2013.6.11 原賠ADR時効中断特例法の問題点 弁護士 中所克博先生解説

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弁護士中所克博 @K_Nakajo

東電のHPに,重要なプレスリリースが掲載されているのを発見!「就労不能損害における算定方法(「特別の努力」の適用)の見直しについて」である。これから読んでみる。まずは掲載の紹介だけ。 → http://t.co/bWwv1fsxtS

2013-06-11 00:40:41
弁護士中所克博 @K_Nakajo

@ran0879 @Reinagsk H23.3.11以降,東電,審査会,センター,IAEA,関係省庁等の動きを頑張ってフォローしながら,被害者側で活動しています。原子力事業の舵取りを決める前に,現に生じている原子力損害にきちんと向き合うことが大切ですが,そうなってはいません。

2013-06-11 00:58:34
弁護士中所克博 @K_Nakajo

@ran0879 @Reinagsk 長期間請求しない被害者にどう対処する?東電を操る政府は,そんな被害者に短期消滅時効の援用を視野に置いていると思います。しかし,被害者の多くは,満身創痍で身動きする力すら失っています。これを直視せず,安易に時効の適用を考えるのは間違いです。

2013-06-11 01:04:40
弁護士中所克博 @K_Nakajo

東電は,6/10付けのプレスリリースで「就労不能損害における算定方法(「特別の努力」の適用)の見直しについて」を公表した。だが,これを読んでみたが,何が言いたいのかさっぱり分からない。 → http://t.co/bWwv1fsxtS

2013-06-11 12:33:10
弁護士中所克博 @K_Nakajo

福島民報に,東電プレスリリースの説明記事が掲載された。これを読んで初めてプレスリリースの意味が分かった。~~~「特別の努力」対象外の賠償 東電が受け付け開始 | 県内ニュース | 福島民報 http://t.co/Vou60BSWy1 @FKSminpoさんから

2013-06-11 12:34:03
弁護士中所克博 @K_Nakajo

6/5にかの「東日本大震災に係る原子力損害賠償紛争についての原子力損害賠償紛争審査会による和解仲介手続の利用に係る時効の中断の特例に関する法律」が公布・施行された。掲載されている官報の号外はココ → http://t.co/bvvvZrXtA7

2013-06-11 19:53:51
弁護士中所克博 @K_Nakajo

文科省のHPには,「原賠ADR時効中断特例法の概要」もアップされている。場所はココ → http://t.co/GOzeK2nSBg

2013-06-11 19:55:14
弁護士中所克博 @K_Nakajo

で,原賠ADR時効中断特例法は,第2条までしかない。第2条は「ADRが和解仲介を打ち切った場合→打ち切りの通知を受けた日から1月以内に被害者が提訴=その訴えは「和解の仲介の目的となった請求について」のもの→和解仲介の申立てのときに訴えの提起(=時効中断)があったものとする」もの。

2013-06-11 19:59:24
弁護士中所克博 @K_Nakajo

では,「原子力損害賠償紛争審査会が和解の仲介を打ち切った場合(当該打切りが政令で定める理由により行われた場合に限る。)」とはいかなる場合?「原子力損害賠償紛争審査会の組織等に関する政令」の11条に打ち切りの定めがある。場所はココ → http://t.co/xnP7fkQmnn

2013-06-11 20:03:44
弁護士中所克博 @K_Nakajo

政令の11条1項はとても短いので,そのまま引用しておく。「審査会は、申立てに係る紛争が解決される見込みがないと認めるときは、和解の仲介を打ち切ることができる。」・・・である。

2013-06-11 20:05:19
弁護士中所克博 @K_Nakajo

政令ではなく,センターの総括委員会が定めた「原子力損害賠償紛争解決センター和解仲介業務規程」にも,34条に「和解仲介手続の打ち切り」の定めがある。こちらはかなり詳しい。場所はココ → http://t.co/dsX2z2UTpx

2013-06-11 20:07:39
弁護士中所克博 @K_Nakajo

業務規定34条の柱書に,「次の各号のいずれかに該当する事由があるときは,政令第11条第1項の規定により,申立てに係る紛争が解決される見込みがないものとして,和解仲介手続を打ち切ることができる。」とある。

2013-06-11 20:09:49
弁護士中所克博 @K_Nakajo

つまり,「和解仲介の打ち切り」(原賠ADR時効中断特例法2条)←「申立てに係る紛争が解決される見込みがないと認めるとき」(政令11条1項)←業務規定34条1項1号ないし4号の各事由 ・・・ こんな論理構造になっておるようじゃ。

2013-06-11 20:13:02
弁護士中所克博 @K_Nakajo

文科省説明書のうち「和解仲介の途中で時効が経過するおそれもあるが、現行制度では、その後に裁判で争うことが困難」の部分は気に入らない。ADR途中で所定の期間が経過したら,「裁判で争うことが困難」とまで言い切っている。だが民法724条の「損害及び加害者を知った時から」には幅がある。

2013-06-11 20:18:38
弁護士中所克博 @K_Nakajo

これは細かい点。文科省の説明書には,「和解仲介の途中で時効が経過 する」との表現が用いられている。だが,経過するのは「(時効)期間」であり,「時効」それ自体は経過しない。些細な部分だが,妙に気持ちが悪い。

2013-06-11 20:21:02
弁護士中所克博 @K_Nakajo

むむ。原賠ADR時効中断特例法2条では,「当該和解の仲介の目的となった請求について訴えを提起したときは」とある。ここにいう「請求」とは何だろう?例えば一部の損害費目だけに絞りADRを申立てているとき,時効中断効はどの範囲で生じるのだろう?

2013-06-11 20:26:01
弁護士中所克博 @K_Nakajo

民事訴訟の場合,(理論的な争いはあるが)「訴訟上の請求」=訴訟物の範囲は明確である。だが,ADRで「請求」なるものの範囲を一義的に把握できるのだろうか?政令5条は申立書の記載事項を定めている。だが,3号に「和解の仲介を求める事項及び理由」とあるだけで,「請求」の文字はない。ううむ

2013-06-11 20:30:30
弁護士中所克博 @K_Nakajo

民事訴訟は,当然ながら処分権主義に支払されている。だが,ADRはそうではない。例えば,申立人が不動産損害につき全損の24/76だけの支払を求めているとき,原発事故から3年目に突入した時点で,申立人は請求の拡張の手続もしないのに,36/72の和解案が提示されてくる。

2013-06-11 20:35:02
弁護士中所克博 @K_Nakajo

要するに,原賠ADR時効中断特例法2条には「当該和解の仲介の目的となった請求」という用語が使われている。これが時効中断効の範囲を画する基準である。だが,ADRにおける「請求」とは何なのだろうか?法文を見た瞬間,よう分からんな~・・・,そう思った次第である。ワテがアホやからかな?

2013-06-11 20:38:19

弁護士中所克博 @K_Nakajo

@sakamotomasayuk 最近の民事訴訟法の書籍を紐解き,「請求」やら訴え提起に基づく時効中断効の範囲やらを勉強し直す必要があると思います。わけのわからない代物を誕生させていただき,悩みの種がまた一つ増えてしまったようです。

2013-06-11 20:47:16
弁護士中所克博 @K_Nakajo

文科省の説明書によれば,原賠ADR時効中断特例法2条とよく似た規定が,公害紛争処理法や男女雇用機会均等法にもあるとのこと。調べてみたら,確かによく似た規定がある。この2つの法律における時効中断の定めも,「請求」という語が用いられている。そうであっても,まだモヤモヤは晴れない。

2013-06-12 18:25:16
弁護士中所克博 @K_Nakajo

公害紛争処理法における時効中断の定めは36条の2。男女雇用機会均衡法では24条である。だが,公害紛争も雇用機会均等も,まず調停に期待するのは違法な現状の是正。汚染物質の排出を止めろ!不平等を是正せよ!である。損害賠償請求がメインの原子力損害賠償における和解仲介とは異質である。

2013-06-12 18:31:34
弁護士中所克博 @K_Nakajo

作為や不作為を求める調停では「調停の目的となった請求」も比較的容易に把握できる。これに対し,原賠ADRは損害賠償がmain&only。しかも,一部の損害費目だけ仲介を申立てる,申立てた全損害費目の一部だけ和解案を求める等もOKであり融通無碍。「請求」の把握は容易ではない。

2013-06-12 18:37:20