シマウマ(f_zebra)さんと考える『「科学的な検討」に求められるものはなんだろう?』

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Flying Zebra @f_zebra

敦賀2号機の活断層の問題について、規制委の主張は科学的な合理性を欠いており、原電としても廃炉は考えていない。とにかく早く脱原子力を実現したいという人は追い風と感じるかもしれないが、自らの主張に都合がよければ理屈は何でもいいという態度は非常に危うい。

2013-05-23 22:22:00
Flying Zebra @f_zebra

調査に参加した専門家からも疑問が出るような結論ありきの、客観的なデータに基づかない検討の結果が「科学的な検討」を騙ってまかり通るのを受け入れてしまえば、今後都合の悪い検討結果が恣意的に出された時に反論する根拠がなくなってしまう。

2013-05-23 22:22:39
Flying Zebra @f_zebra

現在はとにかく原子炉の稼働を阻止することを目的としているように見受けられる人たちが検討を仕切っているが、前政権の置き土産の陣容がいつまでも続く保証はない。だれかの意思で合理的な結論がねじ曲げられないようにするためにこそ、科学的な検討が必要なのだ。

2013-05-23 22:23:31
Flying Zebra @f_zebra

科学の世界でも異論が出るのは普通だが、そこは確立された科学のルールに則って堂々と議論すればいい。科学は万能ではないが、不確実性の高い事項について、神ならぬ誰かの思い付きよりはよほど合理的な結論を出せる。

2013-05-23 22:25:17
Flying Zebra @f_zebra

最初から結論が決まっているような検討というのは、客観的なデータとは関係なく結論が出ることになるため、それを認めてしまうのならばもはや調査など意味がなく、当然ながら合理的な安全性などは求めるべくもない。

2013-05-23 22:25:57
Flying Zebra @f_zebra

原発さえ止めてしまえば安全になるのだから何でもいいのだ、という考えもまた安直に過ぎる。自動車を一切使わなければ自動車事故を恐れる必要はなくなるが、それで社会が安全になるわけではない。リスクは、単体で考えても意味がないのだ。

2013-05-23 22:27:21
Flying Zebra @f_zebra

自動車の例では、事故などのリスクはあるが社会に大きな利便性をもたらし、結果的に社会全体のリスクは自動車がない場合よりも小さくなる。リスクが「ある」のは当たり前で、問題はそれがどの程度大きい(小さい)かということだ。そこを判断するのには科学が役に立つ。

2013-05-23 22:28:55
Flying Zebra @f_zebra

原子力発電にしても、リスクがあるのは間違いない。しかし他の発電方式にもそれぞれにリスクはあるし、電力が足りなくなることにはもっと大きなリスクがある。社会全体のリスクを小さくするには、それぞれのリスクがどの程度かを評価し、比較しなければならない。

2013-05-23 22:30:25
Flying Zebra @f_zebra

廃炉にできるのなら何でもいい、ではなくて、直下に活断層がある蓋然性がどの程度なのか、そしてそれが安全性にどのように影響するのか、それらを科学的に評価した上で廃炉にした方がリスクを下げられると判断したのであれば、その判断には合理性がある。

2013-05-23 22:31:36
Flying Zebra @f_zebra

逆に言えば、定義のあやふやな「活断層」という概念に一致するか否かばかりに腐心し、しかも科学的検証のプロセスを無視した拙速な結論では、その結果が社会全体のリスクを高めるのか低めるのかを判断する根拠にはならない。

2013-05-23 22:33:09
Flying Zebra @f_zebra

もう一つ、敦賀2号機の廃炉を願って止まない人たちが見過ごしがちな事実を指摘しておこう。廃炉に伴う莫大な費用は、一部の「原子力ムラ」だけではなく、国民全てが負担することになるのだ。

2013-05-23 22:34:18
Flying Zebra @f_zebra

仮に原子炉直下の破砕帯が活断層で、近々動いて過酷事故を引き起こすリスクが許容できないほど高いことが判明したとしよう。その場合、当然設置許可は取り消され、日本原電がどう抵抗したって廃炉は確定する。ではその費用は誰が負担するのだろうか。

2013-05-23 22:35:32
Flying Zebra @f_zebra

廃炉費用は販売電力収入から積み立てているが、廃炉時期が想定より早まれば当然不足する。国が出した設置許可に基づいて民間企業の日本原電が設備投資し、償却前に国が事後的に設置許可を取り消すのだから、それに伴う追加負担は国が補償しなければならない。

2013-05-23 22:36:47
Flying Zebra @f_zebra

何とかうまい方法で国が責任を逃れたらどうだろうか。日本原電は東電、関電など各地域電力会社が出資して設立した会社なので、結局は電力業界全体が負担を被ることになる。原子力ムラが辛酸を舐めていい気味、と思うかもしれない。本当にそれだけで収まるだろうか。

2013-05-23 22:38:41
Flying Zebra @f_zebra

残念ながら、生活インフラなど国民の生活に不可欠なサービスを提供している企業でしかも代わりの提供者がいない場合は、負担は料金に転嫁されて結局は遍く利用者、つまり国民(沖縄電力管内を除く)に降りかかることになる。

2013-05-23 22:40:03
Flying Zebra @f_zebra

いやいや、そこは監督する経産省が頑張って値上げを認可しなければいいじゃないか、原子力ムラの自業自得なんだから国民に負担を押しつけるなんてケシカラン、という意見が聞こえてきそうだ。現実味は薄いが、もし本当に経産省が頑張ったらどうなるだろうか。

2013-05-23 22:41:01
Flying Zebra @f_zebra

既に経営資源の余力がなく人件費の削減まで実行している電力各社は、たちまち経営が行き詰まる。設備の保守・更新もままならなくなり、人材を繋ぎ止めることもできずノウハウも失われる。電力品質は落ち、停電が頻発して復旧にも時間が掛かるようになるだろう。

2013-05-23 22:41:53
Flying Zebra @f_zebra

そもそも売れば売るほど赤字になるのだから、無理をして供給力を確保する動機もなくなる。代替供給者が出現すれば、あっという間にシェアを奪われ既存電力会社は消滅するだろう。理想的なシナリオに聞こえるかもしれないが、残念ながらそうはならない。

2013-05-23 22:42:49
Flying Zebra @f_zebra

なぜなら、既存の地域電力会社の事業規模を代替できるようなノウハウを持った企業はなく、仮に設備を引き継げたとしても事業の継続は不可能だ。もし人材ごとそのまま引き継ぐのであれば、結局何も変わらない。誰がやるにせよ、負担が消えるわけではないのだ。

2013-05-23 22:44:25
Flying Zebra @f_zebra

なお、代りの供給者が育つ前(5年や10年では難しいだろう)に既存の電力会社の経営が破綻して事業が継続できなくなってしまえば、社会全体が被る被害は電気料金の値上げなどとは比べものにならないほど甚大になる。

2013-05-23 22:45:40
Flying Zebra @f_zebra

結局、現在既にある原子力設備や使用済燃料はいずれは処分しなければならず、その責任を誰かに押しつけて逃れることはできない。国民に選ばれた政府が進めた政策によるものなので、国民が責任を取るのは当然だ。

2013-05-23 22:47:21
Flying Zebra @f_zebra

合理的な安全確保の下、償却が済むまで活用することができれば国民の負担が今以上に増えることもなく、地層処分などまだ研究が必要な分野に投資することも可能になる。まだ使えるものを政治判断で廃止するのであれば、その分増える負担は国民が担わざるを得ない。

2013-05-23 22:48:20
Flying Zebra @f_zebra

社会全体の経済的な負担は社会の安全に大きく影響する。豊かな社会ほど様々なリスクが低く、人が長く健康に生きられるのは歴然たる事実だ。原子力に依存するリスクが経済的な負担によるリスクに比べて大きいのか小さいのか、よく考える必要がある。

2013-05-23 22:49:21
Flying Zebra @f_zebra

再三主張していることだが、厳しいだけの規制は安全な規制とは明確に異なる。リスクは相対的なものなので、あるリスクを避けると別のリスクが増えることを常に意識しなければ、全体のトータルリスクを低くすることはできない。

2013-05-23 22:50:05
Flying Zebra @f_zebra

種類の異なるリスクの比較というのは、感覚では難しい。そのため科学的な手法で定量化し、共通のものさし(例えば人の致死確率のような)で比較することが必要になるのだ。これも繰り返しになるが、科学的な検討を否定しては、安全を確保することはできない。

2013-05-23 22:51:00