イギリスの中等教育(2011年8月−2013年6月のtwから)
- SteFoyLesLyonFr
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イギリスにおける初等中等教育に注目して来て、どんどん深みにはまっていきつつある。明日はしかも、私の敬愛するイラン人が3組、中国人が1組も別個に教育相談にやってくることになった。彼らの社会的立場を知るとジャーナリスト垂涎だろう。私はただの暇人だったのに、映画を見る暇もないこの夏。
2011-08-30 10:29:49イギリスでは学校も新しい年度をむかえた。公立小学校から私立の中学校に進学した子どもたちは一様に興奮状態。私立から公立校に進学した子は唖然、慄然、悄然。どちらのケースも、あまりに違う世界に誰もが目を点にしているのは共通。なにが違うかって? まずは、
2011-09-09 10:21:27イギリスの朝の通学風景。ロンドンでは11歳になると Oyster Card のジュニア版である Zip Card という公共交通機関用の磁気センサー付きの交通カードを入手できる。15歳まではそれを持っているとバスは無料。中学校が11歳から始まるがための市の政策。つまり、
2011-09-09 10:26:5711歳からは単独で晴れて行動していい(それまでは原則として独りで街を歩けない。許可がいる)ということだが、公立校の子どもたちはロンドン交通局の市バスに朝になると大挙して乗ってくる。ダブルデッカーの2階席は荒れている学校の近辺では凄まじいことになる。そもそも、
2011-09-09 10:31:15ロンドンの市バスは郊外に行くほどに汚らしいものが多い上、学校は比較的郊外に多い。ということは汚いダブルデッカーの2階席ではチップスやらコーラやらが飛び交い、朝からタバコを吸っている中学生もたまにいたりする。他方、
2011-09-09 10:34:45私立校の子どもたちの通学バスはもちろん学校専用バス。バス会社と契約しているバスは例えば、http://t.co/JmQEF1A とか、http://t.co/mlDl2L8 とか。学校名も明示せず、中の様子も外からはうかがえない。外の世界と隔離され『守られ』た別世界。
2011-09-09 10:39:11なぜにこれほどまでに立派なバスを使うのかと言えば、もちろん子どもたちの安全のため。その分、コストも並みではない。年間私立中学校の通学バス代はロンドンの学校だと1000−1800ポンドくらい。それにしても排ガスの量が気になる。ルートによっては大型コーチに10人も乗っていなかったり、
2011-09-09 10:43:35とは言え、市バスはボロいものだとどう見ても悪質の排ガスを大量にまき散らしてもいるのでどっちもどっち、ではある。
2011-09-09 10:46:13さて、学校に着いた彼ら中学生を待っているのはもちろんお勉強。これがまた、私立と公立では進みかたがまるでちがう。内容もそうだが、時間割の無駄加減のちがいは決定的に大きい。学業成績の善し悪しにかかわらず私立校には無駄というものがない。公立校は休み時間がどこも多いが、私立にはそもそも、
2011-09-09 10:52:31休けい時間というものが『絶無』であったり、休けい時間が休み時間を事実上意味していないというのが
2011-09-09 10:53:58ふつう。私立小学校から公立中学校に進学した子どもたちを待っている地獄の1つは『退屈』。時間の流れが『遅すぎ』て、ついていけない。
2011-09-09 10:56:07公立小学校から私立中学校に進学した子どもたちを待っているのは息つく暇もないという忙しさ。私立中学校の時間割を見て一瞬目を疑ったのが、各授業の間が0分であるところがそこそこあること。教室の移動時間すら組み入れられていないので、動きの遅い子どもたちは取り残されたりもする。
2011-09-09 10:59:39私に近い子どもたちや知り合いの子どもたちの何人かが最近、私立と公立間を移動したのであまりにオモシロい話が多い。
2011-09-09 11:05:08イギリスの公立校のゆとり教育(平等教育)が破綻していることは明らかだと思う人は多いが、それでもなおかつそれに満足している人も多い。両者を足すと150%以上になりそう。
2011-09-09 11:13:58イギリスの公立校ののんびりしすぎ教育がどの程度なのか具体例を挙げてみる。ごくごく平均的な公立小学校の新6年生(10歳)の算数レベルと言えば、タイムステーブル(九九)が10の段まで行っている子どもが半数いればまずまずの学校と見なされる。瞬時に暗算で2桁×1桁ができると異端児。
2011-09-10 09:13:41小学校6年生でアルファベットがすべて書けない子どもも公立校では少なからずいる。そんな子どもたちでも先生からはほめられ、励まされ、性格の良い子だと学校代表になったりもする。
2011-09-10 09:16:39イングランドの教育改革。さまざまな立場の人の発言を聞いて思うこと。結局、政府は金は出さないが口はどんどん出す、それをふまえて現場でなんとかしろ。子どもの学力低下も何もかも、校長やガバナーの経営手腕に問題があるように見せてくるのが今の政権らしさ。MBA取得が校長の条件のよう。
2012-03-25 02:58:53実際、MBAを取得している中高の校長が多い。ブリティッシュカウンシルのhttp://t.co/RK8C5WiWからたどっていくと判りやすいが、学部や大学院レベルでイギリスの教育機関が東アジア諸国から『活動資金を搾り上げている』構図は中等教育にも、
2012-03-25 03:34:22拡がりつつある。イギリス国内の優秀な子どもを集めるための資金作りに例えばヴェトナムなどにフィーダースクールをつくるなどの動き。
2012-03-25 03:36:21それら東アジアなどの国から助成金を受ける形で『学校ブランド』と教育を『売る』。当然それができるのはブランドと初期投資金をもつ一部の私立校に限られてくる。そんな流れのなかで公立校の教育改革を語ること自体が完全にミスマッチしているように見えるが、今の政府の発想はそんな感じに見える。
2012-03-25 03:48:42そんな枠組みを前提にすれば、ボリス・ジョンソン市長が『低レベルの学校が昨年のロンドン暴動に関係している』とのニュアンスで教育改革について発言すると、公立校の校長たちから大反発を買うという構図。
2012-03-25 03:57:49話を思いっきり端折れば、(公立)グラマースクール制度の歴史的縮小の結果『まともに』(=それなりの予算や設備、スタッフをもって)教育できる公立校は現在ごく一部に過ぎない。
2012-03-25 04:05:50