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鷲谷花(HWAshitani)さんが読み解く「グランド・マスター」まとめ

日本映画史研究をしておられる鷲谷花(HWAshitani)さんが、2013年5月31日に公開された映画「グランド・マスター/一代宗師」について読み解いておられる、そのツイートの視点、観点、評価が興味深かったのでまとめさせていただきました。この映画の鑑賞の参考になれば幸いです。
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鷲谷花 @HWAshitani

『一代宗師/グランド・マスター』が、今映画館のでかいスクリーンにかかっているんだなあ、と指くわえている状態が耐え難くなったので、無理やりねじ込んで鑑賞。すげーすげーすげー張叔平すげー、と、画面に映る木材と織物と毛皮の千紫萬紅の肌理にぽかんと見とれてたら、映画終わっちゃった。あら

2013-06-12 22:26:52
鷲谷花 @HWAshitani

ともかく王家衛ー張叔平の、基本的にデコルテ~せいぜい腰までしか人物を映さない閉じぎみフレームのショットを多用して、状況説明ショットは切り詰める、つまり衣装と美術だけを見せるためのショットを使わずに、しかし贅を尽くした衣装と美術をつぶさに見せる技は、大変なことになってないかしら

2013-06-12 22:41:43
鷲谷花 @HWAshitani

『一代宗師』でトニー梁朝偉氏のかぶっているパナマ帽の網目からして、ちょっと他で見たことのない鮮やかな見た目だったのだが、「今こそ天下に示そう! 見よ! これこそ35ミリアナログフィルムのポテンシャルだ!」という幻聴(広東語)がたまに聴こえてきたような

2013-06-12 22:52:06
鷲谷花 @HWAshitani

しかし、功夫・武術映画の、「屋台崩しのためのセット、吹っ飛んでぶつかって壊しても平気な粗製の椅子とテーブル、及び飴でできた窓」が基本のセット・小道具と、『一代宗師』の、木材だけで何種類使っているんだろう、という丹精込めたセットは方向性違いすぎ、やぱしこれ「功夫映画」とは別物かな

2013-06-12 23:04:06
鷲谷花 @HWAshitani

『一代宗師』で、狭いフレームに人がひしめくと、年齢に応じて、あるいは額や顎などの部位によって異なる皮膚の感触、緞子やラシャの衣服の肌理が何とも生々しくせめぎあうのだが、画面がストップモーションになって記念写真に変わると、肌理のざわめきも消えてフラットになる。そこに胸を衝かれる

2013-06-12 23:13:46
鷲谷花 @HWAshitani

まあ、『一代宗師』のよさの大半は、「武術アクション映画」というジャンルから外れたところにありそうだけど、アクション場面でも、「表面と表面の触れ合う」描写には魅力があった。磨き込まれた床の上を滑る緞子の靴、 絹の綿入れの表面を切り裂く刃、闘う男女のすれすれに近づく顔

2013-06-12 23:26:22
鷲谷花 @HWAshitani

王家衛監督は、アクションも史実に即した時代ものも得意ではなさげだけれども、『一代宗師』は苦手分野は苦手なりにがんばり、得意分野は盤石の構え、と、好感のもてる出来上がりと思うけど。「得意分野」が、スタアさんは魅力的に見せ、職人には思う存分腕を振るわせる、と、利他的なのがイイ

2013-06-13 00:39:23
鷲谷花 @HWAshitani

ドニー葉問は所帯じみたところが魅力的で、トニー葉問には、所帯を持っていても不思議はないけれども、所帯から遠く離れたところにも秘密を持たずにおれないタチの悪さが魅力的、と、完全に別個性。あたくしドニーさんのファンですが、梁朝偉氏が世界一の色男であることも認めるにやぶさかではない

2013-06-13 00:54:32
鷲谷花 @HWAshitani

で、首から下を動かすのが大得意という印象はない梁朝偉氏だが、『一代宗師』では、思わせぶりなことを囁きながら、濡れたような瞳でじっと見つめ、口角ちょっと上げて、情が深いのか浅いのか見極めがたい微笑みらしき表情をつくる必殺技が、武術とは関係ないとこで炸裂していた。スーパートニータイム

2013-06-13 01:05:26
鷲谷花 @HWAshitani

首から下は誰よりも華麗に動くけれど、首から上は、稀少なキスシーンが毎度ものすごいタコチューだった90年代からの進歩は飛躍的とはいえ、時にぎこちなさを感じさせなくもないドニーさんと、首から下はともかく、首から上ならある意味世界最強の達人といえるトニーさん、違いすぎていっそ愉快

2013-06-13 01:18:14
鷲谷花 @HWAshitani

というわけで、活劇として、歴史劇としてどうなのかはともかくとして、大変楽しかった『一代宗師/グランド・マスター』。香港系の映画はなぜかくも楽しいか。「それは職人仕事への敬意と信頼を思い出させてくれるからだよ」と、デイヴィッド・ボードウェル先生が言うてらしたような覚えが

2013-06-13 01:24:11
鷲谷花 @HWAshitani

『2046』見て、あら章子怡さん王家衛監督と相性いいのかしら、と思ったら、『一代宗師』でもやっぱり良かった。表情の乏しい蒼白な顔に血走った目、内側の紅が落ちかかったくちびる。毛皮や凝ったデザインの衿もお似合い。欲を言うと溶けた雪の水滴で黒い毛皮がキラキラしてるショットがあれば

2013-06-13 09:41:05
yuzukiri☂🐒 @yuzukiri

ですね!雨のしずくはいっぱいあったのに。 RT @HWAshitani: 『2046』見て、あら章子怡さん王家衛監督と相性いいのかしら、と思ったら、『一代宗師』でもやっぱり良かった。//欲を言うと溶けた雪の水滴で黒い毛皮がキラキラしてるショットがあれば

2013-06-13 10:20:47
hkcl(茶通)🇭🇰 @hk_cl

@yuzukiri @HWAshitani 香港人監督、雨の表情はよく分かっていても、雪には詳しくないかもと思ったり・・・・

2013-06-13 10:34:16
鷲谷花 @HWAshitani

@hk_cl @yuzukiri 確かに、雪の扱いに慣れていない、ということはありそうですね。さらに贅沢を言うと、雨中の決闘場面で、張震のヘリンボーンジャケットに水滴が足りない感もありましたので、そのあたり、デジタル・イメージを合わせた作り込みがやり切れていない点かもしれません

2013-06-13 12:58:12
鷲谷花 @HWAshitani

『一代宗師』の、「エロチシズムに濡れ場なぞいらん、さらに言うなら首から下も別にいらん」と言いたげな作りは、『色・戒』に張り合ったかな、と、ちょっと思わないでもない。お話のうえではすれ違いっぱなしでも、疑いようのない「相手役」が存在している、というのはいいもんだなあ

2013-06-13 09:53:47
鷲谷花 @HWAshitani

トニー梁朝偉氏は近年ますます歌麿の春画の色男みたいな顔になってきて、若々しい額に年齢相応に少したるんだ頬、うるんでいるようで底は冷めているような瞳、罪作りなほほえみに、『一代宗師』だと、罪作りな手紙の墨を吸う紙の質感、罪作りなボタンのにぶい輝きなどが相俟って、戦慄の破壊力

2013-06-13 10:28:03
鷲谷花 @HWAshitani

というわけで、『歌麿をめぐる五人の女』を、清末民初の中国に舞台を移して、梁朝偉主演でリメイクするというのはどうか・・・、五人の美女にも事欠くまい、と、妄想にふける『一代宗師』一夜明け。もっかい見ようかな

2013-06-13 10:35:09
鷲谷花 @HWAshitani

でも、『一代宗師』の張震が香港で着ていたツイードのヘリンボーン・ジャケット自体はたいそうステキだったと思うのん。香港でも厚手の服ばかり着ているところに、北から来た男・夏物持ってきてません、という実感があるのだが、白バラ理髪店の上っ張りもぼてっと厚みのある感じに見えた

2013-06-13 13:07:20
鷲谷花 @HWAshitani

「張叔平ぬりえ」とか「張叔平きせかえ」とかがあったら狂喜乱舞して買い漁るのだが

2013-06-13 14:33:28
💜ᴮᴱㄷЛㄹЛ⁷💜முள்ளெலி🦜🎗️Ладан🐦💜🐨 @Boswelliasacra

@HWAshitani 北京語と広東語でふつうに会話が成り立っているのが興味深かったです。紅楼夢はなぜ字幕で愛の夢と訳されていたのか、気になっています(ブログにも書いてしまい…)。1930年代の中国、ホ・ジノ監督版『危険な関係』(チャン・ツィイー)も日本で公開されると良いです…

2013-06-13 13:34:41
鷲谷花 @HWAshitani

@confuocoDalnara 吹き替えにするくらいなら、誰が相手でも広東語が通じることにして押し通す、というのは、トニーさんに関してはたいへん正しい選択肢だろうと思います。『海上花』を一緒に見た台湾の友人が「梁朝偉の広東語のささやき・・・」とめろめろだったのを思い出します

2013-06-13 14:54:32

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