- lotusredcat
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前回の話
これの続きです。
前置き
本題とは全く別なのですが、今回改めて「君が〜」の該当箇所を読んでみて新たに浮かんだ感想があります。 これは始めに「君が〜」の書評を製作した際には気付かなかった事です。私が部隊で経験を積み、先輩や上官の仕事を少しは理解した事で気付けた事だと思います。
2013-05-27 22:54:41法的解釈の問題ではなく、幹部自衛官たる繭川の状況対処能力について、という感想です。前の法解釈のレポートで盛大に潰してしまいましたが、この検証に限っては、法的に妥当かどうかは置いといて、繭川の状況対処能力のみに限定して話をします。
2013-05-27 22:55:38具体的な状況については 「君が衛生兵で歩兵が俺で」に関する疑問と考察 http://t.co/0aIDbfcwVQ
2013-05-27 23:04:30又は 京大法学部卒で法律に詳しいはずのパンダ先生の著作から学ぶ正しい自衛隊のROE http://t.co/I9gaYdAjrR にも纏められているのですが、再掲する事にします。
2013-05-27 23:04:58平成17年8月17日の夜間、イラク サマーワ近郊にて、繭川巴2尉(当時)が指揮官を務める1個小隊の車列が武装勢力の設置した地雷に触雷、直後より武装勢力による激しい銃撃を受けます。
2013-05-27 23:05:38この時自衛隊は『部隊行動基準』により反撃能力を削がれており、武器使用は威嚇射撃のみとされています。しかし繭川2尉は車輌から下車している部下に「以前から決めていた」命令を発します。 「小銃班射手、目標は敵散兵!射撃用意!」
2013-05-27 23:06:31しかしここで車輌に同乗していた防衛事務官の後藤田正義がその指示を職権により取り消します。 「待て、指揮車の後藤田事務官だ!職権で今の命令を撤回する!…繭川2尉、部隊行動基準で本小隊に認められているのは、威嚇射撃だけだ。指揮所の許可を待て!!」
2013-05-27 23:07:29そして指揮所に無線を繋ぎ、指揮所に「戦闘事案」が発生している旨を告げ、指示を仰ぎますが、指揮所からの返答は 「現在対応を協議中。現時点での要撃は許可できない。全力で現状を維持せよ」 というもの。
2013-05-27 23:08:39そうしている間にも部下は1人、また1人と敵弾に倒れてゆき、繭川2尉は腹を括ります。 「小銃班、及び指揮車射手、目標同じ、射撃用意!安心なさい、すべての責任は私が取ります!」 「射てッ!」
2013-05-27 23:09:41繭川の射撃命令の直後に指揮所はイラク特措法に基づく要撃を許可し、タッチの差で繭川の基準違反は無かった事になる…というのが問題の事件です。
2013-05-27 23:10:35疑問点と考察
さて本題。私がそう感じた理由は ①行動基準によって対処行動が威嚇射撃に限定されているにも関わらず、地雷による攻撃、次いで武装勢力による銃撃を受けても尚その場に留まっている そして ②繭川が、襲撃を受けた際の対処策に「反撃」以外の選択肢を一切用意していない この2点です。
2013-05-27 23:11:40考察1
まず①について解説します。 武装勢力からの攻撃を受けた際、 繭川小隊が取るべき対処行動は「後退」であったと私は考えています。これは後知恵等ではなく、小隊長としての勤務経験がある人なら誰でも思い付く対処法です。
2013-05-27 23:12:11何らかの理由によって、目前に迫った脅威に対抗する事が困難であり、かつその場に留まる理由が存在しない場合、我々自衛官が取る行動はただ一つ、「後退」です。
2013-05-27 23:12:41例えば演習において対機甲戦闘を行っている際、対戦車誘導弾、対戦車ロケットを全て撃ち尽くし、目の前の敵への対抗手段が無くなると、我々はダッシュで近傍に隠してある車輌に乗り込み、全速力でその地域から逃げ出します。
2013-05-27 23:13:17