ある僧のお話

行雲流水さまより。
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行雲Nin流水・脱原発に一票* @clouddance2020

僧は続けた「我という幻想の囚われから逃れた者は殆ど居ないのだ。最も難しい悟りなど狙い澄まして何になる。自分の心の声に従って、唯悔いのない人生を生き切り、死んだその後も目を開き続けて常に目覚めて旅を続ける事だ。救いも天国も、在ると言えば在り、無いと言えば初めから何処にも無いのだよ」

2013-02-03 01:58:30
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僧は言った「ニルバーナに行く事等死んだ後に考えなさい。最も魂の深い処から望むことだけを実現させる為に、貴方は肉体を持ってこの世界に来る事を自分自身で選んだのだ。だから最初の誓願通り唯悔いのない様に自分自身を生きる。他人を批判せぬ事。皆そう望んでそう成り其の通り生きているのだから」

2013-02-03 01:52:11
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小豆色の法衣を着たリンポチェが居るのは、この日本の何処かだ。白檀の香の香りが立ち籠める小さな6畳に、所狭しと黄色い布で覆われたブッダの仏像を飾った祭壇には、花瓶に一杯の水仙の花が飾られ芳香を放つ。僧は栴檀の数珠掛けた掌を合わせ、オーム・マニ・パドメ・フームを地に響く低い声で唱えた

2013-02-03 02:16:40
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「黄色い肌の御前の中に赤い血が流れており・外には緑の木々が生い茂る・空は鮮やかな水色で・真っ白な雲が長閑に流れる・明け方と夕方には紫に彩られる空が在る・金が無くとも家が無くとも・愛する者さえ居なくとも・御前はこの世界に生まれ出た事を後悔していると言うのかね・御前の目は曇っている」

2013-02-03 02:25:38
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人間が人間を縛り付けている物質という幻想から逃れる事は至難の業だ・人間はまやかしの世を作り上げた・大学も教育も権威も・地位も名誉も・全て人間による人間の評価であって・それ以外の何ものでも無い・すべてを捨てた時に初めて・初めから与えられていて・決して失う事の無いものに気が付くのだ」

2013-02-03 02:36:00
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人間は失う事を怖れている・失ってはならない・失ったらどうしようという前提の上に・文明はこの世界の仕組みを作り上げた・この国を襲った大きな災厄の後で・心のレベルでは失ったものが無いと気付いた人々と・失ったものを取り返す為に・復興という大目標と強迫観念に生きる人々の二つに道が分かれた

2013-02-03 02:42:45
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空気は無色透明では無い・ぎっしりと詰まった青い虚空で出来ている・それが同じ様に全宇宙に浸透している・世界の実相はブッダでさえ全て知る訳ではないのだ・謙虚で智慧深いブッダは・自分にも分らない事が在ると・はっきり仰っている・人の心の法則をすべて知り尽くしても・全宇宙を知る事は出来ない

2013-02-03 02:54:03
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雲一つない青空を見上げるリクパの瞑想を・私たちは幼いころからヒマラヤの高い空を見上げて教わった・そして将来の何時の日か・この繫がって切れ目のない同じ空の下に住む人達に・唯青い空の清浄なる無を伝える為に・世界に旅して・唯その空の清浄だけを信じて生きる事を伝えると心に誓ったのだよ・

2013-02-03 02:56:06
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そう言って僧は・雲一つない二月の空を・瞬き一つせずに・じっと長い間見つめていた・そのとび色の瞳の中に青い空が映っていた・辺りには冬とは名ばかりに十分春の兆しを漂わせる暖気が満ちていた・僧はじっと何十分も動かなかった・魂を空の彼方に飛ばして・まるで体が抜け殻になっている様にも見えた

2013-02-03 03:02:28