している同名の作品で、邦訳としては2005年のSFマガジンに「エメラルド色の習作」として、また角川書店の短編集「壊れやすいもの」(品切)に「翠色の習作」として収録されているようです。 #ASIE_KS
2013-05-11 14:40:55英語版は著者本人のウェブページにpdf形式で公開されているので、興味のある方はそちらに当たると良いかと思います。さほど長くない作品ですし、比較的読みやすい文章ではないかと思います(リンク先pdf)。 http://t.co/pQJ5Vc37hE #ASIE_KS
2013-05-11 14:41:33以降設定などの記述のために短編の内容に触れますので、ネタバレなどを気にされる方はご注意ください。読む際の驚きや楽しみを奪うようなことは書かないつもりですが、予備知識無しに読んだ方が面白いかもしれません。 #ASIE_KS
2013-05-11 14:42:29ざっくり書くと、シャーロック・ホームズ・ミーツ・クトゥルフ神話、といったところでしょうか。12世紀に現れた「外なる神」に支配されたヴィクトリア朝(!)のロンドンを舞台にしたシャーロック・ホームズ・シリーズのパスティーシュであります。 #ASIE_KS
2013-05-11 14:43:28架空世界の歴史改変もの、という凝った作りで、紙面も新聞を意識して広告が挿入されていたり、ホームズ好きならニヤリとしてしまうようなネタがたくさん詰まった、短いながらも読み応えのある作品ではないかと思います。 #ASIE_KS
2013-05-11 14:45:04この世界では12世紀に現れた「外なる神」達が人類を支配しており、大多数の人類はそれに疑念を持っていません。むしろ、彼らが現れなければ人類は暗黒時代から抜け出せなかったとすら思っている有様。 #ASIE_KS
2013-05-11 14:47:07しかし、中にはそれに疑念を抱き、人類に主権を取り戻すべく活動している人々がいるのです。彼らを「復古主義者(Restorationist)」と呼びます。まあアンダーグラウンドな革命家ですね。外なる神の暗殺を試みたりもしています。 #ASIE_KS
2013-05-11 14:49:49一方で王族=外なる神に忠実に仕える人々も多く、彼らは「王党派(Loyalist)」と呼ばれています。ゲームでは、この2陣営の間の争いが中心となっています。プレイヤーはそれぞれどちらかの陣営に属すこととなります。 #ASIE_KS
2013-05-11 14:51:13プレイヤーがどちらの陣営に属しているかは秘密です。他のプレイヤーの動きを見、正体を推測し、動きを牽制し、時には騙し、時には協力して勝利を目指すことになるでしょう。 #ASIE_KS
2013-05-11 14:52:36面白いのは、2陣営に別れて争うゲームではあるのですが、勝者は常に1人となります。また、両陣営に属するプレイヤーの数も均等ではありません。3人ゲームでは全員が1つの陣営に属することもあるし、4人ゲームでは1:3の戦いになることもあるのです。 #ASIE_KS
2013-05-11 14:53:58それでもちゃんとゲームになりそうなところはやはりウォレス、といったところでしょうか。3人に対して1人で立ち回ってもちゃんと勝ち目がありそうなのは面白い。 #ASIE_KS
2013-05-11 14:55:13ヨーロッパを中心に配下のエージェントを都市に送り込み、復古主義者は革命の気運を高めて外なる神の暗殺を試み、一方で王党派は戦争への道を進めていく、といったゲームです。 #ASIE_KS
2013-05-11 14:57:55ゲームシステムの中心はデッキビルディング、なんですが、いわゆるデッキビルディングゲームとはまた違う印象ですね。重複するカードは少なく、それぞれのカードに独自性が高い。また、カードを手札に入れる際にはまず影響力を配置して競り取らなくてはならない、という仕掛け。 #ASIE_KS
2013-05-11 14:59:33ちゃんと回したわけではないのですが、影響力を介した競り的な要素も含まれた重量級のゲーム、という印象です。その上で設定に合わせた特殊効果がたくさん、というところでしょうか。独特の世界を再現するためのシステムであるように感じます。 #ASIE_KS
2013-05-11 15:03:47でまあ、シャーロック・ホームズとクトゥルフだけで割ともうおなかいっぱいなんですけど、ここにゾンビとヴァンパイアが加わって、更に近代ヨーロッパ史が加わるわけです。エージェントに誰がいるのかな、と思って最初に出てくるのがエヴノ・アゼフで目を回す。 #ASIE_KS
2013-05-11 15:08:05アイリーン・アドラーとエマ・ゴールドマンがナイアーラトテップの治めるカイロで争う、とかそういう展開が生まれてしまうわけで、なんだこれ、面白いじゃないか!と興奮してくるわけです。すごいぞ! #ASIE_KS
2013-05-11 15:11:43プレイ時間は90~120分、プレイヤー人数は2~5人。複雑なゲームなのでマスターするまでに数回のプレイが必要、とルールブックに書かれているくらいなので、まったくもって万人向けのゲームではないと思いますが、それでも魅力的ではあります。 #ASIE_KS
2013-05-11 15:15:01とまあ、簡単に紹介しましたが、それもすべて私利私欲のため。KickStarterでBackerを募集中なのですが、1個買うと送料込みで£50、6個で£220、10個で£360、ということで、たくさんの人に興味を持って頂きたい、と言うのが1つの理由であります。 #ASIE_KS
2013-05-11 15:19:18身近に興味を持った方が出てくれば共同購入も視野に入れますし、あるいはどこかのショップさんがまとめて仕入れてくれたりすればそれも嬉しいわけで(もともと10個での販売はショップ向けですからね)、まあそれでなくても面白いと思ってくれる人がいればそれだけで嬉しいですが。 #ASIE_KS
2013-05-11 15:20:48もう1つの理由は、和訳ルールの作成については許可を頂いているのでなんらかの形で公開できると思うのですが、その際に協力して頂ける方を募集しております。具体的に言うと、クトゥルフ周りや近代ヨーロッパ史、特に東欧・ロシアについて詳しい方のご助言を頂きたく。 #ASIE_KS
2013-05-11 15:22:18こういうゲームですから、背景についての情報があった方が楽しいと思うのですね。特にエージェントについては、1人1人に簡単な解説を付記したいと思っています。とはいえなにぶん浅学非才の身故、適切かつ面白い記述ができるとも思えません。 #ASIE_KS
2013-05-11 15:25:21以下田中天氏との与太話+補足。