ついのべまとめ

90%はお題botさん、診断メーカーのお題系診断さんからヒントを頂いて書いております。 ダーク系が多いです。 まだまだ初心者ですが、ちまちま書けていけたらいいなあと思っています。
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凍吹朔@創作・読書系 @ibukisaku_ss

少女が目醒めたのは5歳の夏だった。天体観測の為に、父が初めて外へ連れて行ってくれた。防護服を着せられ酷く暑かった。寂れたビルの屋上で空を見上げた時、悲痛な叫びが聞こえた。害獣共から護らなければ『彼女』は死んでしまう。悟った少女は望遠鏡を覗く一匹の害獣を突き落した。#twnovel

2013-09-01 14:29:13
凍吹朔@創作・読書系 @ibukisaku_ss

私は水と龍を信奉する神殿に仕える巫女だった。民の為に龍へ毎年の水の恵みを祈願する。年々、街のお偉方は工業化の為水エネルギーを酷使していった。龍は次第に弱っていく。私は謀反を起こした。祈願を放棄した為、街の水は淀んでいった。私は龍と共に息を潜め幸せに暮らしている。#twnovel

2013-09-01 02:25:30
凍吹朔@創作・読書系 @ibukisaku_ss

その池は瑠璃色で底無しに見えた。私は勇気を出し飛び込む。地雷で足を欠落した痛み、銃で数多の人々を殺した時の煩悶の記憶。時間が逆行し、私は出征の朝のホームにいた。嘗て恋した少女は目の前。貴方を愛しています。やっと口に出来た。退行は続き最期には羊水の海に抱かれていた。#twnovel

2013-08-31 22:48:08
凍吹朔@創作・読書系 @ibukisaku_ss

黒い参列者達をぼんやり眺めていた。中心には僕そっくりの写真。いや、僕そのものなのかな? 大きな心臓の手術をしたのは覚えてるのに、胸に傷はなく滑らかだ。遺伝子も記憶も同じならこの式に意味はあるのかな? 答えのない問いを遮断する。僕も長くない。すぐそちらへいくだろう。#twnovel

2013-08-31 01:33:41
凍吹朔@創作・読書系 @ibukisaku_ss

仔山羊7匹。仔豚3匹。嘘つき少年と羊の食べ放題。俺は聞きかじった御伽話を渡り歩く。#twnovel今日は婆さんを食った。ベッドで待っていると腹に包丁が突き立てられた。赤頭巾の少女のエプロンが血に染まる。「あら、おばあちゃんじゃないわ。早くあの世に逝かせてあげようと思ったのに……」

2013-08-31 01:04:52
凍吹朔@創作・読書系 @ibukisaku_ss

名もなき吟遊詩人がいた。ある日、彼は麗しい冒険者に出会った。「必ずやお役に立ってみせましょう」詩人は彼の旅に付き従った。そして魔王との決戦。結界が張られ手を出せない。詩人がここぞとギターをかき鳴らすと結界は破れた。「まさか!」魔王は敗北し、また英雄譚が生まれた。#twnovel

2013-08-30 00:46:04
凍吹朔@創作・読書系 @ibukisaku_ss

ハナを埋めてやる。動かないハナを見た時は悲しかったけど、近所迷惑なくらいに泣きわめく弟を前に涙も引っ込んだ。「ヒマワリの種好きだったから、一緒に埋めてやろう」泣き止んで欲しくてそんな提案をした。#twnovel 毎年、綺麗なヒマワリが咲いて、会話が減った俺達に話のタネをくれる。

2013-08-29 21:06:56
凍吹朔@創作・読書系 @ibukisaku_ss

海を回遊していた。名も知らぬ魚群を追い抜いて、海亀と並行して泳ぐ。次は鯨だ。全部わかり切っていた。私はヘッドギアを外す。窓の外には、永遠に限りなく近い夜に浮かぶ、灰色にくすんだ球体が見える。何度見たって、この映像は死んでしまった蒼。死んだら本物の鯨に会えるだろう。#twnovel

2013-08-29 19:22:35
凍吹朔@創作・読書系 @ibukisaku_ss

今日も愚痴いっぱいの日記帳を受け取る。桃色で書かれた丸っこい字が愛しい。よくもこんな下らない文章を長々と書き連ねられるねぇ。そんなことを言ったらあの子はこのやり取りをやめてしまうだろう。私は空色のペンをくるくる回しながら、適度な同情と自己開示の文章を考え始めた。#twnovel

2013-08-29 19:19:06
凍吹朔@創作・読書系 @ibukisaku_ss

行きつけのカフェでいつもの席に座り、こっそり視線を向ける。一流のパティシエが作った菓子のように繊細で芸術品級の彼女が文庫本を読んでいる。飴細工の黄金色のウエーブ、粉砂糖をまぶした白い肌。流れる血は蜜のように甘いだろう。とりあえずこのトマトジュースで我慢するか……。#twnovel

2013-08-29 19:17:02
凍吹朔@創作・読書系 @ibukisaku_ss

男がいた。男は貧しかった。だが腕っぷしは立ったし、何より人を惹きつける魅力があった。彼は王の圧政に苦しむ民と共に城から王族達を引き摺り下ろした。新しい王が誕生した。王は経験した事のない贅沢を知り、耽溺していった。今では暗い歴史の輪舞曲の一片として語り継がれている。#twnovel

2013-08-29 18:51:19
凍吹朔@創作・読書系 @ibukisaku_ss

熟れたトマトが落ちて潰れたように頭蓋が砕け、散る鮮血が顔にこびりついた。記憶が赤い紅い朱いペンキで塗りつぶされた。ペンキは落ちそうにない。僕は『あか』を欲するようになった。地面に脳漿と血液をぶちまけたい衝動に駆られた。あかい自分は観測できない。そうわかっていても。#twnovel

2013-08-27 01:37:05
凍吹朔@創作・読書系 @ibukisaku_ss

白い花が咲き乱れる合間を縫ってボートは航行する。桜色の装束を纏った天使が悠々とオールを漕ぎ、乗客は皆微笑みを湛えている。あちらでどんなに苦しもうが、向こうにゆく為の短い船旅は穏やかで、辛苦の記憶など吹き飛んでしまう。ただ、向こうに着いてからの処遇は天使も知らない。#twnovel

2013-08-26 23:36:56
凍吹朔@創作・読書系 @ibukisaku_ss

誰もいない屋上で、彼はハンカチを手に奮闘している。夕暮れが彼を包むのにも気付かず、期待と不安を入り混じらせながら同じ動作を繰り返していた。#twnovel「退院おめでとう!」 ナースや家族達に囲まれた彼女へ、ハンカチから現れた原色の造花達を手渡す。彼女の顔に大輪の花が咲いた。

2013-08-26 21:07:04
凍吹朔@創作・読書系 @ibukisaku_ss

脳みそからありとあらゆるものが零れていく。それを止めるのも面倒くさくて、寝返りをうつ。自分を自分たらしめていた記憶が、夢に上書きされていく。夢は麻薬のように私を陶然とさせ、ベッドから離さない。あと少し……そう思ってどのくらい経ったか忘れてしまったことさえも忘れた。#twnovel

2013-08-26 18:50:27
凍吹朔@創作・読書系 @ibukisaku_ss

君は寝惚け眼で歯を磨く。僕も怠い仕草で歯を磨く。寝癖まで同じ君と僕。退屈だ。君が歯ブラシを取り落す。僕は歯ブラシをくわえたまま。驚いた君の瞳孔まで真似出来る。でも、もういいや。銀で彩られた硝子の扉をこじ開ける。僕は歯磨きを終えた。鏡を覗けば、僕そっくりの君がいる。#twnovel

2013-08-22 16:31:39
凍吹朔@創作・読書系 @ibukisaku_ss

足が痛んで走るのをやめた。明かりを求め自販機の側に腰掛ける。靴ずれが出来ていた。裸足にローファーで走るのが悪い。頭に血がのぼっていたとはいえ、とんだ判断ミスだ。私の意思を許さない親に腹が立った。でも行ける所は近所の自販機がせいぜい。自由と程遠い自分にため息が出た。#twnovel

2013-08-22 08:01:12
凍吹朔@創作・読書系 @ibukisaku_ss

軽快でキャッチーなメロディに合わせて、タナトスを内包した歌詞が歌姫によって紡がれる。歌姫に意志はなくて、でも観衆はその歌に熱狂する。 『死にたい』『助けて』 熱狂に混じって時折悲鳴があがる。もし本気の叫びが紛れていたとしたら、観衆は彼らを助けようと思うだろうか?#twnovel

2013-08-22 03:51:02
凍吹朔@創作・読書系 @ibukisaku_ss

星もいつか死ぬ。何万光年先の星は、輝きは見えども、もう存在しないのかも知れない。沢山の人に希望を残して動かなくなった君のように。湖に映る星屑は君に贈る餞。しろがねの色をした水面に君を横たえる。君が沈んでいく。#twnovel これからは、水底から数多の輝きを眺めて楽しんでおくれ。

2013-08-22 00:38:01
凍吹朔@創作・読書系 @ibukisaku_ss

いつの間にか机に突っ伏して寝ていた。徹夜を覚悟したのに、睡魔に負けたらしい。宿題は仕方ないけど学校はだるいな……と思いながらデジタル時計に目をやると、『8月32日』と表示されていた。階下へ降りると誰もいない。外へ出ても、人影はない。ただ蝉時雨がやけにうるさかった。#twnovel

2013-08-21 21:30:12
凍吹朔@創作・読書系 @ibukisaku_ss

君のジッポライターに火をつける。一日一回、オレンジの揺らめく灯りを目に焼き付ける。火をつける。オイルを差す。火をつける。石を取り替える。とうとうそれでも火がつかなくなった頃には、涙は乾いていた。修理に出すのは、やめた。消えてしまった君の火を、私が継いでいけばいい。#twnovel

2013-08-17 21:22:46
凍吹朔@創作・読書系 @ibukisaku_ss

昨日深夜に書いたついのべの蛇足。

2013-08-17 20:58:14
凍吹朔@創作・読書系 @ibukisaku_ss

ある漁村の定食屋に『人魚姫のスープ』というのがあった。興味をひかれて頼んでみると、黒々した海藻が浮かぶ無色透明の素朴なスープが出てきた。食べてみると、旨味のある塩味が口の中に広がる。美味しさのあまり店主にその秘密を聞くと、「使っている塩が違うんですよ」と笑った。#twnovel

2013-08-17 20:56:20
凍吹朔@創作・読書系 @ibukisaku_ss

海辺で少女を見つけた。裸の肩に張り付く黒髪が朝日を浴びて輝いていた。珊瑚色の唇から言葉が紡がれることはない。放っておけないので家に招き入れた。服とパンを与えたが、パンには口をつけなかった。じっとり汗ばむ昼過ぎに、彼女は消えた。あとには美しい玻璃の様な欠片が残った。#twnovel

2013-08-17 02:20:00
凍吹朔@創作・読書系 @ibukisaku_ss

一応連作です。犬派で、異種族間の恋が好きなのでこんな形になりました。ポチという猫もいるかも知れませんが……。

2013-08-14 07:57:28
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