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2013年5月25日

「量子力学ってどうも騙されているようで納得できない」人のための量子力学入門連ツイ

『日経サイエンス』の記者兼編集者、古田彩さんによる「量子力学ってどうも騙されているようで納得できない」人のための、日経サイエンス7月号「特集:量子の地平線」の前説連ツイ。まだ続くようなので、暫定まとめです。
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古田彩 Aya FURUTA @ayafuruta

本日書店に並んだうちの最新号は,がっつり量子論特集です。量子の基礎論に関する最近の議論を,立場を異にする3人の物理学者に書いて頂きました。(続) http://t.co/zVn8Ur3fkz

2013-05-25 20:56:23
リンク 日経サイエンス 最新号の紹介 | 日経サイエンス
古田彩 Aya FURUTA @ayafuruta

量子力学ってどうも騙されているようで納得できない,と思っている人は多いと思います。箱の中の猫は生きていて同時に死んでいるとか,すんごい離れたところにある2つの粒子がテレパシーしてるみたいに影響し合うとか,言ってること変だし。(続)

2013-05-25 20:57:03
古田彩 Aya FURUTA @ayafuruta

一向に分かりやすい説明が出てこない理由の1つは,量子力学の式は,物理的な意味がわからないからです。それを解いて,測定した時に何が見えるかを知ることはできるけど,式自体が何を表しているのかは想像がつかない。

2013-05-25 20:58:53
古田彩 Aya FURUTA @ayafuruta

これが相対論なら「光の速度は見る人によらず一定」,古典力学なら「加速度は力に比例する」という風に,式には物理的な意味があります。でも量子論はまず式ありき。ただその式が恐ろしいほど実験とよく合うので,みんな信じてるわけです。(続)

2013-05-25 20:59:50
古田彩 Aya FURUTA @ayafuruta

なので,量子力学の式をどう理解するかについては,すごく色んな見方があります。「測定した時に何がどんな確率で見えるかを予測する数学形式にすぎない」と考える人から,「見ていないものの状態を表し,そのすべてが実在する」と考える人まで千差万別。全然意見が合わない。

2013-05-25 21:00:54
古田彩 Aya FURUTA @ayafuruta

そんな量子力学,一体どう納得すればいいわけ? というのが,今回のテーマです。(続)

2013-05-25 21:01:26
古田彩 Aya FURUTA @ayafuruta

トップバッターの谷村省吾 @tani6s 先生は,量子力学の式はミクロな世界にある電子や光子などの物理を直接表す,という立場です。ただ,量子の式に直接物理的な意味を与えることはしない。(続)

2013-05-25 21:09:05
古田彩 Aya FURUTA @ayafuruta

その抽象的な数学的性質から,実際の物理現象がどんな風に立ち表れるかを追求していこう,という方向だと思います。(続) http://t.co/ALWn9oMUsf

2013-05-25 21:10:19
古田彩 Aya FURUTA @ayafuruta

量子力学には,見ていてもいなくても月は同じように存在するという「実在性」の有無や,銀河の端と端にある2個の粒子がお互いの変化を感じ取れるかのように振る舞う「非局所性」をどう理解するかなど,科学の議論からスベりそうな論点が色々ありますが,(続)

2013-05-25 21:11:08
古田彩 Aya FURUTA @ayafuruta

そういう観念的に見える問題が,意味の解釈を排した数学のロジック(物理量の代数)だけで,スパッと整理されていくのが意外です。やり方としては「ドライでストイッ ク」(谷村先生)なのですが,初めは抽象的かつ天下り的に見えた数学も,読み進めるうちに何となく物理っぽく見えてきます。(続)

2013-05-25 21:12:08
古田彩 Aya FURUTA @ayafuruta

こう書くと難しそうですが,不思議なことに,記事は難しくありません。昨年谷村先生が書かれた「光子の逆説」を読んだ方は想像がつくと思いますが, 飄々とした語り口に騙されて,スルスルと読まされてしまう。読み終わった後で「何か凄いこと言われたようだ」と気づく。そんな感じ。(続)

2013-05-25 21:13:14
古田彩 Aya FURUTA @ayafuruta

高校生の方にも読んで頂けると思います。あー,ここまででかなり長くなってしまった。あまりTLを埋めても何なので,あとの2本についてはまた改めてご紹介します。(いったん了)

2013-05-25 21:14:01

第2講

古田彩 Aya FURUTA @ayafuruta

昨日の「量子力学ってどうも騙されているようで納得できない」人のための量子力学入門連ツイ http://t.co/RrkfOSI3eq 続きです。

2013-05-26 19:12:50
古田彩 Aya FURUTA @ayafuruta

谷村先生は,式に出てくる抽象的な数学概念こそが量子の世界の「本性そのものか,それに肉薄した概念」だと見ています。抽象的な数学を出発点に置き,そこから量子世界の特徴(例えば「測っていない物理量の値は存在しない」)を引き出すことで,数学的な本性を理解しよう,という方向です。(続)

2013-05-26 19:15:06
古田彩 Aya FURUTA @ayafuruta

次に登場する木村元先生は,量子力学の始まりが抽象的な数学のままじゃ納得できない,出発点を変え,物理的に実験できる原理から始めよう,と主張します。思い切った提案で,物理学者でも知る人は多くないと思いますが、量子の基礎論や量子情報の人の間で,最近興味を持たれている考えです。(続)

2013-05-26 19:16:49
古田彩 Aya FURUTA @ayafuruta

突然引き合いに出してアレですが、相対論だって「速く動くと時間は遅れる」とか,量子論に負けず劣らず変ですよね。でも物理学者は納得していて,「相対論は何を語るか?」なんて議論にはなっていない。それはなぜか。(続)

2013-05-26 19:17:33
古田彩 Aya FURUTA @ayafuruta

理論の出発点が物理的な原理だからです,と木村先生は言います。時速40キロの車に乗った人から時速100キロの列車を見れば時速60キロです。「でも光だけは自分が時速何キロで走っていても同じ速さ」と「光速度不変の原理」は主張します。しかもそれは何度も実験で確認されています。(続)

2013-05-26 19:18:15
古田彩 Aya FURUTA @ayafuruta

ならば速度を決める空間と時間の方が,見る人の速さによって変わるしかない。そんな具合に、最初から物理で始まってる理論は、その先の展開も直観的に納得しやすい。(続)

2013-05-26 19:19:22
古田彩 Aya FURUTA @ayafuruta

でも量子理論は出発点が「理由なき数学」(木村先生)になっている。だから物理的な直観が働かない。もし物理原理から始めて、今の量子論が言っていることを全部言えたら、誰もが「量子論わかった!」と思える・・・かもしれない。(続)

2013-05-26 19:20:42
古田彩 Aya FURUTA @ayafuruta

じゃあ何から出発したらいいのか。一番有望と思われているのは,情報の原理です。「こんな情報処理ができる」とか「これこれの通信は不可能」といった情報に関する原理から、量子論を引き出せないか。(続)

2013-05-26 19:21:50
古田彩 Aya FURUTA @ayafuruta

でもなんで情報?「情報」って抽象的というか技術的というか,量子力学とはあまり関係なさそうに見えます。ただどんな情報だって,何もないところには存在しません。電波の形とか,脳細胞の電位とか,紙に書いた文字とか、トランジスタとか,常に何かの物理的なモノに記録されています。(続)

2013-05-26 19:23:23
古田彩 Aya FURUTA @ayafuruta

情報を記したモノの状態を操作して変化させるのが「計算」,そのモノをあちこちにやって共有するのが「通信」です。どんな計算や通信ができるかは、情報を記録したモノが従う規則によって決まります。「どんな情報処理が可能か」は、物理法則によって決まるのです。(続)

2013-05-26 19:24:53
古田彩 Aya FURUTA @ayafuruta

情報処理を物理の過程として解析する研究は60年代から盛んになりましたが,その頃は情報の物理というのは古典力学(熱力学)だと無意識のうちに想定していました。80年代にそれは量子力学でないとダメだ,と気づいた人がいて,情報の物理学に革命的変化が起きました。(続)

2013-05-26 19:26:34
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