オレの妹がカリフなわけがない! #13

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カリフラノベ『オレカリ(略称)』 @caliphnovel

「オレの妹がカリフなわけがない!」 #13

2013-05-26 03:41:22
カリフラノベ『オレカリ(略称)』 @caliphnovel

「カリフって、女カリフ様っていないの?女王様みたいな」 「ムハンマドは女性の個人所有権や相続権を法制化した。それは当時の世界では画期的だった。でも彼の弟子たちは女性には裁判官や首長になる権利を認めなかった。男女は平等じゃない。女性はカリフになれない、愛紗はカリフになれないんだ」1

2013-05-26 03:54:05
カリフラノベ『オレカリ(略称)』 @caliphnovel

「女カリフって一人もいなかったの?」 「イスラームのカリフ制は家父長制だからな。今のイギリスが女王なようにヨーロッパでは女王は普通だ。日本でも女性天皇は沢山いた。だけど、長いカリフの歴史の中で一人も女性でカリフになったものはいないんだ」 「じゃああいつがカリフって変じゃん!」2

2013-05-26 04:19:46
カリフラノベ『オレカリ(略称)』 @caliphnovel

オレはジャムパンをかじりながら決心した。 女性がカリフになるのは変だ、だから愛紗がカリフになるのはやめさせなきゃいけない。それは天馬愛紗の兄としての自分の使命だ、と。 そもそも日本の一高校の生徒会長がカリフになるのが変じゃないか、とのツッコミは取り敢えずスルーしよう… 3

2013-05-26 04:33:38
カリフラノベ『オレカリ(略称)』 @caliphnovel

と、オレにしてはテンションがあがったのだが、君府学院は全寮制で男子寮と女子寮は分かれており、オレは女子寮には入れない。またクラスは成績順に編成されており、学年トップの愛紗のプラチナ・クラスにはオレたちブロンズ・クラスの生徒は入れないというスクールカーストの鉄の不文律がある。4

2013-05-27 03:43:17
カリフラノベ『オレカリ(略称)』 @caliphnovel

さて、どうしたものか、と3つ目のジャムパンを食べながら思案しているところに嫌な奴がやってきた。 「馬鹿面を晒してパンをかじっている奴がいると思ったら、優等生の妹の家族枠でこの学院に潜り込んだ掃き溜めのブロンズ・クラスの天馬垂葉じゃないか」 おつきの者たちに囲まれた石造無碍だ。5

2013-05-27 03:56:06
カリフラノベ『オレカリ(略称)』 @caliphnovel

「お前にぼんやりパンなど食べている余裕があるのかな。これ以上成績が落ちると、奨学金も打ち切られて放校だぞ。それとも妹がカリフになったので自分も偉くなったとでも思い違いしているのかね」 「誰がそんなこと思うか!お前こそ、あいつに生徒会長選挙で負けたのがよほど悔しいらしいな♪」6

2013-05-27 04:15:11
カリフラノベ『オレカリ(略称)』 @caliphnovel

「あっ、あれは応援演説がブロンズ・クラスのあの衣織だから、とノーマークだったからだ。 っていうか、応援演説か?! いきなり演壇で候補者の腕を切り落とすのが?! さしもの石造無碍の頭脳をもってしてもあれは予想外だった、っていうか反則だろう、あれは!なんであれで当選するんだ?!」7

2013-05-27 04:24:50
カリフラノベ『オレカリ(略称)』 @caliphnovel

理事長の息子でプラチナ・クラスの無碍にブロンズ・クラスのオレが口答えなどできるわけがない。いつもバカにされるままに黙ってやり過ごしてきた。奴に言い返したのは今日が初めてだ。 ところが、いつもはお高くとまって他人を見下し冷笑する無碍の奴が、むきになってしどろもどろになっている。8

2013-05-27 04:40:32
カリフラノベ『オレカリ(略称)』 @caliphnovel

そう思うと、愛紗よくやった! とも思ったが、オレはそもそもあいつがカリフを辞めさせるために、どうすればあいつを説得しに行けるのか悩んでいたのだった。 「そもそもオレがただぼんやりしていたと思うな!オレは兄としてどうすればあいつに会ってカリフを辞めさせられるか、考えていたんだ!」9

2013-05-27 04:56:43
カリフラノベ『オレカリ(略称)』 @caliphnovel

「なにっ?お前もあいつにカリフを辞めさせようとしているのか!?つまり生徒会長を辞めさせる、ということだな? しかしブロンズ・クラスのお前の言うことなどあいつが聞くとも思えない。そもそもお前など我らのプラチナ・クラスには入ることすらできないからな。」無碍がオレに嫌味を言う。10

2013-05-27 05:06:20
カリフラノベ『オレカリ(略称)』 @caliphnovel

「但し」無碍がニヤリと笑って切り出す。 「この私が一緒であれば別だ。 いくらバカでもKYでも一応は実の兄だ。彼女を説得して会長、いやカリフを辞めさせられるというなら、お前を我がプラチナ・クラスに連れて行ってやろう」 こいつの言うことを聞くのは癪だがこの際だ、仕方がない。11

2013-05-27 05:16:01
カリフラノベ『オレカリ(略称)』 @caliphnovel

「いっ、いいだろう。一緒に行ってやろうじゃないか」 「では明日の昼休み、迎えに行く。プラチナ・クラスにお前と彼女の対決の場を作ってやろう」 こうしてオレは妹と対決することになった。12 (#13 終わり #14に続く

2013-05-27 05:22:06