「たまこまーけっと」に見る京都アニメーションの作家性

ミステリ作家・小森健太朗氏と我孫子武丸氏による「たまこまーけっと」評
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小森健太朗@相撲ミステリの人 @komorikentarou

京アニ作品では「たまこ」のセールスはいまひとつだったのかな。ライトノベル原作のをやるのが一番適しているように思うし、古典部シリーズならまだストックあるから「氷菓」二期は充分ありえるのでは。ラノベなら京アニがやれば映える作品がたくさんありそうな気がする。

2013-06-03 23:34:16
小森健太朗@相撲ミステリの人 @komorikentarou

京アニにしたら、原作ものでは取り分が少ないから自社オリジナルをもっとやりたいらしいが、「たまこ」は作家性のようなものが稀薄で食い足りなかった。オリジナルやるなら虚淵玄とは言わずとも、作家性を濃く打ち出せる書き手を連れてきた方がよいのではなかろうか。

2013-06-03 23:40:24
小森健太朗@相撲ミステリの人 @komorikentarou

たまこが下町人情ものとして「寅さん」を思わせるところがあるのはそのとおりだと思うが、放っておいてもやっていけそうな度合いで並べると たまこ>平沢唯>水樹マイア≒寅さん 主人公のダメっぷりが弱い分、たまこの物語のインパクトも弱いと思う。@ue_kaname

2013-06-03 23:50:18
小森健太朗@相撲ミステリの人 @komorikentarou

そうですね。寅さんにあたるのはたまこでなくデラちゃんですね。 RT @ue_kaname デラちゃんが「寅さん」的役割ということなのかなと思ってました。確かにたまこは駄目っぷりが弱いため、物語としては弱いですね。あの子のまっすぐさが強烈に揺らぐようなエピソードはなかったですし

2013-06-04 00:09:20
小森健太朗@相撲ミステリの人 @komorikentarou

そうですね。印象論ですが「たまこ」は物語の核のようなものが稀薄で、その周囲の心情描写やビジュアルがハイレベルだったのに、中心にあるべき作り手の情念みたいなものが足りない気がしまして。RT @nishi_ogi それは「京アニの作家性」ではないのでは、と?

2013-06-04 00:18:54
小森健太朗@相撲ミステリの人 @komorikentarou

中二病に関しては原作未読のため原作との比較はできないが、あのアニメの物語としての面白さは原作からくるものと思い込んでいたが、くみん先輩と凸守がアニメオリジナルと聞いて、えっ、それならアニメが話を面白くしてるんじゃないかと見方が一変した。

2013-06-04 01:05:52
小森健太朗@相撲ミステリの人 @komorikentarou

「中二病」のアニメ改変の実力からすれば、京アニはむしろオリジナルをやればいいのではないかと思えてくるが、「氷菓」の奉太郎とえる、「中二病」の勇太と六花は、作り手の情念のようなものが盛り込まれていると感じられるのに、「たまこ」にはそういう情念の器となるキャラが不在だと思えた。

2013-06-04 01:12:51
あかさたな🌗 @emesh

京アニは、とにかく技術が無くても原型無くされてもいいから、とにかく作品に情念がある作家を付けないと絶対的にダメなんだと思う。

2013-06-04 12:45:15
小森健太朗@相撲ミステリの人 @komorikentarou

昨夜のたまこ発言に賛否両方がよせられた。もしあの作品で、たまこの級友の測量好きの女子が、どこかに閉じ込められて測量器具を全部奪われて「どうだ、これで測量はできまい」といわれて「それでも!私は!目測を!やめない!」というような展開でもあれば情念を見いだせたところなのだが(続)

2013-06-04 17:39:06
小森健太朗@相撲ミステリの人 @komorikentarou

「たまこま」見てわかったのは、情念を盛るのと一見縁遠そうな空気系の作品でも、何か感情の摩擦を引き起こす要素がもっと求められるものだと。「ゆるゆり」でいえば、あかりが「私空気じゃない」と訴えるところや、まともになった京子に「もどってくれ」と泣きだす結衣といったような展開。

2013-06-04 17:46:29
あびこ @sukiyapotes

@komorikentarou 小森さんの言う「情念」というのがどういうものかぴんと来ないのですが、「たまこ」の中での盛り上がりでいうと、お父さんの過去のバンドのエピソードが出てくるところとかのように、ちらっと出てくるたまこ母に関する話ですかね。

2013-06-04 19:01:23
小森健太朗@相撲ミステリの人 @komorikentarou

まあ感覚的な話なので、評論家なら「作家性」や情念のような言葉は避けるべきかも。作品ごとの主人公はそれぞれ世界に対する独自の感情の偏差のようなものがあるべきだと思うのに、たまこが善良で予定調和的すぎて、「けいおん」の唯の縮小再生産みたいな印象をもちました。@sukiyapotes

2013-06-04 19:54:54
あびこ @sukiyapotes

@komorikentarou ぼくは正直「けいおん」のような何も起きない「空気系」の作品には興味がないんです。「閉じた世界」が気持ち悪いのかもしれません。「たまこ」は似ているようで過去と現在、登場人物的にも拡がりのある「地味」だけど「空気」ではない感じが視聴できた理由でしょう。

2013-06-04 20:05:57
あびこ @sukiyapotes

ぼくは小森さんほどアニメを観ているわけではないし、京アニの中でどうこう、というような比較もさほどできないのだけれど、『たまこマーケット』は『けいおん!』を見続けることができなかったぼくにも観られた「日常系」の作品であった。何をいいと思ったのか少し分かってきたので書いてみたい。→

2013-06-04 23:29:24
あびこ @sukiyapotes

→まずぼくは、ラノベ原作のアニメ(ラノベを読まないのでこういう言い方になるが)に多い、「両親の存在の希薄なキャラたち」がそもそも好きではない。親と一緒に住んでいるのかいないのか、生きているのかいないのかさえ分からないあの連中のことだ。多分これは同年齢の読者達にとって→

2013-06-04 23:31:50
あびこ @sukiyapotes

→両親、家族が鬱陶しい存在、不必要な存在と感じられていることと決して無関係ではないと思うが、一人の人間を多面的に作り上げる設定からごそっとそういうものが抜け落ちている状態が耐えられないのだ。「たまこ」には「空気系」なのか「日常系」なのか知らないが「家族」がしっかり描かれていた。→

2013-06-04 23:36:08
小森健太朗@相撲ミステリの人 @komorikentarou

我孫子さんにレスしようかなと考えていたら、どうやらあちらは長文考察なさる?「けいおん!」については空気系の評論で書いたように、原作の最終回だけ両親が登場して時間が動き出すのがわかるのが象徴的で、それまでの動かない時間の中の空気系と、その外の世界の対比が鮮やかに示される。

2013-06-04 23:36:46
小森健太朗@相撲ミステリの人 @komorikentarou

空気系の中でメルクマール的作品である「あずまんが大王」と「けいおん!」はともに、親とか恋愛といった時間の進行を意識させる事柄をあえて外に追い出していつつも、その不在が強く意識される点で先鋭的な二重構成をとっていると言える。前に巽さんが指摘した、ちよ父の存在のような例において。

2013-06-04 23:40:15
あびこ @sukiyapotes

→ヒロイン・たまこは確かに小森さんの言うとおり「予定調和的」と言えるほどベタベタな「いい子」で、よく知らないが「唯」に似ているのかもしれない。最初はぼくもちょっと鬱陶しく感じた。そんな子はいねーよ、みたいな。しかしエピソードを重ね家族のキャラが見えてくるにつれ印象は変わる。→

2013-06-04 23:40:43
あびこ @sukiyapotes

→たまこの「予定調和的」と見えるほどのいい子ぶり、明るさ、気丈さ、それらすべてが、母親を幼くして失ったこと、そしてその不在をあの商店街の人々、商店街全体が埋めてくれたのだということが分かってくると、あの世界全体がいい人ばかりで善意に満ちていることの意味が見えてくる。→

2013-06-04 23:48:07
あびこ @sukiyapotes

→たまこのあの善良さ、明るさは、少なくとも最初は必死に装われたものでありいつしかそれが習い性となってしまった類の明るさだ。商店街の人たちがありえないほど優しいのは彼らがたまこの母代わりだからだ。たまこは商店街の一人娘なのだ。そう思って観ると予定調和どころではない痛切さがある。→

2013-06-04 23:56:19
あびこ @sukiyapotes

→小森さんは何度か「作家性」という言い方をした。オリジナル作品で原作の存在しない『たまこ』には何かそういうものが欠けている、という意味だったように思う(記憶で書いてるので誤読だったらすみません)。しかし「作家の意志」という意味で言うなら『たまこ』にそれが欠けていたとは思えない。→

2013-06-05 00:01:13
あびこ @sukiyapotes

→ストーリー的には確かに、大したことは起きない。(ファンタジー設定が紛れ込んでいるにもかかわらず) 幼なじみとの恋愛だの学園祭だの商店街のキャンペーンだのが描かれているだけだ。しかし、女の子ばかり出てきて一回見ても区別のつかない作品とは違い、大人もいれば男もいる。年寄りもいる。→

2013-06-05 00:03:42
あびこ @sukiyapotes

→それぞれの人物がそれぞれちゃんとキャラが立っていてまず区別できたし、それだけで充分に最近の他のアニメの中ではよほど好感を持ったものだ。「ちはや」と一緒に自動的に録画されてた女子高生がアイドルやるアニメなんか、女子ばっかりで早回ししてるだけで気持ち悪くて観る気も起きなかった。→

2013-06-05 00:09:59
小森健太朗@相撲ミステリの人 @komorikentarou

空気系にあたるかどうかはどちらでもよいと思うが、「たまこま」に似たテイストの近作として「たまゆら」がある。ヒロインの少女は、写真家の父を早くに亡くし、後を継いで写真家に憧れる中学生。「たまゆら」は善意の人ばかりの世界のためにやや退屈であると思った。(続)

2013-06-05 00:13:16