『仮置き場が一番「安全」』という意味は?

仮置き場というのは、除染の後に発生する土壌を、一時的に保管する場所のことである。発生する汚染土壌は、フレキシブル・コンテナ(通称フレコン)に入れて保管する。 もしこのフレコンが、その仮置き場の隅に置いてあった場合、その付近での空間線量率が一番低い場所は、実はその仮置き場の敷地の中心付近、という場合があった。 まさかね。でも本当。それは、なぜだろう?
94
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

@y_mizuno 以下は補足。「仮置き場周辺は放射能が強い」→「仮置き場周辺は放射能が強い場所の空間線量率」というような意味。そして実際は線量率が弱くなる。仮置き場ではフレコン(フレクシブル・コンテナ容器)を積み重ねるので、自己遮蔽・相互遮蔽の結果、空間線量率は劇的に下がる。

2013-05-22 20:53:42
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

補足2。除染して出る、放射能の強い土壌を1箇所に集めても、放射能は不変。つまり放射性物質の原子数は減らない(消せない)ので放射能の総ベクレル数は同じ。どう頑張っても減らせない。ただし人体への影響は減らせる。後ろのフレコンの放射線を、手前のフレコンの土壌で遮蔽できるので、減らせる。

2013-05-22 21:32:01
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

補足3。除染して出る、放射能の強い土壌をフレコン容器に入れて、全部を1箇所に集めるとどうなるか。フレコン容器の表面に人が接近すると、そこでの空間線量率は、元の土壌程度には上がる(当然)。だがその容器から少し離れると、空間線量率は急激に下がる。これは、被曝を避ける3原則の1つです。

2013-05-22 21:46:23
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

補足4。被曝を減らす3方法1)遠ざかる、2)時間を減らす、3)遮蔽する。仮置き場では、除染前の放射能(ベクレル総数)と変わらないのに、被曝影響(シーベルト)は劇的に減る。なぜか。除染前は、直径500mの全部から放射線が飛来する(空気での遮蔽)。仮置き場では土で遮蔽する。この違い。

2013-05-22 21:53:35
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

補足5。空気中で、セシウム137のγ線(662keV)の平均自由行程(空気中の原子にぶつからずにγ線が飛べる距離)は、常温の空気中で107mもある。だから除染する前は、その場所だけでなくて、その周辺の全部から、γ線が飛んできている。目安は半径200~300m(直径500m程度)。

2013-05-22 21:59:35
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

補足6。だから家屋の周囲を除染するだけでは、効果がない場合もある(運良く減る場合もある)、ということにもなるわけだ。この除染後の土を、フレコン容器に入れて1箇所に集めると、結局同じ放射性物質を、空気でなくて土で遮蔽することに相当する。ここで土の遮蔽効果は、空気の1000倍も強力。

2013-05-22 22:06:49
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

補足7。例えばセシウムの標準線源をガイガーカウンターで測定する場合、線源を接近させるとガーと鳴るが、遠ざければすぐに減る。これと同じことが仮置き場で起こる。例えば仮置き場の片隅にフレコンが積んである場合。その仮置き場の周辺で、空間線量率が一番低いのは、実はその仮置き場の中央付近。

2013-05-22 22:15:31
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

補足8。こういうことは、私は事故当初から頭では分かっていた。だが実際に自分で測定してみて、その劇的効果(例えば仮置き場の真ん中が、実は、空間線量率が一番低いという衝撃的事実)を自分で確かめてみるまでは、なかなか信じられなかったし、確かめてみてやはり正直に驚かざるを得なかった。

2013-05-22 22:21:41
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

補足9。2012年11月、某市の仮置き場に、市担当者に案内され、入って測定をさせてもらった時。仮置き場の敷地の真ん中で、空間線量率は、奇妙なほどに下がる。一体、何がどこから来ているのだろうと考える。頭では分かっている。仮置き場の敷地から外に出ると、また空間線量率が上がるのである。

2013-05-22 22:31:35
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

補足10。逆説的な言い方を恐れずに敢えて言うなら『仮置き場が一番「安全」』という奇妙なことが、現実に起こる。この事実と、その理解の基礎知識が仮に社会的にも伝わり、理解されたとしよう。実際は無理だと思う。今のメディア状況では。しかし仮に理解されたとする。するとどうなるかと夢想する。

2013-05-22 22:40:12
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

補足11。しかし、いずれ、正しいことは理解されるとも思っております。

2013-05-22 22:48:21
Haruhiko Okumura @h_okumura

@y_mizuno 田崎先生 http://t.co/O9kxwffflM の「ベクレルからシーベルトへ」pp.17-18あたりを考えると,半径10mの寄与が半分以上のように見えます

2013-05-22 22:26:54
Hal Tasaki @Hal_Tasaki

@h_okumura @y_mizuno http://t.co/xF11DEq5dB にもろに計算結果があります。測定点が高さ1mとすると、半径8mの円内からの寄与が50%となりました。もちろん理想的な場合の机上の計算ですが。

2013-05-22 22:38:20
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

@HalTasaki_Sdot @h_okumura はい、半分はその外側と言ってもよいですし、別の言い方をするなら、半分にしか減らない。そのあとが、なかなか減りませんよね。

2013-05-22 22:43:07
伊藤京一郎 Itoh Kyoichiro @sabakusare

@HalTasaki_Sdot @h_okumura @y_mizuno 私にはほとんどよく分からないのですが,かなりリアルに、原子や粒子や放射線の広がりやら,被爆の可能性が,想定できるのですね?

2013-05-22 22:51:34
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

@sabakusare さん、私が実際にその計算もやった上で、現地で測定した結果によれば、ほぼ予想通りに変化します。高さ依存性とかについて。ただしそれは理想的な状況(無限に一様に広がった場合)なので、実際には状況判断が必要です。@HalTasaki_Sdot @h_okumura

2013-05-22 23:05:33
伊藤京一郎 Itoh Kyoichiro @sabakusare

@y_mizuno @HalTasaki_Sdot @h_okumura なるほど、放射線の広がりは「無限に一様に広がった」との想定では、数百メートル?に広がる可能性を想像できるのだけれど、「高さ依存症」?については、気圧、雨?といった要因でビミョーな判断が必要ということですか?

2013-05-22 23:14:32
MIZUNO Yoshiyuki 水野義之 @y_mizuno

@sabakusare さん、「「高さ依存症」?については、気圧、雨?といった要因でビミョーな判断が必要」…もあるでしょうが、そもそも「無限に一様に広がった状況」は近似的にも「ない」ので、現実的な広がりや分布具合等に判断が必要。@HalTasaki_Sdot @h_okumura

2013-05-22 23:22:39