【原発の倫理性・続4】

宗教学者 島薗進氏の連続ツイートをまとめました。 雑誌『エコノミスト』掲載の物理学者 池内了氏の文章を紹介しています。
14
島薗進 @Shimazono

1【原発の倫理性・続4】 『エコノミスト』7/2号「原発の反倫理、不経済、非安全」 http://t.co/1H2eWlcYka 池内了氏「地域と未来に困難と損害を押し付ける原発の反倫理性」は的確(大島賢一氏が「不経済」、滝谷紘一氏が「非安全」の論、いずれも有益)

2013-06-28 17:50:36
島薗進 @Shimazono

2【原発の倫理性・続4】池内了氏「おそらく日本の経済のために原発は不可欠と考えている人でも、内心じくじたる思いがあり、後ろめたい気分から逃れられない」はず。「自分たちの都合のために、原発が必然的に秘めている固有の反倫理性に目をつむってきたことを、薄々感じているからだ」

2013-06-28 17:50:48
島薗進 @Shimazono

3【原発の倫理性・続4】「その原発の反倫理性とは次の3点に要約できる」「1つは、見るべき産業がなく、人口減少に悩む過疎地」への原発の押しつけ。「現地は歓迎してきたではないか」と言うが「原発しか選択の余地がないような状態に追い詰められてきたため」。3.11以後、これは明白。

2013-06-28 17:51:08
島薗進 @Shimazono

4【原発の倫理性・続4】「2つ目は…関与する労働者に放射線被曝を押し付けていることだ。労働過程そのものが危険性を帯びているのは明白だ。結局、この汚れ仕事を一部の労働者にしわ寄せさせて、そ知らぬふりをしてきたのである」。原子力利用は労働者に放射性被曝を強いるものということ。

2013-06-28 17:51:24
島薗進 @Shimazono

5【原発の倫理性・続4】「3つ目は、原発から輩出される放射性廃棄物は1万年以上、厳重に保管しなければならず、それを私たちの子孫に押し付けようとしていることだ。しかも、いまだに最終保管場を決めることもできず、その方式も未決定のままである。現世の私たちは豊かな生活を楽しむ」

2013-06-28 17:52:09
島薗進 @Shimazono

6【原発の倫理性・続4】「一方で、それによって生じた負の遺産は、全て子孫へ先送りにしているのだ」。「以上の3点は、過酷事故を起こさない段階で既に存在している反倫理性なのだが、福島やチェルノブイリのような原発事故が起こると、より具体的な反倫理性が現れてくる。未来の数十年に」

2013-06-28 17:52:46
島薗進 @Shimazono

7【原発の倫理性・続4】「わたって、多数の人々に放射線被曝によるがん発症の恐怖を味わわせ、放射能で汚染された土地から離れざるを得ず、今後の人生設計が難しくなるという傷を人々に押し付けることになるからだ。」「いずれも、原発に付随する困難を人々に「押し付ける」形になっており」

2013-06-28 17:53:08
島薗進 @Shimazono

8【原発の倫理性・続4】「「押し付け」なければ原発は存在できないが故に、原発の宿痾としての反倫理性と呼ぶのである。福島の原発事故によって、誰の目にもそれが明白に示されてしまった。多くの人々は、自分たちの選択を反省して脱原発の声を上げている」以下、脱原発のコスト論が続くが略。

2013-06-28 17:53:25
島薗進 @Shimazono

9【原発の倫理性・続4】なお、物理学者の池内氏(総合研究大学院大学理事)は『科学の限界』で原発の問題を現代科学の問題としても論じていて教えられるところが多い。以下に私の紹介記事がある。 http://t.co/63cLL4mwou 

2013-06-28 17:56:24

倫理良書レビュー 2012年11月 島薗教授おすすめの図書
池内 了 著
 『科学の限界』 ちくま新書 2012年刊

島薗進 @Shimazono

10【原発の倫理性・続4】『エコノミスト』7/2池内了氏「原発の反倫理」。「私が怒りを覚えるのは、科学者や技術者あるいは科学を論じる人間が、科学的見地からの反倫理性を深刻に受け取るのではなく、経済性やエネルギー確保に関わる論にすり替えて再稼働を容認してしまうことである。」

2013-06-29 08:08:56
島薗進 @Shimazono

11【原発の倫理性・続4】「それは科学を学んだ者としての堕落だ」「反倫理性の解決が不可能で、たとえ少数であっても必然的に犠牲を強いるものであるならば、私たちは安楽な方策を投げ打ってでも、そのような科学・技術と手を切らねばならないのではないだろうか」功利主義的な論への批判でもある。

2013-06-29 08:10:19