センシャスレイヤー　第二部金弾サツバツ小隊より　『ヒー・セイド・キッス・マイ・アス』

ウチューじん・ささき @uchujin17

@yukikaze2me オツカレサマドスエ。乾いた合成マイコ音声と共に差し出されたオチャを、ユキカゼは黙って飲み干した。暗黒メガコーボの人使いは荒い。今夜もシューデンまでサービス・ザンギョである。

ウチューじん・ささき @uchujin17

@yukikaze2me ユキカゼはくたびれたケーブルを生体LAN端子に接続し、サイバー戦闘シミュレーション「世界の戦車な」にログインした。ヴァーチャル課金の蓄積は予定よりだいぶ遅れている。少しでもポイントを稼いで強い戦車に乗り換えなければ…。

ウチューじん・ささき @uchujin17

@yukikaze2me 「新製品」「ハッキング厳禁」「ペケロッパ」「重点なお知らせ」コトダマ空間に緑色の文字が飛び交う。ユキカゼは何気なく「重点なお知らせ」を開き、絶句した。「ア、アイイエエエエエ！」声にならない悲鳴がコトダマ空間に響き渡る！

ウチューじん・ささき @uchujin17

@yukikaze2me 「このたびのバージョンアップにより、戦車購入の経路が変わりましたドスエ」マイコ音声を連想させる柔らかな丸ミンチョ体で書かれたその通知には、彼が目指していた戦車「ライオンツヨイ」アップグレードの道が絶たれたことが簡潔な表現で記されていた。ゴウランガ！

ウチューじん・ささき @uchujin17

@yukikaze2me ユキカゼはつい先日、なけなしのサイバーポイントを払って「ヒョウ改善」を買ったところだった。ポイントを溜めてライオンツヨイにアップグレードする計画だった。だがシステムの変更によってその道は閉ざされ、ライオンツヨイの入手にはオオキイトラが必須だという。

ウチューじん・ささき @uchujin17

@yukikaze2me 「オオキイトラ…ヒョウ改善…ライオンツヨイ…」うわ言のように呟くユキカゼは知らぬ内に鼻血を垂らしていた。ここ数ヶ月、暗黒メガコーポのザンギョに耐え、バイオネコとの遊び時間も削って貯めてきたポイントだった。またあれを最初からやり直せというのか。

Ideyoshi @Ideyoshi

シャーマンを購入したのもつかの間、ササキは悩んでいた。「技術枝な」ボタンを押して出てくる画面に表示された、シャーマンから派生した2つの戦車、シャーマンハヤイとシャーマンカタイである。

Ideyoshi @Ideyoshi

たかがゲームの選択と侮る事なかれ。かつてミスチョイスしたササキの友人ユキカゼは、後悔を重ねオーバーズバリで今は廃人だ。

Ideyoshi @Ideyoshi

「シャーマンハヤイ・・・ シャーマンカタイ・・・」ディスプレイの前でうわ言のようにつぶやくササキの目に狂気が宿る。ナムアミダブツ！これがセンシャ中毒者の末路か！？

ウチューじん・ささき @uchujin17

@kado_busdev アバババーッ！！ドザ＝サンのコトダマ視界に火花が散った！またしても即死！「あと…あと一勝、いやあと一戦だけ…」震える手で闇雲に机上を探し、15本目のZBRアンプルを首筋に打つ。これは実際危険な薬物オーバードーズだ。カラダ二キヲツケテネ！

ウチューじん・ささき @uchujin17

gunma:「もう一戦やるか？」 USKBody:「いけるぜ、こっちはZBRキメた。」 gunma:「こっちはオハギだ、負ける気がしない」 USKBody:「遥かに良い、パンツァーフォー」 ゴウランガ！なんたる違法薬物の濫用か！「世界の戦車な」はここまで人を狂わせるのか？

ウチューじん・ささき @uchujin17

「戦闘開始な」カウント０と共に２人は電子の戦場へ飛び出した。石灯篭やボンボリなど、奥ゆかしく配置されたオブジェクトを鉄の履帯が踏みにじってゆく。ズンズンブーン、ズンズンブーン、背徳的なアンタイブッダ・ロックのBGMが’違法薬物で沸き立った血を更に加速する。負ける気がしない。

ウチューじん・ささき @uchujin17

小高い丘を駆け上り、三叉路を見渡す岩陰に身を潜める。絶好のアンブッシュ・ポイントだ。「敵発見ドスエ」合成マイコ音声と共に、敵マーカーが次々に浮かび上がる。ティア４、５、７…先頭の目標に照準を合わせ徹甲弾をぶっ離す。だが遠い！敵に与えたダメージ０！

ウチューじん・ささき @uchujin17

「キジも鳴かなければ撃たれることはない」ミヤモト・マサシの格言だ。遠すぎる敵に発砲したドザ小隊はアンブッシュが露呈し、二手に分かれて接近する敵に包囲されつつある。状況マップを確認すると、味方は遥か後方！インガオホー！

ウチューじん・ささき @uchujin17

「撤退重点」「転進！」ドザ小隊は岩陰を放棄し丘を駆け下りて逃げにかかった。だが敵砲兵がドザ車の履帯を破壊！行動不能！「ユウジョウ！オタスケ！」血を吐くようなIRCメッセージを無視してグンマは一人後退を続ける。何たるサツバツか！

ウチューじん・ささき @uchujin17

ドザは徹甲弾を装填し、精密照準を接近しつつあるティア４戦車「形式20」に向けた。せめて刺し違えて一矢報いようというヤバレカバレだ。だが一瞬早く形式20の放った弾がだが砲塔に被弾、旋回不能！そしてティア７の重駆逐戦車「ヒョウ殺す」の重金属弾がドザ車を貫いた。アババババッー！即死！