2010年9月15日

「午後0時の小説ラジオ」・「議会制民主主義は奴隷制か」

「午後0時の小説ラジオ」・「議会制民主主義は奴隷制か」
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高橋源一郎 @takagengen

本日の予告編1・久々に「小説ラジオ」をやってみます。一カ月ぶりぐらいでしょうか。新しくフォローされた方に説明しておくと、連投ツイートです。ただし、これまでは「午前0時」スタートでしたが、現在、「主夫」業をやっているため、その時間は睡眠タイムなので、12時(午後0時)に変更します。

2010-09-14 11:08:43
高橋源一郎 @takagengen

本日の予告編2・「9・11」も過ぎ、今日は民主党の代表選挙の日です。この夏、折に触れた考えていたことを少しずつツイートしていけたらと思っています。深夜ラジオもいいけれど、お昼のまったりタイムにあれこれ考えてみるのもいいと思います。今回のタイトルは「議会制民主主義は奴隷制か」です。

2010-09-14 11:12:47
高橋源一郎 @takagengen

本日の予告編3・近頃つくづく思うのは、ほんとにぼくは何も知らないんだなということです。それに気づいただけでも、ぼくにとってはたいへんな収穫でした。何も知らないから、何でも基礎から勉強です。もちろん、そんなことは、ひとりでこつこつやってもいいことかもしれない。でも、そうじゃない。

2010-09-14 11:18:20
高橋源一郎 @takagengen

本日の予告編4・カントは、なにかを考えるということは、他人に向かって語りかけることだ(正確には、「他人の視点を持て」ですが)と言っています。ぼくも同感です。なにかを考えるということは、独り言とは違うのですからね。それでは、午後0時(午前12時)にお会いしましょう。

2010-09-14 11:27:10
高橋源一郎 @takagengen

「午後0時の小説ラジオ」・「議会制民主主義は奴隷制か」1・ルソーの『社会契約論』をこの夏読んだ。「人民主権」について書いてあるとか、民主主義の原典であるとか、フランス革命の精神的バックボーンだったとか、そんな知識はあったけど、読んだことはなかった。で、読んで、驚愕したのだ。

2010-09-14 12:00:21
高橋源一郎 @takagengen

「民主主義」2・こんな本をいま出したら「頭、おかしい!」と思われる内容だ。というか、進み過ぎていて理解できない。あるいは「現実離れ」しているとか。しかし、実際に『社会契約論』は圧倒的な影響力を持っていたのである。いや、現在の、この国にこそこの本はふさわしい、とぼくは思った。

2010-09-14 12:04:15
高橋源一郎 @takagengen

「民主主義」3・ルソーはこう書いた。「イギリスの人民はみずからを自由だと考えているが、それは大きな思い違いである。自由なのは、議会の議員を選挙する間だけであり、議員の選挙が終われば人民はもはや奴隷であり、無にひとしいものとなる」これは250年前のイギリスについて言われたものだ。

2010-09-14 12:07:46
高橋源一郎 @takagengen

「民主主義」4・しかし、現在の日本でも同じだ。ルソーにいわせれば、ぼくたちは「奴隷制」を喜んで受け入れている愚か者だ。もちろん、反論はいくらでも浮かんでくる。対案はあるのか? 議会制民主主義がダメだというなら、直接民主主義? そんなの不可能だろ? もちろん反論など予想済みだ。

2010-09-14 12:10:52
高橋源一郎 @takagengen

「民主主義」5・少し長いが、「人民主権」というものを、ルソーがどう考えていたか、引用してみる。「市民たちの主要な仕事が公務ではなくなり、市民たちが自分の身体を使って奉仕するよりも、自分の財布から支払って奉仕することを好むようになるとともとに、国家は滅亡に瀕しているのである…」

2010-09-14 12:15:03
高橋源一郎 @takagengen

「民主主義」6・「…[兵士として]前線に出兵しなければならないというなら、市民は[傭兵の]軍隊に金を払って、自分は家にとどまろうとする。会議に出席しなければならないというなら、市民は代議士を任命して、自分は家にとどまろうとする…」

2010-09-14 12:17:05
高橋源一郎 @takagengen

「民主主義」7・「……怠惰と金銭のおかげで、市民たちはついに兵隊を雇って祖国を奴隷状態に陥れ、代議士を雇って祖国を売り渡したのである……うまく運営されている公民国家では、市民たちは集会に駆けつけてゆくものだが、悪しき政府のもとでは、市民たちの誰も、集会に出席するために一歩でも…」

2010-09-14 12:19:44
高橋源一郎 @takagengen

「民主主義」8・「…動こうという気にならないものだ。誰も集会で決議されることに関心をもたないからであり、集会では一般意志が支配しないことが予測できるからであり、最後に自宅での[私的な]仕事に忙殺されるからである…誰かが『それがわたしに何の関係があるのか』と言いだすようになったら」

2010-09-14 12:22:02
高橋源一郎 @takagengen

「民主主義」9・「…すでに国は滅んだと考えるべきなのである」。だから、ルソーが考えた「人民主権」の原理は、「市民(国民)」が全員参加する直接民主主義だった。さて、どうだろう。ルソーは実現不可能な「机上の空論」を書いたのだろうか。『社会契約論」を読んでいると、そうは思えないのだ。

2010-09-14 12:25:28
高橋源一郎 @takagengen

「民主主義」10・国民や市民がそのまま武装する「民兵」的な考えも、全員参加の民主主義も現実には不可能に見える。だが、実際に、ルソーの考えは深い影響を与えている。それは、政治というものが、放っておくと「現実主義」にとめどなく陥ることをルソーは知っていたからだ、とぼくは思う。

2010-09-14 12:28:30
高橋源一郎 @takagengen

「民主主義」11・ルソーは、直接民主主義を「原理」としつつ、実際には、実在する議会への働きかけもやめなかった。目の前で起こる現実としての政治は、いつかたどり着く目的地としての「原理」を目指す限りにおいて認めていた。目の前の議会制度を「動かすことのできないシステム」と考えるか……

2010-09-14 12:32:03
高橋源一郎 @takagengen

「民主主義」12・……それとも、「欠陥の多いシステムだが、絶えず更新することによって、究極では、『原理』的なシステムへと進化させうるもの」と考えるかによって、態度は異なる。ルソーは、人民主権に関して、厳しい「原理」主義者であると同時に、後者の意味で、現実主義者でもあった。

2010-09-14 12:34:40
高橋源一郎 @takagengen

「民主主義」13・ぼくがこのようなツイートをするのは、この国で、たとえば、「民主主義」について語る時、あまりに「現実主義」的であるからだ。だが、ルソーは、そのような態度を「現実主義」とは呼ぶまい。それは、ただ「現実(現状)追認」的であるにすぎないのである。

2010-09-14 12:37:45
高橋源一郎 @takagengen

「民主主義」14・ルソーの「人民主権」の「原理」は、「市民」の全面的な政治参加を基本にしている。それは、あまりにハードルが高い、人びとへ求めるものが多すぎる理想なのかもしれない。それが不可能だというなら、ぼくたちは、「すいません。奴隷でいいです」というしかないのかもしれない。

2010-09-14 12:40:52
高橋源一郎 @takagengen

「民主主義」15・もう一つ、『社会契約論」で忘れてはならない論点がある。ぼくが、この本を読み始めたのも、そのためだ。ぼくは、この論点を、東浩紀さんの連載で知った。詳しくは、いずれ、東さんが書いて下さるだろうから、ぼくはぼくの理解できる限りのことをここでしゃべってみたい。

2010-09-14 12:44:13
高橋源一郎 @takagengen

「民主主義」16・それは、「人民主権」に関して、ルソーが書いた、もっとも難解で、かつもっとも本質的な箇所だ。驚くべきことは、ルソーにとって「原理」であった、この論点が、現代では、物理的に可能になるかもしれないということだ。ルソー的な「原理的」民主主義が、現実化しうるのである。

2010-09-14 12:47:19
高橋源一郎 @takagengen

「民主主義」17・ルソーは共同体のすべての成員が参加する会議での決議に「一般意志」が現れるとした。そして、「一般意志」こそ、「人民主権」の最大の根拠としたのである。しかし、その説明がなかなか難しい。ぼくも何度も読んで、ようやくわかった(ような気がした)ぐらいだ。まず引用してみる。

2010-09-14 12:52:32
高橋源一郎 @takagengen

「民主主義」18・「一般意志は、全体意志とは異なるものであることが多い。一般意志は共同の利益だけを目的とするが、全体意志は私的な利益を目指すものにすぎず、たんに全員の個別意志が一致したにすぎない。あるいはこれらの個別意志から、[一般意志との違いである]過不足分を相殺すると…」

2010-09-14 12:55:01
高橋源一郎 @takagengen

「民主主義」19・「…差の総和が残るが、これが一般意志である。……。人民が十分な情報をもって議論を尽くし、たがいに前もって根回ししていなければ、わずかな意見の違いが多く集まって、そこに一般意志が生まれるのであり、その決議はつねに善いものであるだろう」。でもなんだかよくわからない。

2010-09-14 12:57:31
高橋源一郎 @takagengen

「民主主義」20・具体的に説明してみよう。「会議」で、あることがテーマになる。「憲法9条」の改正を例にとろう。「差の総和」とは、「個々の意見の違い」を全部足したものだ。たとえば、100人が意見を言う。全員が違う意見だとする。それこそが「一般意志」だとルソーはいうのである。

2010-09-14 13:01:23
高橋源一郎 @takagengen

「民主主義」21・ルソーは驚くほど奇妙なことを、というか、きわめて原理的なことを考えていた。まず、ある共同体の成員は、全員が「人民集会」に参加しなければならない。あるテーマについてできるだけ情報を集めなければならない。その上で、自分の意見が固まるまで他人の意見を聞いていけない。

2010-09-14 13:04:24
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