論文雑感2013年5月18日
ダーウィン進化理論へのマルサスの影響を過大評価してはならないと言いつつ、『The Descent of Man』の結論にある「人間の自然な増加率は引き下げられるべきではない」というダーウィンの議論を引用し、「道徳的抑制を力説した」マルサスとは異なると議論。
2013-05-18 16:55:35ダーウィンがゴールトンを踏まえていることに言及しつつ「最も可能性に富むものが、最良のものを受け継いで最大数の子孫を育てる」というダーウィンの主張に「優生学的主張と直接つながる意味を読み取るのは無理がある」と議論(優生学の定義次第なので意味のある議論かどうか・・)。
2013-05-18 17:01:17スペンサーの進化論は生物進化を含む宇宙進化の理論で、ダーウィンとは異なりラマルク理論に基づいていると言っておいて、節の結論部では、スペンサーの目標は社会進化による「人間性の完成」であり、回避すべきは「「生存闘争を通じた最適者生存」を妨げるような人為的介入だけ」と議論している。
2013-05-18 18:50:49一方で、スペンサーの進化理論はダーウィンの影響をそれほど受けてはおらず、ダーウィンとは異なる独自なものとしつつ、他方、スペンサーの社会進化は「生存闘争を通じた最適者生存」というダーウィン的な過程で、スペンサーはこの過程への介入に反対する社会ダーウィニズムを主張しているとする議論。
2013-05-18 18:56:09ダーウィンとスペンサーの進化理論は異なるとダーウィンとスペンサーを切り離しておいて、スペンサー思想は国家の役割を縮小する自由放任で社会の行く末を生存競争と適者生存の進化過程に委ねるべきだと主張した典型的な社会ダーウィニズムだと議論するのは整合性があるのかどうか・・
2013-05-18 19:02:30Desmondはハクスリーとクロポトキンの立場は徹頭徹尾対照的なものだと描いているように思われるんだけど・・娘マディの死もハクスリーが自然の闘争イメージを強調するきっかけとなったと考えられている出来事だし・・
2013-05-18 19:33:36精神・霊魂と物質・肉体を区別する心霊主義の立場をとったウォレスを、観念論者であるリッチーが自然主義の立場から批判したことは、どのような意味を持つのか。もう少し突っ込んで考察すべきかもしれない。
2013-05-18 19:50:00高哲男「19世紀後半イギリスにおけるニュー・リベラリズムの台頭とダーウィンの道徳進化論——H. スペンサー, T. ハクスリー, D.G. リッチーを手掛かりに——」『エコノミクス』16.4 (2012): 99-170.読了。以上のツイートは、読みながらの雑感ツイート。
2013-05-18 19:57:32『社会学原理』における「社会の進化」をめぐる議論抜きにスペンサーを語ることは問題含みだと改めて認識。これは100%自戒。
2013-05-18 19:58:22