茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第947回「つぶやきと、さえずり」
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連続ツイート947回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、ずっと気になっていたことについて考えを整理するシリーズ!
2013-05-22 06:25:53つさ(1)ツイッターは、すっかり日本の日常の一部となった。新聞やテレビなどのメディアも、ツイッターの「つぶやき」をニュース元とすることが多くなった。ところで、この「つぶやき」という日本語は、すっかり定着しているけれども、もともとのtweet(ツイート)と比較すると面白い。
2013-05-22 06:30:27つさ(2)ツイッターが生まれた英語圏でのtweetは、小鳥がぴいぴいとか鳴くようなイメージで、どちらかと言えば愛らしく、また一生懸命やっている感じ。そこには、ひたむきさがある。鳥はなぜ鳴くのかといえば、自分の存在を知らせようとしているのである。それがぴいぴいなのでカワイイ。
2013-05-22 06:31:42つさ(3)tweetを、日本語に直訳すれば、「さえずり」ということになるのだろう。ところが、日本語では、「さえずり」という言葉はあまり広い用法を持たない。ヒバリがさえずっているといいのはいいけれども、人間については、「さえずり」はどちらかというと特殊な文脈で用いられる。
2013-05-22 06:33:16つさ(4)例えば、コワイ親分が、若い衆に向かって、「ふふふ。あいつは、もう少しさえずらせておけ」というような。どちらかと言うと、否定的な額縁に入れて収納されてしまう言葉が、「さえずり」であるように思われる。だから、tweetが「さえずり」と訳されなかったのだろう。
2013-05-22 06:34:29つさ(5)定着したのは、「つぶやき」。きっかけとなった方もいらしたようだが、結局、この語感が日本人にフィットしたから、人々の間で広まった。英語圏では、人々はtwitterでtweet(さえずり)するが、日本では、人々はtwitterで「つぶやく」のである。
2013-05-22 06:36:12つさ(6)ところで、「つぶやき」という単語に対して、みなさんはどんなイメージを持っているだろうか? 例えば、酒場でおやじがぶつぶつつぶやいている、みたいな? ポジティヴなつぶやきもあるかもしれないが、どちらかと言うと、人の目を気にしつつ、思わずもらす不満、批判みたいなニュアンス。
2013-05-22 06:37:21つさ(7)http://t.co/BxJDM3mP1j に集められている「つぶやき」の用例を見ても、どちらかと言えば否定的な感情の乗せられたケースが多いようだ。そう思って、改めて日本語のツイッター言語空間を見ると、確かに、不平不満ルサンチマンを背景にした言葉、多くないっすか?
2013-05-22 06:38:56つさ(8)私自身は、日本語のツイッターで不平、不満、ルサンチマンから出てきた「つぶやき」が多いことは、必ずしも悪いことじゃないと思っている。そういう感情を内に溜めているよりは、外に出した方がいい。ただ、他人に向けられると、とばっちりというか、ちょっと迷惑だけどね。
2013-05-22 06:40:13つさ(9)原義のtweetのように、本当にかわいらしいさえずりのような「つぶやき」が好きだ。そういう気持ちのいい「つぶやき」も、実際増えてきているよね。ツイッターでそんな「つぶやき」が定着することで、日本語の「つぶやき」の意味も、愛らしく明るい方に変わったら、素敵だよね。
2013-05-22 06:41:51