アニメーター・平松禎史氏のアニメの(セル画)の”絵”に付ける「影」について

『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』の原画、『進撃の巨人』のED作画などをされているアニメーターの平松禎史さんがアニメの(セル画)の”絵”に付ける「影」についてつぶやかれたものをまとめさせていただきました。影一つとっても様々な考えで付けられるのですね。やはりアニメは奥深い・・・!
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平松禎史 @Hiramatz

愛知県豊川市出身のアニメーター・演出家の個人アカウント。 youtube.com/@hiramatz1963 経済問題のつぶやきが多いですが、アニメや生活につながっていく身の回りのことなのでボクには自然なこと。 岡田麿里監督『アリスとテレスのまぼろし工場』に副監督で参加しています。

ameblo.jp/tadashi-hirama…

平松禎史 @Hiramatz

アニメの(セル画)の”絵”に付ける「影」については大先輩もふくめて色んな方が試行錯誤していてボクなどが今更語るまでもないのだけど、ちょっと再考する機会があったりしてメモ的に書いてみる。 基本的には、影なしで成立する絵を基にして動きで物言うのがアニメだと思ってます。

2013-06-12 05:00:34
平松禎史 @Hiramatz

影が必要なのはどういう時か?何を表現したいのか? 状況と目的に応じて方法が選ばれます。昼と夜、朝と夕、室内と野外… 人物(や物体)がどんな空間に存在しているか。色に加えて光を出すために影が必要ならば、その比重が高ければ、影をつけます。

2013-06-12 05:06:27
平松禎史 @Hiramatz

というわけで、影は絵を描く時にかなり最後の方に、或は、画面の質感を表現するために最初から計算して付けるか否かを考えます。帽子や髪型の特徴やメガネなどのパーツの都合で付く影はキャラクターデザインの範疇になります。例えば次元大介の帽子の影はどんな時でも付いてないと様になりません。

2013-06-12 05:11:28
平松禎史 @Hiramatz

空間表現の影なのか、キャラクターデザインの影なのか。描き手は明確に意識する必要があると思います。影がなくても成立するデザインの方が自由度が高くなる、とボクは考えますのでなるべくならパーツ由来の影はない方が良いです。線だけで立体やキャラの性格まで出せたら良いと考えます。

2013-06-12 05:15:07
平松禎史 @Hiramatz

優先順位として、パーツがそのキャラの何かを表現しないのから、帽子があろうとネガネがあろうと、(肌や服へ影が落ちているという”説明”にしかならない)影は付けません。空間表現や芝居の邪魔になるだけではないか。セルアニメの歴史と諸先輩方の実績やわずかな自分の経験でそう思います。

2013-06-12 05:23:19
平松禎史 @Hiramatz

もちろん、影をデザインに取り込む考え方はアリですよ。例えば川尻監督作品のように。あそこあでコントロール出来ればカッコイイ。良くないのは直感として「これは何?」と思ってしまう影なら付けない方が良いんだと思う。という、とある雑感でした。

2013-06-12 05:29:21
平松禎史 @Hiramatz

用例として適当かどうかわかりませんが、今月のアニメディアの山本寛監督応援イラストはそのような考え方で影付けしてます。キャラの手前・奥。服や腕などの重なり。実は当初カラーで描いたのですが白黒に変換する時、影の濃さ面積を慎重に調整しています。(ステマ、ではなく マ ですw)

2013-06-12 05:47:09
平松禎史 @Hiramatz

影について。演出面から大事なことは、心情表現ですね。必要な時に影が生きるように、不要な時は邪魔にならないように。柔軟に有無が選べるようにしておけるデザインの方がボクにはやりやすいです。やはり「何を表現したいか」の目的に応じて、ですね。

2013-06-12 06:01:29
平松禎史 @Hiramatz

そういえば今月のアニメディアには(何周年だっけ?)色紙イラストも描いてます。どうぞよろしく。( マ です。)

2013-06-12 06:04:55