2010/09/17 ツイッター小説 お気に入りセレクト

今日読んだついのべの中から独断と偏見で味のある作品をセレクトしてみました。 ついのべ #twnovel とは140文字以内で書かれた短い短い物語です。 過去のまとめ http://togetter.com/id/laybacks
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17+1 @17plus1

「大きくなったらプリキュアになりたい」とか大昔のアニメのことばかり呟いているばあちゃんにはもう、僕が孫だとわからないようだ。白寿のお祝いにヤフオクで手に入れたおもちゃのステッキをあげたら、ずっと握って離さないんだ。それも鬼のような形相で。誰を倒したいんだろうね。 #twnovel

2010-09-17 00:05:22
kyo365 @kyo365

【茜荘】 僕が帰ると水泳野郎がいた。逆三角形のそいつは勝手に焼酎を飲んでいた。元気がない。何だ何だ?機関銃の様な筋トレ話がない。何だ? 隣で焼酎を飲んだ。長い時間。 翌朝、ヤツは起きて早々筋トレ話を始めた。「またその話かよ」そう言いながら僕はホッとしていた。 #twnovel

2010-09-17 00:09:28
しーな@GO2完走 @xsheeenax

空で一等輝く星は、燦然とした光を何万光年も離れたわたしたちに届けてくれる。何もかもうまくいっている彼女のようにきらきらと。その周りに無数に散らばる星くずは、その眩さに眼を細めながら己の等級をいつも卑下している。どうせ俺たち程度の光なんか、地球には届きやないんだ。 #twnovel

2010-09-17 01:20:37
藤本戯市朗🌗 @gi_ichirou

裏通りに面した部屋で、私は文庫を開いて彼女の帰りを待つ。刑事が容疑者を問い正すのを、向かいの愛の営みが邪魔をする。まだ日も高いうちから、ガキ共は今日も自主休講か。一際高いメスの声の後、謎は解けたも同然だったが、私はまだキーパーソンの名前を覚えきれていなかった。 #twnovel

2010-09-17 02:15:39
ききき @ssk_mocco

#twnovel 私は彼よりもおおよそ40年早く天に昇った。天の国の入口ですっかり待ちくたびれた頃にやってきた彼は、幸せに頬を緩め私の知らない手を引いていた。木陰に隠れて流した涙が雲の絨毯をすり抜け地上の町を流してしまったのに気付いた時にはもう遅かった。 #twnvday

2010-09-17 03:17:04
とおる6th @windcreator

落とし穴を掘ることを生業にしている。ただの穴ではない。落とし穴であることに、私は誇りを持っている。と、同時に、私は誰にも傷を負わせたくない。戦いを避ける為の落とし穴。故に、私が手がけた落とし穴は全て落ちても無傷の安全設計だ。油断すればそれが私の墓穴にもなるのだ。 #twnovel

2010-09-17 05:17:13
曼哩 @manly00

朝の光にあたると夜に降り積もった魑魅魍魎も溶けてしまう。すっきりとした目覚め。心は軽い。さぁ、今日も一日頑張ろう、と思ったら体が思うように動かない。溶けはじめている手足を見つめながら、ああそうかと気づいて #twnovel

2010-09-17 05:41:55
水木ナオ @nayotaf

#twnovel 拝啓お元気ですか。兄ちゃんは元気です。仕事、初めて企画通ったんだって?よかったな。そうだお前覚えてるか?昔祭の夜店で、俺がりんご飴買ってやったの。あれ、俺の貴重なお小遣から買ってやったんだぞ。だから今度出世払いで返しに来い。来月は例大祭だ。 @re_hadano

2010-09-17 07:02:19
江田・K【小説書き】 @koudakei

彼女は常に気まぐれで、不意に訪れては僕と一夜を共にして明け方、身勝手に去っていく。かと思えば寝てる僕をキスで起こしてご飯を要求する。けど僕も彼女の温もりを忘れられなくて、訪問を心待ちにしてる。「にゃー」「あ、来た」彼女の声と窓に爪を立てる音が聞こえる。 #twnovel

2010-09-17 07:48:50
@toki62

始まりの色と終わりの色を身にまとった人々が一堂に会している。誰もがすまなそうな顔をし、子どもでさえ理由も分からないままそんな顔をしている。遠くでそれを眺めていた私は、自分もそれに加わる決意と陰鬱さを胸に抱え、歩き出した #twnovel

2010-09-17 08:13:13
Takao Rival @takao_rival

#twnovel 「子供の学校の都合で単身赴任になってしまいまして」「あらら、学校に何か問題が?」「ええ、最寄りの高校がかなり遠いのでとてもじゃないが通えないんですよ」「そうですか。それで、単身赴任される赴任先はどちらに?」「あ、国際宇宙ステーションです」

2010-09-17 08:31:17
@TAKEZAEMON

#twnovel 老人が言った。「あんたは誰じゃな?顔はドクロで、長い鎌を持っておる。もしや死神さんかい?とうとうわしにもお迎えが来たんじゃなあ。あれ?婆さんはどこに行ってしもうたかの。あんた知らんかい?」農作業から帰ってきた妻を見る度、同じことを言う老人であった…

2010-09-17 09:06:48
catroll @catroll

#twnovel 人類は海底人と交流を持つ事になり、代表団が海底の国を訪問した。不思議な町並みは「海中の元素を固定する藻を活用しているのです」と説明された。「鉄道もあるのですね」「いえ、あれはモノレールです。先ほど説明した藻で固定化した鉄を使っているので”藻のレール”なのです」

2010-09-17 10:21:58
tokoya @tokoya

#twnovel うちのペットは散歩嫌いで、良い季節になったのに寝床から出ようとしない。でも運動不足になってしまうから、リードを引っ張って無理矢理外に連れ出した。一度外に連れ出してしまえば、割と機嫌良く散歩してくれる。ペットが着替えて会社に行くのを見届けて、僕は犬小屋に戻った。

2010-09-17 10:27:34
とち@むつご沼 @toti_mitira

#twnovel 「さあ、どちらだ」天使と悪魔。その両方から僕はスカウトされていた。残忍な悪魔。優しい天使。そんなイメージは先程覆されたばかり。だから決められない。それでもようやく固めた決意を口にする。「猫派に入ります」「だよな!」「負けた……しかし次の人間は犬派に入れてみせる」

2010-09-17 10:38:30
rime @prhymethyme

防災無線から流れる夕焼け小焼けが調子外れで不快なんです、町会長さん。子供の遊ぶ声も甲高くて頭痛がする。そこのお菓子工場の甘い匂いも胸が悪くなります。いや話をそらさないでください。いま関係ないじゃないですか? それよりも私の家の20年分のゴミを何とかしろなんて話は #twnovel

2010-09-17 10:42:17
@tsujiyosuke

#twnovel 開通した橋の向こうを岸辺から見つめると、その中途から霧で澱んで何も見えなくなっていた。車が続々と橋を渡っていく。霧の中へ吸い込まれていく。時折向こうからも車は来るけれども、こちらから行く方が遥かに多い。そうするうちに霧が晴れてくる。陽射が降り、彼岸が見えてくる。

2010-09-17 11:31:26
みゃあ @myahuu

はい、そうです。生まれ変わる時に裕福な家で暮らす選択もできると言われました。世界を巡る冒険家も選べると。でも私は、早くに別れたあの人の膝に、時々乗れる猫を選んだんです。捨てられましたが、今更恨み事を言う気もありません。このままここで死ぬことを望みます。 #twnovel

2010-09-17 11:37:35
神沼三平太 @y1s

#twnovel Sさんが高校性の頃に見た不思議な光景。自転車に乗った女の子が、後ろ向きで何かに引っ張られるように移動していた。両足は前に突き出し、完全に地面から離れている。声をあげて号泣していたが、転ぶ訳でも無く、するする移動して行く。そのうち角を曲がって見えなくなったという。

2010-09-17 13:16:54
中村ヘボピー @hebop_

あらゆるものが工場で生産されるようになった。食料も水も、空気でさえも工場から出荷される時代。ついに人間もその列に加わることとなった。硬貨を入れてボタンを押せば、カプセルに詰められた子供が手軽に買える。それは通称「児童販売機」と呼ばれた。 #twnovel #oyajigag

2010-09-17 14:06:22
メタル @Metal_mac

嫁と次女が俺に禁煙を詰め寄る「何度言ったらいいの!髪の毛が臭くなるし、部屋の壁が汚れるから煙草止めて!」長女が割って入る「髪の毛が汚れたら洗えばいいし、壁が汚れたら拭けばいい、私、煙草を吸ってるお父さんが好き!」泣きじゃくる彼女、俺はその時から煙草を止めた。 #twnovel

2010-09-17 14:21:40
@K_Ichida

#twnovel 人間の生命で走る理想郷行きのバスがガス欠で止まった。一人の客が燃料に志願した。ガス欠のたびに客が減る。バスが理想郷についた時、卑怯な客だけ残っていた。だがバスの扉が開かない。「当バスはこのまま折り返します」驚いて外を見ると死んだはずの人々が理想郷で笑っていた。

2010-09-17 15:17:25
神ちくわ(やきとりの翁) @Kami_Chikuwa

#twnovel 「小学校の頃使ってたリコーダー、まだ持ってる?」「ええ、確かあったと思うわ」「よかったら、僕にくれないか?」「は!? いやよ! 何するつもり!?」「頼む! 一生のお願いだ!」「いや!」「先っちょだけでいいから!」

2010-09-17 15:17:27
まくるめ @MAMAAAAU

「かよこさん、わしまだメシ食っとらん」「おじいちゃん、もう食べたでしょ」「うーん、そうかのう」……それから三年後。「かよこさん、わしまだ死んどらん」「おじいちゃん、もう死んだでしょ」「うーん、そうかのう」かよこは今日もボケて生き返ってくる義父を埋めるのであった。 #twnovel

2010-09-17 16:36:22
N.T.Works/凪司工房@介護生活中@脱落者 @nagi_tter

#twnovel 夏休み最後の日、勇平が近所の花火を全て買い占めて公園に俺らを集めた。「これやんなきゃ夏終わんないだろ」夕暮れ時から始まった花火大会は二時間ほど楽しんで、最後の線香花火を残すだけとなった。「俺、転校するんだ」その勇平の言葉で一気にしんみりした場に、火の涙が落ちた。

2010-09-17 17:13:59