靖国問題と「慰安婦」問題について　《山崎雅弘》

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

靖国神社が信仰の枠を超えて政治問題化する背景には、「国に殉じた軍人の慰霊」と「大東亜戦争の肯定」という二つの意図が結合され、後者の意図を持つ人間が前者を隠れ蓑、あるいは批判から我が身を守る為の「弾除けの盾」として利用する巧妙な構図があると思います。@kenichiromogi

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

（続き）私が靖国神社の敷地内にある「遊就館」で調べものをする際は、やはり本殿を素通りすることができず、前者の思いを込めて「二拝二拍手一拝」で祈りを捧げます。しかし、先に述べた後者の「構図」に何とも言えない「いかがわしさ」を強く感じるのも事実です。@kenichiromogi

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

（続き）ちなみに外国が問題視するのは常に後者であって、前者ではありません。しかし日本では、意図的にそうしている人を含め、外国が前者に干渉していると理解して「外国にとやかく言われる筋合いはない」「諸外国にも同様の慰霊施設がある」と反発する人が多いです。@kenichiromogi

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

安倍晋三首相は、閣僚らの靖国神社参拝に中国や韓国が反発していることに関し「国のために尊い命を落とした英霊に尊崇の念を表するのは当たり前だ。わが閣僚はどんな脅かしにも屈しない」（産経）http://t.co/z8sSSNjLJp　これは、昨日のツイートで書いた通りの典型的な対応。

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

（続き）つまり相手国が「後者」を問題視していることを重々承知していながら、わざと相手国が「前者」に干渉しているかのように解釈した上で「毅然とした態度で相手国の理不尽な言いがかりを一蹴する」。それによって国内の「b集団」の自尊心は多少慰撫されるが、代償として何を失うかには無頓着。

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

日韓併合後、朝鮮人は日本国籍を付与された。言い換えれば、朝鮮人の慰安婦は当時の「日本人」だった。沖縄県民も「日本人」。ひたすら日本軍＝日本政府の免責のみを主張する「b集団」は、現実の国や国民ではなく「美化された国のイメージ」を尊ぶがゆえに、同胞である日本人にこれほど冷酷になれる。

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

慰安婦問題と沖縄の集団自決問題の共通点は、日本軍＝日本政府が直接命令・強制したか否かという一点に問題を矮小化し、それを立証する文書が見つかっていない事のみを声高に主張する集団が存在すること。日本軍＝日本政府の直接的関与以外の論点や、問題の全体像については、決して見ようとはしない。

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

原発で危険な作業に従事する作業員を、電力会社が直接雇用することは稀で、多くの場合は下請け・孫請け会社を介在することで、被曝隠しや健康被害等に関する電力会社の責任を回避している。下請け・孫請け作業員が「事前に伝えられていた現場と違う」原発で危険な作業に従事させられる例も少なくない。

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

日本軍と慰安婦の関係も同様で「慰安婦を直接雇用・徴用しなかった＝従って日本軍（日本政府）はこの件について何の責任も無い」ということにはならない。「直接雇用・徴用しなかった」のなら「間接的にどのような形態でどんな業者に慰安婦集めを委託したか」を明確に説明しない限り問題は解決しない。

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

靖国神社境内の付属施設「遊就館」公式サイト、展示内容の告知　http://t.co/zqKi4v0Nxq「祖国の行く末を信じ、アジア諸国の解放と共存共栄の新秩序を確立するという理想に燃えて、雄々しくも勇戦奮闘された数多の先人達の御事蹟を是非この機会に御拝観戴きたく存じます」

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

靖国神社の議論ではいつも「A級戦犯の合祀」が問題視されるが、私はむしろ遊就館の方が政治的問題としては大きい気がする。あれほどあからさまに「大東亜戦争を肯定」して憚らない施設は、日本中探しても他には見つからないと思う。A級戦犯を分祀しても遊就館がそのままなら問題は解消しないだろう。

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

「あの戦争を『侵略戦争』と見なすなら、亡くなった軍人は大義の無い不名誉な戦争で命を落としたことになる」から、彼らの名誉のために大東亜戦争の意義を肯定すべき、という意見を時たま見かける。一見すると「戦没軍人の思い」を代弁しているようにも見えるが、そこに疑問を差し挟む余地はないのか？

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

以前にも書いたように、太平洋戦争で亡くなった軍人の六割は餓死者といわれており、それを引き起こしたのは戦争指導部の不手際や認識の甘さ、そして人命軽視の思想だった。菊の御紋が入った小銃などの無機物よりも、兵士の生命を軽んじる価値判断基準が、当時の日本軍ではごく当たり前に通用していた。

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

戦争指導部の不手際や認識の甘さ、そして人命軽視の思想で生命を落とした日本の軍人は、自分をそういう境遇に追い込んで死に至らしめた「あの戦争」の実情を、後世の日本人が「肯定」したり「礼賛」することを本当に望んでいたのか？　それは本当に、亡くなった日本軍人の魂を、慰め鎮める行為なのか？

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

「慰安婦を正当化するつもりはない。日本がやったことは悪いが世界各国もやっていた。日本だけを批判するのは違う」（日経）http://t.co/Wu2rHyVsmM　「b集団」が好んで使うレトリック。「世界各国」には旧植民地や中立国は含まれない。強盗同士が互いの犯罪を正当化している。

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

「欧米の桎梏に苦しむアジア植民地を解放するために日本はあの戦争を始めた」という論理と「当時は欧米もやっていた悪事に関し日本だけ非難されるのはおかしい」という論理は、全然整合しないどころか正反対の理路だが、なぜか「b集団」はこの二つの矛盾に気づかず、場面ごとに両者を使い分けている。

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

「日本だけ非難されるのはおかしい」とは「当時は欧米もやっていた悪事を日本もやっていました」と認める論理ですね。ある場面では「欧米の悪事と一線を画す」側に立っているかのように見せかけ、別の場面では欧米と同じ「苦しめる側」にいたと認めるのは論理の矛盾でしょう。@shinji_kono

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

「告知を見て応募したら違う仕事をさせられた」という慰安婦の手記を見るたび、福島第一原発で働く作業員が同様の抗議をしていたのを思い出します。相違点もありますが、人間を道具として扱い、中間業者を挟むことで大元の責任が追及されない仕掛けが施してある図式は同じ。@KazuhiroSoda

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

「沖縄タイムス」の元記事（2013/03/26 10:37）は期限切れでネットでは読めなくなっているが、関東学院大の林博史教授と佐治暁人講師が入手した第32軍の軍法会議処刑者目録によれば、沖縄戦直前の半年間に沖縄で多発した日本軍人による強姦事件で、処罰された者はゼロだったという。

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

（続き）「44年9月の会報で軍は、強姦が多発し、直属の上司に至るまで極刑を科すと警告している。林教授は『厳罰に処すと言いながら、軍法会議では全く裁かれていない。そうした上層部の体質が、沖縄戦における日本軍の横暴を野放しにしたのではないか』」（沖縄タイムス、2013年3月26日）

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

日本軍人による日本人女性（沖縄県民）への強姦が、軍法会議で全く裁かれなかったとしたら、日本軍の慰安婦の扱いはどんなものであったか。「他の国も同じようなことをやっていた」と、当時の日本軍の体質を一般化しようとする主張は「8も2も、0ではないから10と同じ」という極論による印象操作。

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

「他国も同じようなことをやっていたのに、日本だけが批判されるのはおかしい」とは、旧日本軍の行為を弁護する際に「b集団」がよく使う文言だが、例えば人権侵害の問題では日本以外の国（中国や旧ソ連など）も批判・非難されているし、特に「日本だけ」が集中的に批判されているという事実は無い。

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

「日本のケースだけ『慰安婦』を『性奴隷』と呼ぶのは不当だ」という意見がある。だとしたら、日本軍人への性的奉仕という仕事を「辞める」選択肢を与えられず、軍の管理する輸送手段で戦地から戦地へと施設の備品のように移送された女性たちを言い表す呼称として、他にどんなものが考えられるだろう。

山崎 雅弘 @mas__yamazaki

日本軍の慰安婦問題が海外で批判されるのは、それが戦地周辺での軍人相手の売春の黙認とは次元が異なる、組織ぐるみでの「人権侵害行為」と認識されているからだろう。軍人・民間人・捕虜のいずれに対しても人権という概念を持たなかった日本軍と同程度の人権感覚の人には、両者の違いは判別できない。