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【twitter小説】火焔気球の街#4

ついに明かされる火焔気球の街の秘密! 火焔気球の物語はこれでおしまいです。フィルとレッドの観光旅行はまたいつか。@decay_world はtwitter小説アカウントです
文学 書籍 減衰世界 Twitter小説
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減衰世界 @decay_world 2013-06-14 17:24:57
 レベルンはゆっくりと膝をついた。足元に血の雫が垂れる。ルシリミアは呪縛から解放され、部屋の入口を振りかえった。そこには、ガスマスクに水色のゴーグル、燃えるような髪をした……グランガダル・ギルドのギルドリーダーがいた。手に煙ののぼる拳銃を持っている。 87
減衰世界 @decay_world 2013-06-14 17:35:50
「ゴラスか……グランガダルめ、邪魔をしおって」  レベルンは苦しそうに呻く。ギルドリーダーのゴラスはもう一発の弾丸をレベルンの膝に撃ち込む。 「ぐぁっ」 88
減衰世界 @decay_world 2013-06-14 17:41:04
「レベルン・ゲルサ。貴様は我がギルドによって指名手配されている。生死を問わず、だ。遺跡遊びはもう終わりだ」 「ゴラスさん、この施設は……その……」  ルシリミアは何か言おうとしたが、ゴラスはそれを遮った。 89
減衰世界 @decay_world 2013-06-14 17:48:05
「火の巫女さん、大丈夫だ。我々はこの兵器の存在を知っている。大量のガスは施設の維持による副産物、天蓋の魔法の布は神々から施設を隠すため……それをごまかすために火焔気球などという伝承が生まれたのだろう。あなたの先祖が生み出した嘘だ」 90
減衰世界 @decay_world 2013-06-14 17:56:35
 ゴラスは拳銃に弾丸を装填しながら続ける。 「この男、レベルンはその秘密を我がギルドから盗みだし、雲隠れしていたのだ。まさかここまで辿りついていたとはな」  そして銃を構える。狙いは……頭だ! 91
減衰世界 @decay_world 2013-06-14 18:01:09
「この力は……俺のものだ!」  突如レベルンの身体から火が噴き出す! ゴラスは銃を撃つが、炎を貫通するだけで効いてはいないようだった。炎の塊となったレベルンはゆっくりと壁へ近づく。そのとき壁面が波打ち、腕が飛び出したのだ。 92
減衰世界 @decay_world 2013-06-14 18:05:22
 ルシリミアは信じられない光景を見た。誰かが壁面から出てくる。スーツ姿の青年が……。 「おお、ここが中枢かー」  出てきた青年は……フィルだった。 93
減衰世界 @decay_world 2013-06-14 18:13:23
「キサマ……なぜここにいる」 「え、観光に来たんだけど……」  呻くようなレベルンの問いをフィルはかわし答える。信じられない、あの部屋に閉じ込めていたはずなのに……ルシリミアはわけがわからなくなった。 94
減衰世界 @decay_world 2013-06-14 18:23:30
 しかし、彼が中枢の中にいたからこそ先程レベルンが入ることは出来なかったのだろう。それを裏付けるように、フィルは語りだした。 「中枢の破壊処理は済んだよ。もうすぐここは崩壊する」 95
減衰世界 @decay_world 2013-06-14 18:27:40
「ふざけるな! 何故お前のようなでたらめな男に全て無駄にされなければいけないのだ……どけ!」  炎の塊となったレベルンはそのまま壁面にぶつかり中に入ってしまった。 「危ないよ。その中はもうすぐ施設の炉心になる……目覚めるためのね」 96
減衰世界 @decay_world 2013-06-14 18:30:30
「上等だ! みんな吹っ飛ばしてやる……くく、くくく」  壁が振動しレベルンの声が木霊する。 「まずい、あいつ最後の一発を発射するつもりか……止めなくちゃ」 「でも、崩壊するんですよ!?」 97
減衰世界 @decay_world 2013-06-14 18:32:17
 火の巫女は心配そうにフィルを見る。だがフィルはそれに笑顔で応えた。 「火焔気球、見てみたくないか?」 「えっ?」  ルシリミアは突然の問いに戸惑うばかりだ。 98
減衰世界 @decay_world 2013-06-14 18:34:31
「火の巫女さん、はやく逃げるんだ!」  ゴラスが叫んだ。はっと我に返り、急いで彼女は制御室を後にする。一度だけ後ろを振り返った。フィルは……笑顔で手を振り、壁に向かって歩き出したのだった。 99
減衰世界 @decay_world 2013-06-14 18:37:22
 ルシリミアとゴラスは地上へと一直線に走った。途中閉じ込められたレッドのことを思い出したが……入口から遠かったので心の中で詫びた。施設の唸るような音は次第に大きく叫ぶように荒れ狂い、温度は汗がにじむほど高まってくる。 100
減衰世界 @decay_world 2013-06-14 18:39:56
 やっと入り口が見えた。入口は炎の赤で彩られ、地獄の口にも見える。外へ飛び出すと、丘の宮殿が赤々と燃えている!  「施設が暴走しているの……? このままじゃ……」  そのとき、声が聞こえた。 101
減衰世界 @decay_world 2013-06-14 18:43:47
「ひゃっほー! 聞こえてるのかな。マイクテストマイクテスト」  レッドの声だ! 振動が凄まじく地震のように地面が揺らいでいる。ルシミリアは気づいた。宮殿の塔の一つ。屋上で手を振るひとの姿を。 「施設のアナウンス・システムを使って話しています。ここは本当に眺めがいい」 102
減衰世界 @decay_world 2013-06-14 18:48:35
 レベルンはエネルギーの奔流の中を泳いでいた。ここは兵器の中枢だ。自壊させるシステムだと? あの男は勘違いしている。この回路はエネルギーを放出させる回路だ。もうすぐ自分の存在は放たれる一撃と同化し分解され消えてしまうだろう。 104
減衰世界 @decay_world 2013-06-14 18:51:59
 この兵器の存在を提唱したとき、誰も彼の言うことに耳を傾けず、馬鹿にするだけだった。あれは神話の中の話だと。そんなものが存在するわけ無いと。当時レベルンは無名の考古学者だった。誰も賛同者はおらず、逃げるように彼は帝都を後にした。 105
減衰世界 @decay_world 2013-06-14 18:54:55
 あいつらに目に物を見せてやりたい。あいつらが馬鹿にした兵器で、あいつらの街を炎に包んでやるのだ。ハハ、気分がいい。もうすぐ俺は自分の信じたものと一つになって死ぬのだ。そう考えるとレベルンはこのエネルギーの奔流が朝日の光に見えた。 106
減衰世界 @decay_world 2013-06-14 18:56:49
 レベルンは最後の調整を終えた。もうすぐ全てが終わる。すべて計画通りだ。光がすべてを塗りつぶしていく。チカチカと無数の流星が降り注ぐようなエネルギーを感じる。渦を巻いて、光が、光が――。 107
減衰世界 @decay_world 2013-06-14 18:59:44
 そしてレベルンは消滅した。 108
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