「アイヌのお話アニメ」解説

平成24年度 口承文芸視聴覚資料作成事業 「アイヌのお話アニメ オルシペ スウォプ」 http://www.frpac.or.jp/animation/ 北海道大学アイヌ・先住民研究センターの丹菊逸治氏による解説です。
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丹菊逸治 @itangiku

アイヌ語アニメ「ポイヤウンペ」。ホロケウカムイやルロアイカムイといったカムイ(神)にとって、死は基本的に「カムイの世界に行って休む」ことでしかない。またすぐ復活する。人間は死ぬとあの世に行ったきりで復活できない。この辺が人間とカムイの違い。

2013-05-19 00:04:40
丹菊逸治 @itangiku

アイヌ語アニメ「ポイヤウンペ」。ただ、人間だって復活できることもあるし、殺され方によってはカムイも復活できなかったりする。だからこそルロアイカムイはぎりぎりのところでポイヤウンペに同盟を申し出る。そうしないと復活できないやり方で殺されかねないから。

2013-05-19 00:09:15
丹菊逸治 @itangiku

アイヌ語アニメ「ポイヤウンペ」。ルロアイカムイは「ポイヤウンペが真の勇者と知り、共に戦いたくなった」と言ってるけど、内心冷や汗ものだったはず。口では格好つけてるけど事実上命乞いをしてるわけ。一方ポイヤウンペにしても神の助力でやっと勝ったんだから、やりすぎると他の神々に怒られる。

2013-05-19 00:17:15
丹菊逸治 @itangiku

こういう大袈裟なコミュニケーションスタイルはまさにアイヌ伝統文化だったんだろう。こういうのは文化によって違う。例えばニヴフは大袈裟に喜ばない文化だっただろうと思う。今でもそうだから。

2013-05-19 00:38:28
丹菊逸治 @itangiku

間宮林蔵は樺太でニヴフに鉄製品を贈ってもあまり喜ばないので「ニヴフは豊かで鉄に困ってないらしい」と推測してる。でもそれはどうかな。さりげなく贈り物を受け取り、さりげなくお返しをするのがニヴフの美徳。彼が道中無事だったのは贈り物をしたおかげだったんじゃないかな。

2013-05-19 00:42:27
丹菊逸治 @itangiku

アイヌ語アニメ「ポイヤウンペ」。ユカラ(ユーカラ)のアニメ化です。スマフォなど携帯端末からはこちらをどうぞ。Youtube字幕機能ではなく動画に直接字幕が焼き込んであります。 http://t.co/FB4r8GKGFJ 日本語版 http://t.co/KBQPnEeU6q

2013-05-20 18:11:09
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アイヌのお話アニメ番外編

丹菊逸治 @itangiku

『シャーマンキング』は今からでも遅くないから誤ったアイヌ語を訂正すればいいのに。「馴染みの言葉が変っちゃって違和感」というファンもいるだろうけど、「出てくるアイヌ語間違いだらけだぜ」って陰口叩かれ続けるよりずっといいと思うんだけどな。

2013-05-11 19:29:46
丹菊逸治 @itangiku

『シャーマンキング』は「妹にパスイを彫ってもらう」じゃなくて「妹が長老のパスイをもらって渡す」に変更、あるいは「妹にパスイを彫ってもらったお返しに手縫いのアイヌ模様刺繍服をプレゼントする」ってエピソードを追加して、アイヌ語の誤りを訂正すれば関係者からも評価されるんじゃないかな。

2013-05-11 19:45:15
丹菊逸治 @itangiku

現在でも「女性がパスイを彫る」ことは「男性が刺繍をする」なみにイレギュラーな行動。「アイヌ語の誤り」を気にしてる人は今でも案外多い。そういう事情を無視したままじゃ、せっかくいいマンガなのにちゃんと評価されないよな。「昔のマンガなんぞどうでもいい」っていうならそれでもいいけどさ。

2013-05-11 19:54:46
丹菊逸治 @itangiku

『シャーマンキング』のアイヌ語技名の意味を一生懸命覚えたファンもいるだろう。技名がアイヌ語としては違和感ありまくりの単語の羅列なのは仕方ない。でも例えばオプケニは「拳(こぶし)」ではなく樹木名の「辛夷(こぶし)」。こういう辞書を引いた瞬間に判ってしまうミスは修正した方がいい。

2013-05-13 20:27:56
丹菊逸治 @itangiku

まあ別に「神に下された辛夷」でもいいんだけど、でも「オプケニ」ってアイヌ語はそもそも「おならの木」って意味だから、やっぱりあんまり格好良くない。

2013-05-13 20:30:43
丹菊逸治 @itangiku

もちろん「オプケ二」を極めてアイヌ的な「悪臭による魔除け」としての呼称と言い張るなら、それはそれでいいかもしれない。でもそういうことを言い出したら「カッコいいと和人が感じる単語」を羅列した他の技名との乖離が大きくなっちゃうと思う。やっぱりおならはおならだもの。

2013-05-13 20:38:56
丹菊逸治 @itangiku

ついでに。「ネイケフイケ」は確かに、ある辞書で「どこもかしこも。どことして何ひとつの非の打ち所がない」と書いてあるが、後半はちょっと記述ミス。たんに「どこもかしこも」の意。「ネイケフイケキロロ」は強いていえば「どこもかしこも力に満ちてる」となるか。散弾銃みたいだな。

2013-05-13 20:52:34
丹菊逸治 @itangiku

↓ いやもちろん、そんなところは修正しなくていいとは思うけど。パスイのあたりとオプケニだけでいい。

2013-05-13 20:54:45
丹菊逸治 @itangiku

「オプケニ(辛夷)」を「テクヌム(拳)」に変えて「カムイランケテクヌム」にすればすむ話なんだと思うんだけどなあ。

2013-05-13 20:57:01
丹菊逸治 @itangiku

サムライスピリッツの「ナコルル」の格好は全然アイヌっぽく無かったけど、そんなの誰も大して気にしなかっただろう。まあナコルルが「巫女」だと聞いて困惑した人はいたかもしれないけど。

2013-05-13 21:34:39
丹菊逸治 @itangiku

↓北海道のアイヌ伝統文化には巫女・神官・司祭・シャーマンなどは存在しないからね。トゥスクルってのは占い師みたいなもの。でもナコルルっていうキャラ自体はすごく良く出来てた。

2013-05-13 21:44:52
丹菊逸治 @itangiku

ナコルルはまさにアイヌ叙事詩の少女英雄という感じだったし、ホロホロも少年英雄っぽくて良かった。そういう意味では好意的に受け入れられたし、「アイヌものの創作は駄目」なんてことは絶対にない。

2013-05-13 22:02:47
丹菊逸治 @itangiku

アイヌ叙事詩なんてそもそもアニメみたいな場面がたくさんあるわけで。超能力少女たちが空を飛び、上空の魔物に突撃してバタバタやられる。それを見た少年英雄が「俺の気の迷いが彼女らを傷つけることになった」と悔やみ、怒りの突撃で魔物を倒す、とか。

2013-05-13 22:56:10
丹菊逸治 @itangiku

アイヌ叙事詩。金属製の巨大なワシ型の飛行鎧(鎧っていうけど乗り物だな)。飛んでくると空中でパカッと出入口が開いて美少女が身を乗り出し、「さあポイヤウンペ、乗りな!」という。たぶんタンデム型で外は巫術で見る(マジックミラーみたいなもんか)。で、たぶん念力か何かで操縦する。

2013-05-14 00:01:16
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