茂木健一郎:「占い」についての連続ツイート
目覚める前に、ものすごく複雑な夢を見ていた。そうして、起きたら、哀切な気持ちになった。でも、爽やかで、いのちそのものという感じだったネ。
2010-09-19 06:54:06占い(1)ぼくは10月20日生まれの「てんびん座」である。学生の時、雑誌「ぴあ」の星占いのコーナーを毎号見ていた。別に何の考えもなく、毎回、「おっ、当たっているじゃないか」などと思っていた。
2010-09-19 07:01:38占い(2)ある時、ふと気付いて、他の星座の項も読んでみた。おとめ座を見ると、やっぱりあたっている。ふたご座も自分にあてはまる。おひつじ座もどんぴしゃりである。それで、やっと、ははあ、そういうことかと気付いた。
2010-09-19 07:02:35占い(3)占いは、一つの芸術である。「あなたは酸素を呼吸しています」などという、明らかに誰にでもあてはまることを書けば、そんなことは当たり前だとバカにされる。一見、自分宛だけに書かれたように見えて、実は誰にでもあてはまる文章を書くという絶妙なバランス。そこに「占い」の領域がある。
2010-09-19 07:03:44占い(4)「ぴあ」の占いのコーナーを喜んで読んでいた頃、ぼくはもちろん「因果性」を理解していたし、経験科学の原理もわかっていた。それでも「占い」を読んでよろこんでいるぼくがいたということは、人間が、いかに自分の中の整合性をつけない、いい加減な存在であるかということを示す。
2010-09-19 07:04:52占い(5)同時に、経験からして、「占い」は、それがあるメカニズムに基づいているかどうか、「当たる」か「当たらないか」ということが本質ではないのだと思う。それは、いわば、脳の認識の回路に働きかける、「プラシーボ」のようなものなのだろう。
2010-09-19 07:06:19占い(6)これは薬だと言って、砂糖のかたまりをあげると効く。この「プラシーボ効果」は、脳活動計測によって、脳の自己治癒能力が引き出されるものとわかっている。むろん、限界もある。しかし、限界の中で、効くのだ。占いの効用も、つまりはそのようなものだろう。
2010-09-19 07:07:42占い(7)プラシーボ効果において重要なのは、文脈である。星座占いは、実はどの星座を読んでも同程度に「当たる」。しかし、自分の星座の項目が、まさに自分宛に書かれたものであると信じることによって、何らかの作用が生の現場にもたらされるのだ。
2010-09-19 07:08:35占い(8)たとえば、「今週は素敵な出会いがあります」と言われて、その気になれば、仕事や遊びで会う人、街で通りすがりの人に対する心の開かれ方が変わってくるかもしれない。もともと何の根拠もないものを、信じることで効果が生まれる。つまり、占いは、「鰯の頭も信心から」である。
2010-09-19 07:10:10占い(9)ぼくは、未来をぴたりと当てる霊能力者がいるとは思わない。しかし、信じている人の方が、「占い」のプラシーボ効果が高いかもしれない。ぼく自身は「占い」を積極的にやろうとは思わないが、「占い」好きな人が、そのことによって生きる上で損をすると断定するつもりもない。
2010-09-19 07:11:58占い(10)もっとも、プラシーボ効果には副作用もある。たとえば、ビタミンを摂取すれば簡単に問題が解決するのに、それを拒否するような場合。占いも、参考程度にすれば良いが、それを墨守するようだと生のフレキシブルな力学を大いに阻害するだろう。
2010-09-19 07:13:07占い(11)現代社会を生きる上で、一つの「世界知」として、「占い」には根拠がないことを理解するのは有益だと思う。一方で、「占い」が根強く人気を保っているのは、進化論的にそれを信じる人に一定の利益がもたらされてきたからだと考えられる。あくまでもバランスの範囲において。
2010-09-19 07:15:24@kenichiromogi おはようございます。先生のツイート、いつも興味深く拝見しております。今回の連続ツイート、とても納得する内容でした。生き物とはつまり脳であると、あらためて感じました。
2010-09-19 07:23:48@kenichiromogi 昨日、日本のガラパゴス化の話をされていましたが、非常に興味のある話でした。現代的鎖国というのは言い過ぎでしょうか?(笑)
2010-09-19 07:24:47自分に良い事が書かれた占いだけ意識して読みます QT @kenichiromogi: 以上、「占い」についての連続ツイートでした
2010-09-19 07:25:21RT @kenichiromogi 占い(5)同時に、経験からして、「占い」は、それがあるメカニズムに基づいているかどうか、「当たる」か「当たらないか」ということが本質ではないのだと思う。それは、いわば、脳の認識の回路に働きかける、「プラシーボ」のようなものなのだろう。
2010-09-19 07:27:25ホメオパシーのことでしょうか?疑似科学に対してはバランス感覚さえ間違えなければそれなりに楽しめてます。RT @kenichiromogi 占い(10)もっとも、プラシーボ効果には副作用もある。たとえば、ビタミンを摂取すれば簡単に問題が解決するのに、それを拒否するような場合。
2010-09-19 07:29:08そう RT @kenichiromogi: 占い(10)もっとも、プラシーボ効果には副作用もある。たとえば、ビタミンを摂取すれば簡単に問題が解決するのに、それを拒否するような場合。占いも、参考程度にすれば良いが、それを墨守するようだと生のフレキシブルな力学を大いに阻害するだろう。
2010-09-19 07:29:39@kenichiromogi まあ、占いは当たることはありません。総理も一人しかなれませんし、死ぬのも様々な日になくなられます。私が門主になれないのと同値です。利己主義の社会において、なぜ占いが流行るのかに興味をもちます
2010-09-19 07:30:31@kenichiromogi プラシーボ=暗示 石井ゆかりさんがtwitterで日々占ってらして、その言葉が大好きです。 彼女もなんの根拠もないよと言いながらw だけど勇気というのか元気というのか背中を押してもらってるような気分で読んでいます。
2010-09-19 07:31:04科学的根拠を持たない占いが社会でなぜ支持されて生き残っているか、その理由を進化論的利益に求めて説明したのは面白いと思いました。@kenichiromogi
2010-09-19 07:31:36茂木さん、おはようございます。「信じる者は救われる」んですね~こないだ、「素敵な人にであう」と言われました。RT @kenichiromogi: 占い(8)もともと何の根拠もないものを、信じることで効果が生まれる。つまり、占いは、「鰯の頭も信心から」である。
2010-09-19 07:31:44@kenichiromogi 東洋の占いは主に統計学ですし、西洋の占いはヨーロッパなどでは学問として成立している位、奥深いんですょ。政治や時代にも影響を与えてきましたし。きちんと勉強すると興味深いです。
2010-09-19 07:32:18