第3回twitter小説大賞応募10作品

第3回twitter小説大賞に応募した10作品をまとめてみました。 2作品ノミネートしていただきました。感謝。 twnovel.net/entry/58 twnovel.net/entry/59
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綺想編纂館(朧) @Fictionarys

同じ桜を見上げながらも心に映る景色は別もので。体温を感じそうな距離にいながら、どうしようもなく埋められない心を切なさがよぎる。「綺麗だね」ってすぐ隣でポツリと落ちた呟きが、風にさらわれるのを感じながら。その先を追うように「うん」と風に乗せた。 #twnovel #詩的な日常

2013-04-02 23:22:11
綺想編纂館(朧) @Fictionarys

春の夜はまだ寒い。日々鮮やかに春色を描き出す日の光が消えた後に、そっと寒さが忍び込む。まるで、北上する春の気配を必死に繋ぎ止めるかのように。それでも季節は容赦なく、桜色の花弁を空へと解き放った。 #twnovel #詩的な日常

2013-04-03 23:51:17
綺想編纂館(朧) @Fictionarys

「途方」は暮れるものらしい。しかも途方が暮れるわけではなく、こちらが途方に暮れなければならない。そんな「途方」だが、存在しないこともあるらしい。更に言うなら、途方はないのではなく、途方もないらしい。暮れるのに明けない、ないのにある、困った存在である。 #twnovel #遊言語録

2013-04-04 23:15:11
綺想編纂館(朧) @Fictionarys

雨に濡れた鮮やかな朱色の番傘がゆっくり進んでいく。連なる鳥居に掠ることもなく、揺れることもない傘の下。守られている真白の着物が、雲間から零れ落ちた光に乱反射を起こした。雨はまだしとしとと音を奏で、響いた遠雷の音が青空を渡って行った。 #twnovel #100文字幻想

2013-04-06 22:37:47
綺想編纂館(朧) @Fictionarys

雨音に耳を澄まして、気怠さの波間に揺られること数時間。霧に包まれた景色の現実味のなさと、頭の中の現実問題を溶かし合いながら、午後はゆるやかに夜へと変わっていく。いつも通りの疲れきった休日。本当は日常を超えたいのに。雨はまだ、降り続く。 #twnovel #詩的な日常

2013-04-07 18:57:41
綺想編纂館(朧) @Fictionarys

真夜中にふと訪れる無音の瞬間がたまらなく好きだ。真っ暗な闇の中、時計が時を刻む音すら聞こえない、静寂。夜空で微睡む星のように、あと少しもう少し、この安らぎに揺られていたい。朝日が昇るまでの刹那、たまには私の寂しさに寄り添ってくれてもいいでしょう? #twnovel #詩的な日常

2013-04-08 04:36:01
綺想編纂館(朧) @Fictionarys

透き通った硝子の天球をなぞるように、遠くの地平へ流れ星。光の行方を見守って、小さく吐息をひとつ。幾千年の夜を越えた、言ノ葉が瞬く宵の空。まだ見ぬ世界の君と、僕が願った想いは、地上へと降り積もるいつかの物語。 #twnovel #100文字幻想

2013-04-09 00:00:29
綺想編纂館(朧) @Fictionarys

まだ冬が残る部屋の中。初夏から真夏にかけてのトレンド服が並ぶページをめくりながら、暑い季節のことを考えている。去年とは違う。春の微睡みなんて一睡の夢。甘い季節は短いのだ。ワードローブを一掃して装いを一変するような夏が来ることを、私は知っている。 #twnovel #詩的な日常

2013-04-09 01:03:41
綺想編纂館(朧) @Fictionarys

花冷えの宵にふわりと纏う花衣。雲間の月に映し出される花影と、花霞に遊ぶ花喰鳥。今宵、花信に咲かせた花心を花筐に閉じ込めて。柳緑花紅、閑花素琴。花風に舞う花弁を扇で掬い、そっと花笑みをひとつ。 #twnovel #twpoem #100文字幻想 *Tw*

2013-04-10 20:56:39
綺想編纂館(朧) @Fictionarys

黄昏の路地を抜けると、時の流れを忘れたような古い洋館に辿り着くことがある。ひっそりと佇む館に続く道は、淡く宵闇に溶けるかのように曖昧で。それでも、手を伸ばした先に触れた扉は、夢と現の狭間を繕うように重厚さを伝えていた。扉を開いた、今でも。 #twnovel #100文字幻想

2013-04-11 23:52:18