『具体』の再評価と価格の高騰
- hashizume_y
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ルドルフ・ステッドラー・コレクションより「具体」の作品が出品
白髪一雄:「具体」中心作家の作品、2億1700万円で落札
http://mainichi.jp/feature/news/20130612dde018040040000c.html
白髪一雄の1961年の作品が2億円を超える価格でパリのクリスティーズで競り落とされたとの報道。グッゲンハイムでの展覧会以後、具体美術協会関係の作品は価格が急騰とは聞いていたが、さすがにこれは異常ではないか。私は高値で取引されることが作家そして作品にとって望ましいとは考えない。
2013-06-13 20:34:17私は白髪さんの作品は世界的にも画期的な達成であり、例えばポロックと比較されてよいと考える。しかしこの価格は異様であり、完全に投機のそれだ。価格には適正な幅がある。マクドナルドや牛丼屋の異常な値引きが労働という営みの尊厳を奪うように、異常な額での取引によって作品の本質は見失われる。
2013-06-13 20:41:02確かに最近、具体の作家の作品がMOMAに入ったという事例も聞く。しかし私はあえて言いたい。作品がMOMAに入れればよいという発想は完全に植民地的だ。作品は一つの文脈に置かれて意味をもつ。MOMAに入った具体が欧米モダニズムの正当性を強化するための「外部」として扱われることは自明。
2013-06-13 20:53:35私は作品が高値で売買されることより、適切な文脈としてコレクションに収められ、展示される方が格段に重要だと考える。価格が高騰して海外のコレクターに所蔵されたため、代表作が重要な回顧展に出品されなかった例はいくらでもある。投機的に売買されたために所在が不明となった作品はさらに数多い。
2013-06-13 21:01:17私は優れた作家の作品を名のある美術館に入れようとするギャラリストの気持ちも理解できるし、それも重要な仕事であろうとは思う。よってこの件に関して私はいささかアンヴィバレンツな感慨を抱く。しかし私の信念として繰り返しておきたいのは真に優れた美術は商業主義とは相容れないということだ。
2013-06-13 21:09:23MOMAやマーケットを対立軸にするかぎり問題は解決しない。MOMAもマーケットも複数ある状況のうちの一つとして捉えられるぐらいの柔軟さがほしい。だってMOMAって言ってもたくさんの人が関わっているし、すぐれたキュレイターもいます。マーケットだって同じ。大きなくくりに惑わされては
2013-06-14 00:53:04まあ、お嘆きの趣旨はわからないではないのですが、日本の美術館がどこも購入予算を持ってないんだから、どうしようもないよな、という気もする。保存状態の悪いままにみすみす放置して予算のなさを切歯扼腕し、アメリカの美術館を紹介したくなる気持ちはわかる。
2013-06-14 07:41:31一言で言えば、いま日本は何度目かの「浮世絵の悲劇」を繰り返そうとしている。浮世絵は版画だから、一部が流出してもまだ残っているが、「具体」の作品は一点ものなのでもう二度と帰って来ない。伊藤若冲もこうして流出した。何度同じ過ちを繰り返すのか、と思う。
2013-06-14 07:43:42でも、それも誰もお金を出そうとしないのだから仕方がない。誰も理解者のいない日本国内で朽ち果てるに任せるより、淋しいけれど海外でちゃんと理解してくれる人の手に委ねた方がまだしもかと思う。それがオリエンタリズムの補強につながると憤るのもわかるのだけれど。
2013-06-14 07:45:43「具体」の作品を大量に持ってる芦屋市立美術博物館は人がなかなか来場せず、一時期は閉館しようかという話まで出た。そんな国に置いとくよりMOMAに飾ってもらった方が……と考えるのは人の情として仕方がないんじゃないか(もちろん逆説的に言ってるのだけど)。
2013-06-14 07:53:17白髪一雄の代表作が日本の美術館に残らないとしたら、受賞歴の少なさも一因だと思います…この点で考えると元永定正の作品は残るんだろうな。 予算承認経路が全て美術に理解がある人や専門家の判断を信頼する人ではないだろうし…
2013-06-14 10:39:46