閉じた身内組織としてのKKK(クー・クラックス・クラン)

KKKの意外な顔。
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桜乱舞流-Scramble- @_scramble

このブログ面白い!→「レイシストをしばき隊」(しばき隊)って、あのレイシスト集団のKKKとどこが違うのかねえ?? http://t.co/wkk7bBb7xa @shiro123456さんから

2013-06-14 16:34:15
OGAWA Kandai @grossherzigkeit

いや、しばき隊だろうが在特会だろうが、KKKとは全然違うだろ。どうも日本じゃ、このKKKという存在が非常に誤解されているので、自分の思考整理のためにもしばしつづる。

2013-06-14 22:16:12
OGAWA Kandai @grossherzigkeit

そもそもKKKというのは何を目標とする組織なのかというと、それは「白人優位思想を世界に広めること」でも「黒人を抹殺すること」でもなく、ただ単に「南北戦争以前のアメリカ南部地域の伝統的価値観を守る」ことなのである。実は非常に「守り」の組織で、「攻撃的組織」ではないんだな。

2013-06-14 22:18:42
OGAWA Kandai @grossherzigkeit

もちろん「「南北戦争以前のアメリカ南部地域の伝統的価値観」とは黒人奴隷制擁護であり、白人優位思想だが、南北戦争を引き起こすアメリカ南部連合の首脳たちにしたって、それを「アメリカ南部地域」を越えて、世界中に広めようなどという考えを持ってる人は実は少数派だった。

2013-06-14 22:21:20
OGAWA Kandai @grossherzigkeit

そもアメリカ南部の黒人奴隷制とは、綿花プランテーション一本槍という、かなり極端なモノカルチャー経済が南部に成立していく過程で、その経済体制を支えるためにできたもので、そりゃ人種差別思想はあったが、「黒人をいじめるため」にできたものではない。

2013-06-14 22:24:04
OGAWA Kandai @grossherzigkeit

そういう1865年以前までにあった、アメリカ南部の極端な綿花依存型経済は、多くの研究者が指摘しているように、おそらく「純経済的に」そんなに長くはもたない体制だったが、幸か不幸か南部のその経済は、経済的破綻ではなく「北部の侵攻」によって崩壊した。ここからさまざまな悲劇が始まる。

2013-06-14 22:28:29
OGAWA Kandai @grossherzigkeit

実は「純経済的な破綻」の足音がひたひたと近づいていたとはいえ、1865年までのアメリカ南部とは、多くの中流層以上の白人にとっては、豊かで安定した桃源郷だった。それが北部の、南部の実情など何も知らない「過激奴隷解放論者」によって、砲撃と銃剣でぶち壊されてしまう。

2013-06-14 22:31:50
OGAWA Kandai @grossherzigkeit

映画『リンカーン』にある通り、南北戦争とは合衆国憲法にて奴隷制を禁じて、つまり南部奴隷所有者たちの経済基盤を叩き壊して終わる。繰り返すが、戦争や政治で決着させなくても、実は南部の綿花経済は純経済的に崩壊が近づいてた。しかしそれか戦争で決着したため、南部はすごい被害妄想に陥る。

2013-06-14 22:36:32
OGAWA Kandai @grossherzigkeit

南部人は南北戦争終結後、せめて経済面でない精神面のことについては「北部の侵攻」から身を守ろうとした。そこから「白人優位社会だけは守ろう」という倒錯した人種差別思想に南部は走る。南北戦争前には見られなかったほどに、その差別思想は急進化していく。そこで生まれたものこそがKKKである。

2013-06-14 22:40:14
OGAWA Kandai @grossherzigkeit

参考までにKKK綱領。「正義、人道、憲法上の自由は、祖先より清らかに遺された形でわれらの側にある。われらは急進派を否定し、反対する。われらは病気、不幸、経済的困難を助け合う。女性や寡婦の家族は常に保護する。これらの義務を漏らしたり怠ったりした者には死を!」。黒人も奴隷も言及ナシ。

2013-06-14 22:43:18
OGAWA Kandai @grossherzigkeit

南部の伝統的価値観としてもう1つ挙げておかねばならぬのが州権主義。つまり連邦政府の権限はぎりぎり最小限までしか認めず、州のこと、市のこと、群のことなどは徹底して自治でやり、干渉・被干渉とも許さないという考え方。これが強すぎて、南軍は中央軍司令部や方面軍間連絡網さえつくれなかった。

2013-06-14 22:47:37
OGAWA Kandai @grossherzigkeit

話を南北戦争後に。南部の奴隷制や、それを支えた綿花経済は北の軍事力でつぶされた。もうそれは仕方ない。しかし、さらに南部人が許せなかったのは、北から「自由主義を広めるため」にやってくる白人と「それに影響されて付け上がる黒人」だった。被害妄想中の南部白人にとりそれは最後の一線だった。

2013-06-14 22:52:05
OGAWA Kandai @grossherzigkeit

被害妄想の南部白人は、「南部の最後の聖域」を守るためにKKKになった。自由主義の北部白人を追い出し、自由にかぶれた黒人を吊るした。そしてもう一度確認。白人優位思想のため? 黒人抹殺のため? いいえ。それは「自分たちの家族や友人、せいぜいが住んでる村程度の共同体を守るため」に。

2013-06-14 22:54:45
OGAWA Kandai @grossherzigkeit

だから一般に「クー・クラックス・クラン」などと呼ばれて、何か統一組織があったような気になるけど、命令系統も全国組織も何もなく、有名なフォレスト将軍も独裁的命令権者では決してない。KKKとは組織名というより「そういう名前の、当時流行した精神運動」とでも言った方がより正確。

2013-06-14 22:59:01
OGAWA Kandai @grossherzigkeit

つまり南部のそれぞれの町にいるKKKというのは、特に横のつながりがあるわけでもない独立組織で、せいぜいが自分たちの目の届く範囲内から「生意気な連中」が消えればそれでいいという人たちなわけ。北部への侵攻など夢想だにしてないし、隣町の類似団体との連携だって、どうかすると怪しい。

2013-06-14 23:01:28
OGAWA Kandai @grossherzigkeit

この辺がネオナチなんかと決定的に違うところで、つまりKKKとは「基盤になる地域コミュニティー」があってナンボの存在で、良くも悪くも何かのイデオロギーに支えられ照る存在ではない。

2013-06-14 23:04:00
OGAWA Kandai @grossherzigkeit

だから仮に、ドイツでもロシアでもいいけど、外国の白人優位主義の青年がKKKに憧れて渡米して、どこかのKKKに「入れてくれ」と言っても、多分断られる。別にKKKってのは、自分たちのものの考え方を広めるためにやってるわけではなくて、ましてや「組織的拡大」なんて目指してないんだから。

2013-06-14 23:05:38
OGAWA Kandai @grossherzigkeit

そして南北戦争終結後、リンカーンを失った北部は、真剣に南部の再建に付き合う気を喪失してしまって、よく知られているようにFDRくらいの時代、下手すりゃ1970年代くらいまで、南部とは北部(米国中枢)から打ち捨てられた存在になる。

2013-06-14 23:08:36
OGAWA Kandai @grossherzigkeit

それをいいことにKKK的なものの考え方は、南北戦争終結後も南部を支配し、激しい人種差別、そして実質的な奴隷制度はキング牧師の登場まで、いや、下手をすれば今現在だって続いている。

2013-06-14 23:09:46
OGAWA Kandai @grossherzigkeit

整理としての繰り返しだがKKKとは「地域秩序の保持」が第一の存在で、そして何か運動の展開を模索している団体でもなく非常に守りの姿勢の強い組織なんである。変な話、黒人をいじめなくてもantebellum(南北戦争前の社会)を取り戻す道があるなら、彼らは人種差別を一瞬でやめるだろう。

2013-06-14 23:15:08
OGAWA Kandai @grossherzigkeit

WW2前夜、ナチ党が世界の白人優位主義者の動向を調べるためアメリカに人をやってKKKも調査してるんだが「田舎で騒いでるだけの不良青年団みたいな連中で思想性もなく、連携は難しい」みたいな報告が出てる。どう捉えるかは人それぞれだが、彼らはよくも悪くも「レイシスト」ではないんだな。

2013-06-14 23:19:30