VK3001(P)の武装案から見る、1941年初頭における独ソ両軍の「将来の戦車」に対する認識
VK3001(P)の武装案
mmm...? どうもVK3001(P)について、武装案として8.8cm砲は割と早い段階で出てきてる……? 41年2月には早くも、クルップに8.8cm56口径砲用砲塔の開発が打診されているようで。4501(P)になるまでは7.5cm/10.5cm案のままだと勘違いしてました
2013-05-27 18:42:35もうひとつVK3001Pについて初耳なのは、どうも41年4月に武装案が一旦3つに分かれているらしいこと。ひとつはお馴染み、高射砲系の56口径8.8cm。もう一つは同様に56口径8.8cmながら、薬室を拡大したもの。最後は47口径10.5cmなるもの
2013-05-27 18:48:0356口径8.8cmの薬室拡大なんてのは実際初耳ですが、確かに8.8cm56口径は17ポンド砲並みの長砲身なのに、初速はそこまででもない。砲身長のに対して装薬量が少なめだったんじゃないかしらと想像できますから、砲身の性能を最大限活かすために更に装薬を増やそうという考えがあったのかも
2013-05-27 18:54:42残る47口径10.5cm砲。これは正体がとんとわかりません。独軍10.5cmで近いものと言えば、40口径のleK41と52口径のK18くらい。両者の中間くらいですから初速は770m/sくらいが期待できそうで、これは56口径8.8cm砲より強力そうではあります
2013-05-27 18:58:20結局のところ、この3案の中から高射砲系56口径8.8cmを選んだのは、やはり弾薬を共通化したい狙いがあったんでしょうか。高射砲と戦車砲では雷管が違うとは言われますけど、弾頭と薬莢それ自体は共通でしょうから、共通化も無意味なことじゃ無いでしょう
2013-05-27 19:01:00ただ、独軍は他国と比べても割と新弾薬制定に躊躇しない方のように思いますから、少々らしからん決断なようにもおもいます
2013-05-27 19:02:331941年3月赤軍情報局報告にある独軍戦車と、実際の独軍戦車の間にある巨大なギャップ──または彼ら如何にして安心するのをやめてパンツァー・フォビアを発症するに至ったか~特に火砲の観点から こんな本をC84に出したいことだなあ #C84 http://t.co/URkCTc5N6z
2013-05-27 21:38:26昨日VK3001(P)の武装案に10.5cm L/47があったと言いましたが、どうも素性がわからないです。検索したらこんなの出てきましたが、流石にWW1期の要塞砲を戦車に載せようとはしないでしょうし…… http://t.co/oxoTMfYAVn
2013-05-28 20:18:54おおっと、3001P武装案についての話が出てきた。8.8cmL/56の薬室拡張版は、薬莢径を23mm拡大して初速を920~940m/sにまで引き上げる計画。薬莢長は元の571mmのままなので、重量が増す以外は取り回しに悪影響がない #SW42
2013-05-28 20:36:2210.5cm L/47のほうは先に貼ったWW1期の要塞砲とは実際無関係で、10.5cm L/52 sK18加農を戦車向けに短縮したもののようです。初速は820~840m/sを見込んでいたようですから、sK18とほとんど変わりません #SW42
2013-05-28 20:40:48薬莢長についてはsK18 L/52、L/47ともはっきりしませんが、だいたい740mmくらいのの様子。10.5cm FlaK38 L/63の769mm薬莢よりちょっと短めで、恐らく多少太め
2013-05-28 20:48:58つまるところ、VK3001(P)への搭載が計画されてた10.5cm L/47は、IV号10.5cm対戦車自走砲の10.5cm sK18 L/52の同級砲ということになりましょうか。薬莢を短く太いものに変えてるあたり、7.5cm PaK40とKwK40の関係に似てます。 #SW42
2013-05-28 20:52:0310.5cm KwK L/47の装甲貫通力はまず間違いなく10.5cm sK18 L/52と同等、つまり149mm@500mくらい。8.8cm L/56薬室拡大版についてはデータがありませんが、初速を940m/sとして計算してみると160mm程は抜けそうです
2013-05-28 21:05:02赤軍情報局の認識
独軍が1941年4月に10.5cm L/47やら薬室拡大版8.8cm L/56戦車砲を計画していたとなると、赤軍の認識もあまり的外れでないかも知れません。赤軍は3~6月にかけて相次いでKV-3,4,5といった重戦車計画を始めましたが、その装甲は独軍の計画戦車砲の能力にほぼ拮抗する
2013-05-28 21:12:09なんだか一周回って、KV-3~5の計画は至極当然の物だったように思えてきました。あっちとこっちが疑心暗鬼になって図面引いたものが、たまたま合致していたのか、あるいは赤軍が独軍の新戦車砲計画を察知していたのかは判りませんが……
2013-05-28 21:15:20何度かここでも触れた41年3月11日の赤軍情報局報告にもあるように、独軍は10.5cm砲搭載戦車の開発を進めつつあると認識していた。そして当の独軍内では、ほぼ同時期に榴弾砲でない長砲身10.5cm戦車砲が見当されていた。これはどう捉えるべきかしら
2013-05-28 21:19:55@FHSWman ジェウレニーズ、もとい間諜は給料分ちゃんと仕事してました、ということになっちゃうんでしょうか
2013-05-28 21:21:00「赤軍の疑心暗鬼と独軍の計画がたまたま一致した」という見方もできる。彼らは実際には存在しないクルップ製80t戦車やスコダ製60t戦車を幻視していたわけですから、疑心暗鬼は相当なものがありましょう。ただ、もうすこし素直に、赤軍情報局がちゃんと仕事をしていただけという可能性もあり……
2013-05-28 21:24:00正確な情報と誤報、更に疑心暗鬼の合わせ技で、赤軍は偶然にも独軍次期戦車計画のほぼ正確なところを把握してしまった。それに対抗する戦車の開発すら始めた。彼らの悲劇は、開戦が41年だった事と、独軍の次期戦車計画が開戦後のショックによって大きく転換してしまった……ってところでしょうか
2013-05-28 21:35:57@FHSWman ソ連独自のルートで入手した情報と言うと、例のエニグマ暗号機の解読云々とは関係ないお話しって事ですかね
2013-05-28 21:36:00