2010.9.17 藤川大祐先生による「教師の話術について」のツイートまとめ

藤川大祐 @daisukef

昨日の @RIOSAITO さんとのやりとりの中で、「教師の話術」について考えてみたくなりました。話がどちらにいくかわからないまま、連続ツイートしてみます。

藤川大祐 @daisukef

教師の話術（１）多くの場合、教師はかなり声を使う仕事である。教師があまり話さないで授業を行うことがあるとしても、必要があれば長い時間マイクなしで数十人を相手にしっかりと話せなければきついだろうし、体育の授業や学校行事等、屋外で大人数に大声で話すこともある。

藤川大祐 @daisukef

教師の話術（２）教師は、アナウンサーと同じくらい、話すことが重要な仕事かもしれない。だが、アナウンサーが話すことについて厳しい訓練を受けるのに対して、ほとんどの教師は話す訓練をほとんど受けたことがないと考えられる。

藤川大祐 @daisukef

教師の話術（３）もちろん、教師を何年か続ければ、多くの人はそれなりに声を出し、伝わる話し方ができるようになる。数十人を相手に話すには、視線を全体に振り向け、間（ま）をうまくとり、音量にメリハリをつけるといったことが必要と考えられるが、多くの教師は経験の中で身につけている。

藤川大祐 @daisukef

教師の話術（４）だが、話し方が自己流で、無意識のうちに癖がついている場合がある。一つの指標は、自分が授業をしているビデオを見ることへの抵抗の有無だと私は考える。ビデオは容赦なく自分の話し方を映し出す。見るのが嫌だという人は、自分でも課題をうすうす感じているのではないか。

藤川大祐 @daisukef

教師の話術（５）アナウンサーの仕事をヒントに考えてみよう。以前、日テレの山王丸アナにおいでいただき、教員向けの講座をしていただいたことがある。その際、山王丸さんは、「声を探す」という話をされた。普段の自分の声がベストの声とは限らない、ベストの声を探すというのだ。

藤川大祐 @daisukef

教師の話術（６）山王丸さんは教師たちに、普段よりも高い声や低い声で「アー」と伸ばした音を発声するよう指示した。新人アナウンサーには、よく響くベストの声を探す作業をさせるというのだ。普段の自分の声を自分では（聴き手と同様には）直接聞けない。だから他の人に聞いてもらって声を探す。

藤川大祐 @daisukef

教師の話術（７）アナウンサーは、顔やのどの筋肉をほぐしてから番組に出る。人前では見せられないくらい変な顔をして、顔の体操をし、発声練習、発音練習をする。教師の中にも、こうしたウォーミングアップをしてから授業に行く人はいる。しかし、少数だ。話すプロだとしたら、これではまずい。

藤川大祐 @daisukef

教師の話術（８）日常的に鏡を見て表情をチェックし、ビデオを撮ったり録音をしたりして自分の話し方を聞き手の立場で聞く。話が上手な人の話術を盗む。こうしたことが必要だろう。建替前の千葉大教育学部校舎に、ある教師が鏡を廊下に取り付け下に「笑顔練習器」と書いていたことが懐かしい。

藤川大祐 @daisukef

教師の話術（９）声や表情の基本ができたら、イメージをもって話すことを意識するといい。元小学校教師、鳥山敏子さんの指導はこれが徹底していた。学校の授業でも、教員対象の講座でも、話す言葉の一言一言をイメージをもって話しているかを問いかける。イメージをもたない空虚な言葉を否定する。

藤川大祐 @daisukef

教師の話術（１０）落語家は、語りのみによって、そこにないものがあるかのように感じさせる。教師がイメージをもって語れば、子どもにはそこにないものも感じられる。子どもどうしがそうした言葉で語り合えれば、互いの言葉はよく伝わる。

藤川大祐 @daisukef

教師の話術（１１）即興の話術も、教師には重要である。準備をしていなくても、状況に対応して、伝わる話し方をする。古舘伊知郎さんが目に見えるものすべてを実況中継する訓練をしたという話は有名だが、このような訓練だって必要かもしれない。

藤川大祐 @daisukef

教師の話術（１２）内容の構成も重要だ。具体と抽象を往復しつつ、ときには聞き手が納得できる話題を、ときには聞き手が驚く話題を入れる。決してギャグを入れなくても、メリハリのある話なら、笑える場面が出てくる。

藤川大祐 @daisukef

教師の話術（１３）話すことについてはさまざまな人がさまざまなノウハウをもっている。いろいろな人のノウハウを盗みながら、教師たちが自らの話術を鍛えられるようになってほしい。授業研究会では、具体的な教育内容や教育方法に加えて、声や話し方についても話し合えるといい。

藤川大祐 @daisukef

以上、「教師の話術」というテーマで連続ツイートしてみました。皆様いろいろなお考えがあると思います。ご議論いただければうれしいです。

藤川大祐 @daisukef

そのようなお子さんに伝わるように話そうと意識すると、実際によく伝わるようになるでしょうし、視覚に障害がない子どもにもわかりやすく話せるようになるかもしれません。RT @_Na_tsu_ki_: 目が見えにくい子が「○○さんは今どこにいる？」などの質問をよくしてきます。視覚を分かり

藤川大祐 @daisukef

文脈に依存するので描写しづらいのですが、数学で樹形図を作っていて、「この先が5通り、この先も5通り、この先も（間）5通り」と話すだけで笑いが起きることだってあります。真剣に話していて、ふっと間をあけるだけでも笑えたりするわけです。 ＲＴ @hirosehideo

藤川大祐 @daisukef

その通り。ただ、日頃しっかり話していれば、風邪で声が出ない時にも一生懸命聞いてもらえるということはあるかと思います。RT @ubiquitous2222: 授業中、先生が私たちに言った言葉「教壇に立って声が出ない、届かない、伝わらないのはステージに立って歌えない歌手と同じ」

藤川大祐 @daisukef

光栄です！RT @uehou: 藤川大祐さんの連続ツイート「教師の話術」は今日部下に配ることにしました。教採や教育実習されている方は参考にしたほうがいいと思います。人前で話すということは正直今でも怖いですが、技術を磨くことで恐怖心は少しは取り除かれると思う。勉強する覚悟が必要です

藤川大祐 @daisukef

教師の話術について、一つ忘れていました。次のツイートで補足します。

藤川大祐 @daisukef

教師の話術（補）演出家、篠崎光正さんの演劇教育ワークショップでかつて教わったこと。音楽で言うと、いつも1拍目の頭にアクセントを置いて話すのでなく、ときに1拍目前半を8分休符にしてみる。味のある間（ま）が生まれて、メリハリがつく。この技はおすすめです。古畑任三郎も使います！

@ubiquitous2222

先生も「音楽は話し方とつながっている」と話しています。若い時に歌手を目指し、音楽をやっていたのが今にいかされているそうですRT @daisukef 教師の話術（補）演出家、篠崎光正さんの演劇教育ワークショップでかつて教わったこと。音楽で言うと、いつも1拍目の頭にアクセントを置いて

藤川大祐 @daisukef

このツイートが私宛ですね。ありがとうございます！RT @adachi_t これまでも学生に教育実習前に声の出し方の練習や範読の練習などをさせてきましたが、さらに指導の仕方や内容を考えたいと思います。ありがとうございました。

Jun @xxx_nuj

わかりやすい！ RT @daisukef 教師の話術（補）演出家、篠崎光正さん…音楽で言うと、いつも1拍目の頭にアクセントを置いて話すのでなく、ときに1拍目前半を8分休符にしてみる。味のある間（ま）が生まれて、メリハリがつく。この技はおすすめです。古畑任三郎も使います！

石川晋 @mumomorush

もう一度読み直す価値がありそうですね RT @daisukef: 教師の話術（９）声や表情の基本ができたら、イメージをもって話すことを意識するといい。元小学校教師、鳥山敏子さんの指導はこれが徹底していた。