動物からの倫理学

伊勢田哲治 著『動物からの倫理学入門』を読んだ 川端裕人氏の感想をまとめさせていただきました。 毎日新聞書評(小西聖子・評) http://bit.ly/9jFzqB 続きを読む
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川端裕人 『ドードー鳥と孤独鳥』(国書刊行会)いよいよ発売中! @Rsider

2008年に出た伊勢田さんの「動物からの倫理学入門」をやっと読んでいる。これが最初の50ページですごい本だと分かった。

2010-09-16 22:50:23
川端裕人 『ドードー鳥と孤独鳥』(国書刊行会)いよいよ発売中! @Rsider

動物の権利のあたりをさっき読んだばかりなのだが──ピーター・シンガーが「動物の解放」と述べたのに対して、のちにフォロワーたちが「動物の権利」という言葉に言い換えたこと。功利主義の立場に立つ(ベンサムの末裔)シンガーの立場からは、「権利」とい言葉出てこない。

2010-09-16 22:51:02
川端裕人 『ドードー鳥と孤独鳥』(国書刊行会)いよいよ発売中! @Rsider

ちなみに、動物の権利を擁護する場合、動物とはseintient(感覚を持っているか。伊勢田氏は有感という語をあてる)かどうかで船を引くのがよくあるケース。

2010-09-16 22:51:26
川端裕人 『ドードー鳥と孤独鳥』(国書刊行会)いよいよ発売中! @Rsider

ところが、シンガー自身は他の動物を殺すことに関しては、意外にも「残酷だから」などとはいわない。「死にたくないと感じうる」動物は殺してはいけないが(人間の他に、類人猿)、ほかのは苦痛を与えない範囲においてオーケイじゃてぽか、とする。

2010-09-16 22:51:51
川端裕人 『ドードー鳥と孤独鳥』(国書刊行会)いよいよ発売中! @Rsider

とするとここから恐ろしい結論が導かれる。 そもそも種差別をしないことから始まった動物の「解放」なのだから、人間も特別扱いじゃない。 「死」という感覚を持ち得ない乳児や、認知症の場合、もしも、安楽死させることが、幸福の最大化に繋がるなら、積極的に支持するという立場になる。

2010-09-16 22:52:16
川端裕人 『ドードー鳥と孤独鳥』(国書刊行会)いよいよ発売中! @Rsider

実際シンガーは、重度の障害を持つ新生児を安楽死させることを積極的に支持しているという。そして、かなーり邪悪な倫理哲学者と世界的に目されているらしい。

2010-09-16 22:52:41
川端裕人 『ドードー鳥と孤独鳥』(国書刊行会)いよいよ発売中! @Rsider

功利主義と義務論の使い分け(ぶっちゃけ、ベンサムとカントの使い分け)を提唱する二層理論というのが、ぼくにはしっくりする。日常的な世界では義務論的な世界観、けれど、もっと大きなスケールの判断が必要な時には功利主義的に

2010-09-16 22:57:14
川端裕人 『ドードー鳥と孤独鳥』(国書刊行会)いよいよ発売中! @Rsider

これは、医療の臨床と公衆衛生でそれぞれ違うロジックで行動が決定されているのと似ている。 それらのロジックの境界は侵犯しあっていて、EBMという形で、相互に往き来するのだが、それでも、エビデンスなどない場所での決断など、臨床ではしょっちゅうだ。実は、つい数時間まえそれを経験した。

2010-09-16 22:58:55
川端裕人 『ドードー鳥と孤独鳥』(国書刊行会)いよいよ発売中! @Rsider

動物の権利運動は、功利主義から出たシンガーの解放論にうまく乗っかったが、功利主義からは出てこない「権利」を使い、むしろ、カント由来の義務論的になっている側面がある。

2010-09-16 23:03:22
川端裕人 『ドードー鳥と孤独鳥』(国書刊行会)いよいよ発売中! @Rsider

ここで、豆知識なのだが、ティープエコロジーや、動物の権利の人が、自然や動物には内在的な価値がある(intrinsic value)と強調するのだが、この内在的というのは、カント由来なのね。

2010-09-16 23:05:20
@amaneshino

@Rsider …ちょっと話がずれていたら恐縮なのですが、環境オフセットに関する話にて、そこにあった自然の損失よりも同等の多様性を保つことに重きを置いた現実策は、自然の権利をどのように処理したものでしょうか?

2010-09-16 23:11:07
川端裕人 『ドードー鳥と孤独鳥』(国書刊行会)いよいよ発売中! @Rsider

@amaneshino たぶんこの本はエコではなく、動物福祉・権利の話から倫理学に迫る(けもの道を通って倫理学へ)という主旨なので、そこには踏み込みません。ただ、その発想は、功利主義的で、自然の権利の一部の論拠とは齟齬をきたすのではないかと思います。どうですか>伊勢田さん。

2010-09-16 23:14:51
伊勢田哲治 @tiseda

@Rsider @amaneshino 環境倫理の話は最後の方でしているのですが、いわゆる自然の権利には触れていません。ストーンなどの議論は前提がだいぶ違うもので。もちろんローカルな個々の生態系に存続の権利を認めるならオフセットのような取引は意味をなしません。

2010-09-17 01:10:39
川端裕人 『ドードー鳥と孤独鳥』(国書刊行会)いよいよ発売中! @Rsider

ありがとうございます。最近、こんなことを書いたのですが、自分がいかに蛮勇をふっているかよーくわかり面白いです。http://bit.ly/b03yFZ @tiseda: @Rsider @amaneshino 環境倫理の話は最後の方でしているのですが、いわゆる自然の権利には触れ

2010-09-17 01:14:11