山下 歩さんの『2013年6月20日院内集会：激化するヘイトスピーチをどう止めるか』におけるヘイトスピーチの被害者たちの訴えと、その感想まとめ

山下 歩 @neko_yamashita

①昨日参加した院内集会「激化するヘイトスピーチをどう止めるか～攻撃を向けられた被害者たちの声を聞く」。 主催は人種差別撤廃ＮＧＯネットワーク、事務局は反差別国際運動　日本委員会⇒http://t.co/z100OEh4Po 主なプログラムはヘイトスピーチ被害者からの発言でした。

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②まず「連続大量差別葉書事件被害者」である、被差別部落出身男性（48歳）のお話から始まりました。 被害は2003年6月から約1年半にも渡って続いたそうです。2003年6月、男性宛てに注文していない高額の書籍が代引きで送りつけられたのが始まりでした。この注文は葉書でされていました。

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③この葉書の筆跡が、当時問題になっていた「連続大量差別葉書事件」の犯人の筆跡と同一でした。 これ以降、この男性宛に名指しで「部落、エタ、非人、虫けら、出ていけ、部落民は人間じゃないから殺しても罪にはならないんだよ」といった葉書や手紙が毎日のように送りつけらるようになりました。

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④男性個人だけでなく、男性の近所の家々にまで、男性を名指しして 「牛殺し豚殺しをしている部落民ですから、人殺しも平気です。気をつけて下さい」 「町から追い出さないと、この町全体が部落だと思われてしまいますよ」 という内容の葉書を送りつけられました。

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⑤前述の「牛殺し豚殺しをしている部落民」について、よくわからない方へ。「いのちの食べかた」（森達也）http://t.co/otxzlqN01Kの72頁から、食肉と被差別部落との関わりについて解説されています。子供向けに書かれていますので親子で読んでもいいのではないかと思います。

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⑥このような葉書を受け取った近所の人の中には、男性の住むアパートの大家さんに言外に「（男性に）退去してもらった方がいいのでは…」と言ってきた人もいたそうです。 1年半にわたるこの被害を、「生き地獄」だったと男性は語りました。「これまでの人生で、この1年半ほど苦しい日々はなかった」

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⑦この「連続大量差別葉書事件」の総被害件数は約400件、そのうちこの男性が受けた被害は99件でした。 ところが告訴に踏み切ったものの、その99件のうち立件出来たのは僅か3件でした。 しかも担当検事には、その3件ですら「負けるかも知れない」と言われたのだそうです。

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⑧被告はこんなふうに抗弁したそうです。 「日本には言論の自由がある。好きも嫌いも自分の自由だ」 「差別する自由がある」 「日本国憲法が保障している、私の人権だ」 この事件は10年前に起こった事件です。でも、この主張、まんまネトウヨではないでしょうか？ 現行法でどう対処出来るのか。

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⑨被告の動機は「大卒なのに就職出来ず派遣労働者になった。それが強いストレスになっていた。たまたま図書館で手に取ったのが同和の本で、同和はヤクザが多い・税金払わない・生活保護を不正受給している…などと書かれていた」 このような「同和特権」が許せないから。 どこかで聞いた台詞ですね。

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⑩被告は懲役2年の実刑判決を受けましたが、それで解決ではありません。 被害に遭った男性は院内集会で訴えました。 「世界に向けて『日本は不当だ』と訴えたい。被告には全く罪の意識がなかった。無知だからです。東京は部落差別に無関心な人が多いが、東京にも被差別部落はあり、差別も現存する」

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⑪配られたレジュメには、この男性が高校卒業後に東京へ来た頃、下宿の仲間達と楽しく雑談するうち、恋愛話や理想の女性像の話題になった時の衝撃を受けたというエピソードが書かれています。 男性の先輩の友人がこう言ったのだそうです。 「結婚となると条件があるね」 「部落と朝鮮人は駄目だな」

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⑫被害を振り返るというのは辛い事です。それがヘイトスピーチという、被害者には全く責任も落ち度もないこと、そして抗弁出来ない出自をもって攻撃するというヘイトスピーチの被害ならば尚更です。この男性の声を聴かせていただき、現行法の限界と、差別を温存したいお偉い方達の卑劣さを思いました。

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⑬差別を温存したいからこそ、歴史教科書に「なぜ日本に在日コリアンが存在するのか」「士農工商の更に下に作られた身分」について、きちんと記述したり理解を深める内容になっていないとしか思えません。ちなみに私は東京生まれ東京育ちで同和教育は受けていません。ただ教えてくれる大人はいました。

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⑭被害者の声、続いては朝鮮学校の保護者の方。朝鮮学校のスクールバスに「チョーセンガッコー！」「チョーセンジン！」と指差され罵声を浴びた経験などを語って下さった後、小泉訪朝で拉致を「北朝鮮」が認めて以降一層強まった朝鮮学校バッシングについて、時には声を詰まらせて話して下さいました。

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⑮朝鮮学校の生徒達が街頭に立ち「無償化除外反対」のビラ撒きや署名活動をした時、年配の人ほど露骨に「要らない！」と拒否する。 また若い男性が生徒の話を静かに聞いてくれたので、最後に署名をお願いしたところ、署名用紙に「朝鮮人死ね」と書いて走り去った。 生徒達は、悪意に晒されています。

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⑯朝鮮学校叩きが高まり、ついには在特会によって京都の朝鮮初級学校（日本でいえば小学校で、幼い子供達が通ってます）が襲撃されるという事件にまで発展しましたが、子供達はその後おねしょをしたり泣いたり不安定な状態に陥ったそうです。 無理もありません。彼らの乱暴狼藉は大人でさえ恐ろしい。

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⑰子供達は、廃品回収の車にさえ脅えるそうです。あのスピーカーを通した音声が、在特会を思い出せてしまう。「ザイトク来た！怖い！」と泣きじゃくるのだそうです。 保護者の方は仰いました。 ネットで見ただけの情報を安易に信じないでほしい、と。 人間を見てほしい、会ってほしい。

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⑱しかし、現実には報道の記者さんですら、朝鮮学校の問題を知らない、理解していない。見学にも来ない。 こちらは名前を告げ、お話をして、朝鮮学校に見学に来て下さいと呼びかけているにも関わらず。 京都の襲撃事件の現場には警官もいるのに見分けがつかない、警官が在特会を全く制止しないから。

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⑲そして、教員を務める在日コリアンの方のお話で印象的だったのは、 「在日にとって日本は生まれ育ったところ。そして在日には帰れる故郷はない」 だけど「日本にいるより海外にいる時の方が落ち着くことがある」。 「韓国人なんか勉強しても無駄、どうせ就職出来ないと言われてきた」。

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⑳そして就職先でも受け続けた差別、在日コリアンの自殺率の高さなどに触れ、「ヘイトスピーチ法は最低限必要」。 「在日が特権者に見えるほど追いつめられた人達がいる。本当の敵が他にいる。本来ならその人達と共闘したい。だが、その前に権力構造に気づいて過ちを改めてくれなければ共闘出来ない」

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㉑「ナチスが台頭した時と一緒。こういうことはあっという間に大きくなる。いじめ問題では学校や教師が非難されるのに、ヘイトスピーチを社会が容認しているのはなぜですか？」 「しばき隊がいるからいいじゃないかと言う人がいるが、彼らにも限界がある。このままではエスカレートする一方です」

山下 歩 @neko_yamashita

㉒「法律を作る。しかし法律を作ってもざる法になることがある。そうさせないため、差別の問題を社会が認識し合意することです」 「人を傷つける自由・権利なんてありません」 「弱者に苦痛を転化しないでほしい」

山下 歩 @neko_yamashita

㉓新大久保コリアセンターさんからの現況報告もありました。 「2月9日・10日のデモがひとつの転機だった」。 （※2月9日は「桜田修成祭り」で、醜悪さが特に際立ったデモでした。ちなみに第二次安倍内閣が成立したのが前年12月26日。） http://t.co/umn2Qawzi9

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㉔「あのデモで、店を売却して撤退した人もいます。またツイッターで、あのデモに困っているということを呟いたら個人攻撃を受け、ツイッターもフェイスブックもやめた人もいます」 「新宿警察にも相談したが、話を聞くだけで反応なしで終わってしまい、失望しました」

山下 歩 @neko_yamashita

㉕「韓国人学校の生徒がバスの中で喋っていると、『韓国語を使うな！』と怒鳴られるということも起きました」 「誰に、何を、訴えればいいのか、わからない」 「国も、行政も、警察も、何もしてくれないから」