解説 "Information Thermodynamics on Causal Networks" by sosuke110

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Egel🦔ハリネズミ @sosuke110

僕の論文をarxivに上げました。 多数の系が複雑に相互作用している場合に、一つの系と他の系との間の情報の流れに着目して、グラフ理論を使って熱力学第二法則を一般化する話: http://t.co/vMaDdwui3V

2013-06-13 09:16:00
Egel🦔ハリネズミ @sosuke110

健康診断待ち時間なので、少し解説を書く。

2013-06-13 09:18:01
Egel🦔ハリネズミ @sosuke110

基本的に孤立系(断熱過程)では系の熱力学的なエントロピーは増加する。これが熱力学第二法則。

2013-06-13 09:19:24
Egel🦔ハリネズミ @sosuke110

ではある孤立系の一部分系だけに着目した場合はどうか?これは熱力学第二法則からは答えられない。他の部分で補えるので、一部分系だけのエントロピーは増えても減ってもよい

2013-06-13 09:41:24
Egel🦔ハリネズミ @sosuke110

この部分系のエントロピーの変化に対して、一般に何かが言えるのかを書いたのが本論文

2013-06-13 09:45:08
Egel🦔ハリネズミ @sosuke110

といっても、何も抽象的な話をしたわけではなく、この論文の根底にあるのは小さな系の熱力学第二法則に関する理論

2013-06-13 09:46:10
Egel🦔ハリネズミ @sosuke110

小さな系は、ブラウン運動をはじめとした確率過程で時間発展することが知られている。この世界で、熱力学第二法則を"導出"したのが、「ゆらぎの定理」と呼ばれる理論群

2013-06-13 09:48:07
Egel🦔ハリネズミ @sosuke110

この世界では、確率過程の性質から熱力学第二法則とそれに関連する式を得ることができる。

2013-06-13 09:49:13
Egel🦔ハリネズミ @sosuke110

その「ゆらぎの定理」方法論を使って、フィードバック制御下でエントロピーの変化(エントロピー生成)についての制限式を出したのがSagawa-Ueda。本研究の直接的な先行研究になる。

2013-06-13 09:51:29
Egel🦔ハリネズミ @sosuke110

その式によると、フィードバックに使うメモリと系との間の相関を意味する情報量、「相互情報量」によって系のエントロピー生成が制限される。この「情報」によって系のエントロピー生成は負になってよい

2013-06-13 09:53:50
Egel🦔ハリネズミ @sosuke110

この式により、Maxwellのデーモンとよばれる、長い議論の対象になったパラドックスは、理解されたといってよい。なぜなら、デーモンは、メモリをもつフィードバック制御機とみなせるので。

2013-06-13 09:55:32
Egel🦔ハリネズミ @sosuke110

この理論をきっかけとした実験はうちの研究室のOBが行い、"デーモンの実現"となったわけだ。この実験で、きちんとSagawa-Uedaの制限式が守られていることも検証された

2013-06-13 09:58:36
Egel🦔ハリネズミ @sosuke110

ではこのMaxwellのデーモンの問題は、通常の熱力学第二法則の観点からはどう理解されるか?

2013-06-13 10:00:41
Egel🦔ハリネズミ @sosuke110

着目している系+デーモン+(熱浴) これらを合わせたものが孤立系であった。よって当然デーモン系のエントロピー生成が上がれば、着目している系のエントロピー生成は下がって良い

2013-06-13 10:03:45
Egel🦔ハリネズミ @sosuke110

ただこれだけである。それに比べると、Sagawa-Uedaは"情報"という特徴的な量を用いて、着目系で閉じた話をしており、含んでいる内容は熱力学第二法則より広い。

2013-06-13 10:06:18
Egel🦔ハリネズミ @sosuke110

ただし、sagawa-uedaはフィードバック制御という限られたクラスだけの関係式である

2013-06-13 10:08:34
Egel🦔ハリネズミ @sosuke110

そうなると、誰もが思いついていい疑問がでてくる。 じゃあ、一般に色々な系が接触している部分系で、"情報"と部分系のエントロピー生成に関する一般的な式は何か?

2013-06-13 10:09:10
Egel🦔ハリネズミ @sosuke110

これに答えるのが本論文である。

2013-06-13 10:09:32
Egel🦔ハリネズミ @sosuke110

ちょっと佐野研の論文紹介が始まりそうなので休憩。あとで論文の中身を説明します。

2013-06-13 10:11:10
Egel🦔ハリネズミ @sosuke110

表現が悪かったので訂正:デーモン系のエントロピーが上がった分だけ、というよりは、デーモン+着目系のエントロピー生成が上がった分だけ、です。

2013-06-13 10:14:49
Egel🦔ハリネズミ @sosuke110

この微妙な表現の違いこそが、「相互情報量」の起源だったりする

2013-06-13 10:15:44
Egel🦔ハリネズミ @sosuke110

ツイッターで発狂連続投稿。だがそれがいい

2013-06-13 10:17:36
Egel🦔ハリネズミ @sosuke110

上田研でseifertのレビューのレビューをしてたので聞きにいっていた

2013-06-13 17:53:45
Egel🦔ハリネズミ @sosuke110

ずいぶんと時間が空いたけど、電車に乗ってて暇なので論文の中身の説明を。

2013-06-13 19:49:48
Egel🦔ハリネズミ @sosuke110

今日の朝書いた「色々な系が相互作用している部分系」→「情報とエントロピー生成の式」と疑問をどう数学的に表現するのか、というところから話は始まる

2013-06-13 19:53:25