#短歌の文語 百人一首篇

短歌向けの文語文法の解説が欲しいという声にお応えして、不肖未熟ながらやれるだけやってみることにしました。随時更新します。 私は国文学・国文法は専門外ですので、誤謬がありましたら詳しい方からのご指摘をたまわりたいと思います。
人文 和歌 文語文法 短歌 百人一首
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山本まとも @amazo3
文語短歌にくわしいひとが名歌を題材にして文語文法を解説してくれるハッシュタグ誰かつくって!
小山芳立 @khoryu
#短歌の文語 文語短歌に詳しいかどうかは別として、文語使いとしては一応やってみっか。そうさなー、とりあえず百人一首。
小山芳立 @khoryu
【百人一首/1】秋の田のかりほの庵の苫をあらみ我が衣手は露にぬれつつ(天智天皇) 「A(名詞)をB(形容詞語幹)+み」=AがBなので 「苫をあらみ」=苫が粗いので #短歌の文語
小山芳立 @khoryu
【百人一首/2】春過ぎて夏来にけらし白妙の衣ほすてふ天の香具山(持統天皇) 「に」→完了「ぬ」連用形 「けらし」→「けるらし」短縮。「ける」は詠嘆「けり」連体形 よって「来にけらし」→〈来ていたんだなぁ〉 「白妙の」→「衣」の枕詞。 「てふ」=「といふ」 #短歌の文語
小山芳立 @khoryu
【百人一首/3】あしびきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜をひとりかも寝む(柿本人麻呂) 「あしびきの」→「山」の枕詞 「かも」→「かな」と同じく詠嘆だがより古い。通常は文末に付くがこのようにまれに前に入ることも。 「む」→未来推量・意志〈だろう、しよう、したい〉 #短歌の文語
小山芳立 @khoryu
【百人一首/4】田子の浦にうちいでてみれば白妙の富士の高嶺に雪は降りつつ(山部赤人) 動詞の前に付く「うち」は単に語調を整えるためのものであることが多いので、意味は考えないほうがいい。 「白妙の」→白いものに掛かる枕詞。 #短歌の文語
小山芳立 @khoryu
【百人一首/5】奥山にもみぢふみわけなく鹿の声聞く時ぞ秋はかなしき(猿丸太夫) 「時ぞかなしき」→係り結び。「ぞ」「なむ」「か」「や」は連体形で結ぶ(ただし「なむ」は短歌にはまず出てこない) 「こそ」は已然形で結ぶ。 #短歌の文語
小山芳立 @khoryu
「けり」は「かな」など他の詠嘆と違って「前からそうだったのに今初めて気づいた」という驚きを含む詠嘆です。「秋は来にけり」といえば「秋が来たなぁ」ではなく「いつの間にかもう秋が来ていたんだな」です。現代語にはこれに該当する端的な表現がありません。 #短歌の文語
小山芳立 @khoryu
「けり」の意味。 1.伝聞過去:〈ったそうだ〉「むかし男ありけり」 ※ただし単純過去もあり 2.(今気づいた、という)詠嘆:「秋は来にけり」いつの間にか秋が来ていたなぁ。 3.詠嘆過去(しみじみ回想):〈だったなぁ〉「昔はものを思はざりけり」思わなかったものだなぁ。 #短歌の文語
小山芳立 @khoryu
#短歌の文語 余談 詠嘆「けり」は、現代語の「そういえばそんなこともあったっけ」の「け」として残っています。
かんじょう @kanjo3
古語辞典「けり」 http://t.co/MyLAxLdoQS RT @khoryu: 「けり」の意味。 1.伝聞過去:〈ったそうだ〉 2.(今気づいた、という)詠嘆:「来にけり」来ていたなぁ。 3.詠嘆過去(しみじみ回想):〈だったなぁ〉思わなかったものだなぁ。 #短歌の文語
小山芳立 @khoryu
【百人一首/6】かささぎの渡せる橋におく霜の白きをみれば夜ぞふけにける(中納言家持) 「渡せる」→「る」は「り」(存続・完了)連体形。「り」は四段の已然形にしか付かないので「燃えり」とかは間違い。四段以外の動詞には「たり」を使って「燃えたり」等とすること。 #短歌の文語
小山芳立 @khoryu
【百人一首/7】天の原ふりさけみれば春日なる三笠の山にいでし月かも(阿倍仲麻呂) ここでの「なる」(「なり」連体形)は「〜にある」の意味で場所を表す。「なり」にはいくつか種類があるので辞書チェック。 「し」は単純過去「き」連体形。 #短歌の文語
小山芳立 @khoryu
【百人一首/8】わが庵は都のたつみしかぞすむ世をうぢ山と人はいふなり(喜撰法師) 「たつみ」(辰巳)→南東 「世をうぢ山」→「世を憂」「宇治山」の掛詞 ここの「なり」は伝聞〈〜だそうだ〉で、原義は「聞こえる」 「人はいふなり」→〈人は言うそうだ。噂が聞こえてくる〉 #短歌の文語
小山芳立 @khoryu
【百人一首/9】花の色はうつりにけりないたづらにわが身よにふるながめせしまに(小野小町) 「うつる」→色あせる 「ながめ」→ぼんやり物思いにふける(現代語と違う) この歌は華麗なる掛詞&縁語 「よ」(世/夜) 「ふる」(旧る/経る/降る) 「ながめ」(眺め/長雨) #短歌の文語
小山芳立 @khoryu
【百人一首/10】これやこの行くも帰るもわかれてはしるもしらぬも逢坂の関(蝉丸) これは解説の必要もないと思いますがとりあえず連体形のあとには「もの」「こと」「人」などを補って「行く人も帰る人も」と解釈を。 「逢坂の関」に「あふ」を掛けるのは鉄板ですねという歌。 #短歌の文語
小山芳立 @khoryu
「なり」の見分け方 断定「なり」は体言・連体形に付く。「するなり」〈するのである〉 伝聞「なり」は終止形に付く。「すなり」〈するらしい、するという、するという噂だ〉ただしラ変動詞の場合は連体形に付くので断定の場合と同じ形となってしまい、文脈で判断するしかない。 #短歌の文語
小山芳立 @khoryu
伝聞「なり」は原義が「聞こえる」なので、その意味で使われる場合もある。「鐘が鳴るなり法隆寺」〈鐘が鳴る音が聞こえる〉 「衣うつなり」〈衣を打つ音が聞こえる〉 #短歌の文語
小山芳立 @khoryu
文語とりわけ古語では完了と過去を明確に区別します。現代語で区別されないので要注意。「不審ありつるに」といえば抱いた不審が未解決であることを暗示し、「不審ありしに」なら不審が解決済みであることを暗示します。過去表現を使うと、現在とは切り離された事象という感じ。 #短歌の文語
かんじょう @kanjo3
伝聞なりの例:男もすなる日記といふものを(男が書くという日記なるものを) RT @khoryu: 「なり」の見分け方 断定「なり」は体言・連体形に付く。「するなり」〈するのである〉 伝聞「なり」は終止形に付く。「すなり」〈するらしい、するという、するという噂だ〉… #短歌の文語
小山芳立 @khoryu
【百人一首/11】わたの原八十島かけてこぎいでぬと人にはつげよあまのつり舟(参議篁) 「わたの原」=海 「八十島かけて」=たくさんの島を目指して 「ぬ」=完了の助動詞 文法的にはさして説明がいらないと思いますが、詠まれた背景事情を知らないと歌意がとりにくいかも。 #短歌の文語
小山芳立 @khoryu
【百人一首/12】天つ風雲のかよひ路吹きとぢよをとめの姿しばしとどめむ(僧正遍昭) 「天つ風」「沖つ白波」「国つ神」などの助詞「つ」は「の」に置き換えるといいです。 この歌も特に文法解説はいらないと思います。背景としては、天女コスプレの舞姫を見て詠んだ歌。 #短歌の文語
小山芳立 @khoryu
【百人一首/13】つくばねの峰よりおつるみなの川恋ぞつもりて淵となりぬる(陽成院) 「つくばね」=筑波山 「みなの川」=男女川 「恋ぞつもりて淵となりぬる」→「恋つもりて淵となりぬ」の係り結び #短歌の文語
小山芳立 @khoryu
【百人一首/14】みちのくのしのぶもぢずり誰ゆゑにみだれそめにし我ならなくに(河原左大臣) 「しのぶもぢずり」=福島の信夫もじずり染め 「誰ゆゑにみだれそめにし」→「乱れ染めにき」〈乱れ染めてしまった〉に「誰ゆゑに」と疑問の語が付くので末尾が連体形「し」になる。 #短歌の文語
小山芳立 @khoryu
【百人一首/15】君がため春の野に出でて若菜つむわが衣手に雪はふりつつ(光孝天皇) これ、解説いります?w #短歌の文語
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