酸素魚雷は高性能ですってね?だけどお高いんでしょ?

通勤時間になんとなく垂れ流した魚雷の話。だけど性能の話じゃありません。
魚雷
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M-鈴木 甲15 @kapitan_black
以前書いたけど、酸素魚雷は実は航空機並みに「お高い」兵器。それは酸素魚雷が秘密兵器で特別に性能が高いから…だけではない。当時の日本にはそれだけの工業技術が備わっていなかったから…
M-鈴木 甲15 @kapitan_black
なにがそんなに高くする原因なのか?それを理解して頂くには、まず魚雷の構造を理解して戴かなくてはならない。いやさ…寸法がどうとか細かい数字に踏み込む訳じゃないのでご安心を
M-鈴木 甲15 @kapitan_black
一般に魚雷と呼ばれるものはWW2当時、2種類が存在した。1つが現代の主力魚雷である電池魚雷であり、文字通り電池で駆動するモーターで推進するもの。初期にはバッテリー劣化や過熱やらで性能は芳しくは無かった。
M-鈴木 甲15 @kapitan_black
無論、電気関連技術が弱点だった日本に満足が行く性能の電池もモーターも量産できよう筈も無く、この方向での発展はあっさりと命脈を断たれる。
M-鈴木 甲15 @kapitan_black
では、もう1つの魚雷のし走方式とは!?それはストレートに「内燃機関」である。 つまりは空気と燃料を積み込みエンジンを動かして(でなければ水を沸かして蒸気にしてタービンを回して)スクリューを回転させて進む訳である。
M-鈴木 甲15 @kapitan_black
初期の魚雷は射程僅か300mで火薬も少なく、ビックリドッキリメカの範疇を超える物ではなかった。しかし度重なる改良と技術革新に大型化は射程数kmに及ぶ高速魚雷を可能にした。しかし魚雷には大きな欠点があった
M-鈴木 甲15 @kapitan_black
まず、遅い。早くなったと言ってもせいぜい艦艇の1.5~2倍程度の速度しか出ない。当てるのは至難の業だった。 そして「見える」 これが痛い。 電池魚雷と違い、空気魚雷は燃料と圧縮空気を燃焼したガスを吹き出しながらし走するのだから当然であるが、航跡を明瞭に刻みながら進む。
M-鈴木 甲15 @kapitan_black
何が起きるか?避けられちゃうのだ
M-鈴木 甲15 @kapitan_black
そこで技術者は考えた。どうすれば航続距離を伸ばし速度を上げて見つかりにくくするか? 前者2つは単純だ、出力を上げて空気と燃料を増やせば良い(それだって大変だけどね)
M-鈴木 甲15 @kapitan_black
そして、3つ目の答は前者(なんと)同じ手段で解決可能だったのだ!ビバ!発想の勝利!たった一つの冴えたやり方か?(無論そんな旨い話はない)
M-鈴木 甲15 @kapitan_black
燃料を燃焼するには空気が要る。本当にそうか?実は空気じゃなくて、酸素が必要なのだ!空気中の約8割を占める窒素は燃焼になんら寄与しないのだ!しかも、水に溶け込みにくいので排気が目立つ原因ですらある。なら酸素だけにするとどうよ!?
M-鈴木 甲15 @kapitan_black
酸素だけにすれば、同じ燃料を燃やすのに必要なガスの量は1/5になる。つまり同じ圧力同じ体積で5倍の燃料を燃焼させる事が出来る。しかも排気ガスも1/4以下に減るし窒素ガスの割合が減るので少量の二酸化炭素と水蒸気しか排気しない。つまり見つかりにくくなるのだ!素晴らしい(机上のプラン)
M-鈴木 甲15 @kapitan_black
だが、困難はここから始まるのだ
M-鈴木 甲15 @kapitan_black
今度こそ続きを書こう・・・っつっても記憶頼りなので間違っていたら気が付いた諸兄、突っ込みヨロ>>魚雷
M-鈴木 甲15 @kapitan_black
斯様に素晴らしい成果を得るかに見えた酸素魚雷であるが、ではそんな美味い話を今まで誰も考えなかったのか?そんなこたない、世界各国みんな考えていた。結局は危険だったのである
M-鈴木 甲15 @kapitan_black
試作の段階で爆発が何度も繰り返された、何せ200気圧とかで保存する純酸素が燃料はおろか潤滑油に触れても爆発するのだ。エンジン始動時にいきなり爆発してしまう。この解決策も整備も管理も涙ものだが此処では割愛するが、量産以降、運用時にこれに起因する事故が無い事実には感動しておこう
M-鈴木 甲15 @kapitan_black
そんな危ないものは扱えない!保管も大変!と言うので彼の技術大国独逸でさえ(運用思想の差があったとは言え)敬遠したのであるから、戦争が犠牲や負担を厭わない行為だと良く解る・・・・ってね、
M-鈴木 甲15 @kapitan_black
では、問題はその「純酸素を保管する容器」になる訳ですな。気体を高圧で保存するのが大変なのは良く知られている話。通常、容器の方が内容物よりも重い。なにせ頑丈につくらないと破裂しちゃう。まして純酸素なんて怖くて余程完璧に仕上げないといけない
M-鈴木 甲15 @kapitan_black
では容器を作る手段。金属は薄くても引っ張り応力に耐えられる範囲であれば問題が無いので薄くできる。炭酸飲料の缶があんなに薄いのもそれなりの理由がある。だけどその強度は均一で欠陥(この場合分子構造の欠落を指す)が無い場合に限るのだけど・・・
M-鈴木 甲15 @kapitan_black
純金属のインゴットでも、余程の事が無いと内部に欠陥を抱えており、これが鋳物だったりするとガス発生で鬆は出来るは、湯流れ不全で境界が残るはで、とても理想の強度のものにはならない。つまり、鋳物で容器は作れない。
M-鈴木 甲15 @kapitan_black
では圧延した板金ならどうか?と言うと、板金の部分はいいんだけど、それをどうやって容器の形にするか?が大問題。プレスで出来る形状には限度があるし、結局は底と蓋と壁面(筒)を溶接で繋ぐ事になるけれど、溶接した箇所は性能が落ちる。弱くなるし漏れるかもしれない、出来るだけ使いたくない
M-鈴木 甲15 @kapitan_black
その辺、基礎技術や冶金技術が進んだ国は溶接で普通に仕上げちゃうんだけど、日本はそうはいかなかった。歩留まりが悪い。じゃ、どうするか?「圧延して作ったインゴットから削り出す」のである。茶筒を旋盤で作っちゃうあの感覚のまんま、アレである
M-鈴木 甲15 @kapitan_black
例えば、同じ容積の容器を作るのに、板を溶接してつくれば30kgで作れるものが、削り出しだと1tから削りだしたりする。まあ、強ちこれは笑い話ってものでもない。航空機の翼なんて今でも似た様なもので、一体構造の主翼を巨大なジュラルミンから削り出しで作る位は普通だものね
M-鈴木 甲15 @kapitan_black
が、しかし、それを国力も、鉄鋼生産量も、工作機械も無い(乏しい)国が作るとなると、何が起きるのか容易に想像が付くもの。即ち、同じ性能の魚雷を作ろうとした場合でも、日本の魚雷は馬鹿っ高い代物になるのである。もう、泣きたくなるほどに・・・・
M-鈴木 甲15 @kapitan_black
技術水準で決して優位に無いくせに、限られた同じ空間と同じ重さにより高性能のものを求めるならば、もうそう言った手段しか無い。しかも日本には魚雷に頼らざるを得ない理由もあった。
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コメント

enagoya @enagoya 2013年5月19日
何で帝国海軍だけが酸素魚雷を実用化していたのかって、軍事オタだった子供の時はぜんぜん考えてませんでした。軍機で残された情報も少ないんで、単に日本の技術がそんなに優秀だったのかと錯覚してましたわ。視野を広げてくれてありがとう。ロシアで今でもワルター機関(小沢さとるファンにはこれも懐かしい)が使われてるというのも収穫です。
M-鈴木 甲15 @kapitan_black 2013年5月19日
enagoya 過分なお言葉有難うございます。誤認や記憶違いの可能性もあると思いますので「ミリオタ気どりのおっさんが赤提灯で隣に陣取って呟いていた」程度の伝聞で捉えて頂ければ幸いでアリマス
アイヌ語で浮き草という意味だそうです。 @tokaov 2013年9月9日
下瀬火薬といい酸素魚雷といい日本軍はけっこうスリリング・・・。
合歓依 芳之 @SleepyEnsign 2013年10月29日
過去ログ読んでいてふと締めの文中「高速魚雷に非電池系が生き残る余地が今でもあるんだろうなぁ」あれ、オットー燃料レシプロエンジンとかリチウム燃料クローズドサイクルタービンとか・・・?とか普通に使ってなかった?とか思ってみるテスト
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