コラボ企画(郷太郎・のこの)

郷さん(@kyotaro003)とのコラボ企画リレー小説。 ルール 1.ジャンルはファンタジーでアクション系 2.1ツイート内(140字)に収めること 3.1ツイートで交代
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のこの @radicalcradle

@kyotaro003 繁華街の路地裏、窃盗を生業とするその男は、サラ金の事務所に保管されている金を盗無タメに侵入しようと作業をしていた。緊張して手が震える。あまりの手の震えによって、彼は大事な仕事道具を落としてしまった。ひと呼吸を置いて、それを拾い上げた。

2013-06-30 01:33:41
前村郷太朗 @kyotaro003

@radicalcradle 男は今一度、周囲を見回す。誰もいない。そう分かってはいるものの、確認せずにはいられなかった。気にするな、落ち着けと自分自身に何度も言い聞かせながら再び作業に戻ろうとした。道具を持ち直し、顔を上げた。その直後、男は光に喰われて消えた。

2013-06-30 01:42:51
のこの @radicalcradle

@kyotaro003 AM8:00 『本日未明 ・・・・の繁華街で、男の死体が・・・・・。原因は・・・・・・』そこで僕はテレビの電源を落とした。毎日同じような事件がどこかで起きている。人が死んだとしても、たったいくつかの文字で片付けられてしまう。こんな世界、うんざりだ。

2013-06-30 01:57:51
前村郷太朗 @kyotaro003

@radicalcradle 人間の「慣れ」というもは恐ろしい。原因不明の怪死事件が続いてるのに、どこかの誰かがいつか何とかしてくれるはず。そして、自分には関係のない事だ……と都合良く解釈出来てしまうんだ。僕も例外なく同じなのかもしれない。いつものように学校に行けますように。

2013-06-30 10:57:43
のこの @radicalcradle

@kyotaro003 僕の願いは、素直に叶えられ、僕はいつものように学校へと行けた。そして、いつものように、授業を受け、いつものように友達と笑いあった。退屈な日常だけど、どうも僕には充分なくらい幸せだ。けれど、そのささやかな幸せは放課後、唐突に終わりを迎えることになる。

2013-06-30 18:21:05
前村郷太朗 @kyotaro003

@radicalcradle 「あ、先輩!」校門を抜けようとすると、後輩が後ろから声を掛けてきた。「今からお帰りですか?良かったら……一緒に帰りませんか?」ここ最近は何かと物騒だ、女の子を一人で帰すのも危ないだろう。そうだね。と承諾した次の瞬間、門の前から目が眩むほどの光が……。

2013-06-30 20:36:54
のこの @radicalcradle

@kyotaro003 灼けるような閃光に、本能が咄嗟に目を瞑るように命令を下す。暫く、瞼の裏で白い闇が続いた。どれくらい経ったのかわからない。すぅと白い闇が終わった。恐る恐る、細く目を開けた。そこには、青い髪の少女と、赤い髪の少女が立っていた。

2013-06-30 22:28:55
前村郷太朗 @kyotaro003

@radicalcradle 「おめでとうございます」赤い少女は僕に言う。「ご愁傷様でした」と青い少女は言う。「貴方には世界を喰らわんとする『咎魔』を討つ力を与えます」再び赤い少女は僕に言う。「貴方は世界を喰らわんとする『咎魔』と対峙する運命にあります」再び赤い少女は僕に言う。

2013-06-30 22:52:34
のこの @radicalcradle

@kyotaro003 あまりにも非現実すぎるこの状況に僕は固まった。人はあまりにも非現実なものを目の前にすると、なるべくいつもと同じように振舞うようにしたがるというのを聞いたことがあった。そして、僕がまさにその通りだった。「あの、そういうの間に合ってます。結構です。」

2013-06-30 23:14:09
前村郷太朗 @kyotaro003

@radicalcradle 「「えっ!?」」二人の少女は同じような表情で驚いて見せた。その後も「聞いてた話と違う」「この人で合ってるはず」「でも、もうやっちゃったし」「この前のドイツ人みたいに怒鳴られたら怖い」などと、僕に聞こえないようにヒソヒソと話している。まるで筒抜けだ。

2013-06-30 23:20:19
のこの @radicalcradle

@kyotaro003 「あの、先輩.....?」となりに後輩がいたことをすっかり忘れていた。後輩は、僕と二人の少女とを見比べている。「いや、僕にも全くわかんないんだけど......。とりあえず、知り合いじゃないと思う。」二人は相変わらずそれぞれとみあいながら、ヒソヒソしている。

2013-06-30 23:31:59
前村郷太朗 @kyotaro003

@radicalcradle 「これってもしかして……」後輩の顔がいつになく真剣だ。まさかとは思うが、彼女は目の前にいる赤と青の少女達に心当たりがあるのか?「これは……ファンタジックな匂いがプンプンします!」僕は帰りたくなった。

2013-06-30 23:37:35
のこの @radicalcradle

@kyotaro003 そうこうしているうちに、二人の少女は相談を終えたらしく、ぱぱぱっと僕の近くに寄ってきた。上目遣いで僕を見つめる。赤い少女は言う。「あなたは選ばれた人です。」青い少女は言う。「世界を救ってください。」そして、息を合わせ言う。「「『咎魔』を倒してください」」

2013-07-01 00:09:29
前村郷太朗 @kyotaro003

@radicalcradle 言いたい事も聞きたい事も沢山ある。……世界を救う?そんな物語の主人公のように僕が成れると?ありえない申し出だ。僕は他の誰とも変わらない、ただの人間だ。仮に彼女らの言うように、僕に何らかの資質があったとしても……僕には『咎魔』とやらと戦う覚悟はない。

2013-07-01 00:16:07
のこの @radicalcradle

@kyotaro003 ただ、平和な日々を望んでいるだけだ。だというのにこのふたりは。「「さぁ、お救いください。」」と僕に迫ってきている。こんな面倒事に巻き込まれるのは嫌だ。僕は、カバンを持ち直し、二人を飛び越え、後輩を置いて、全力疾走で逃げていったのだった。

2013-07-01 00:29:43
前村郷太朗 @kyotaro003

@radicalcradle 先輩が……行ってしまった。《逃げたってどうしようもないのに……まあ、いずれは覚悟を決めるでしょう》どこからとも無く声が聞こえる。この人達は一体何を…。《あら?そこの少女……驚いたわね。まさか一度に二人も見つけるなんて。何をグズグズしてるの回収なさい》

2013-07-01 00:37:16
のこの @radicalcradle

@kyotaro003 半分呼吸困難に陥りながら、僕は転がり込むように家の玄関に走り込み、そして、そのままチェーンも含めたすべてのカギをかけた。これでもう、さっきの少女たちも入ってくることはないだろう。安心して、玄関に倒れこみながら、僕は先ほどのことを振り返っていった。

2013-07-01 13:10:29
前村郷太朗 @kyotaro003

@radicalcradle 咎魔を討ち、世界を救うだって……?まず『咎魔』って何なんだ。世界を救うという事は、つまり今はその『咎魔』によって世界が滅ぼされようとしてるって事なのか?……もしかして、何度もニュースで取り上げられてる怪死事件もその『咎魔』が原因なのか?

2013-07-01 21:22:59
のこの @radicalcradle

@kyotaro003 なら、怪奇事件の犯人なんて、僕なんかよりも警察に任せたほうが絶対安心だ。なら、このことを警察に話すべきか?........いや、そんなことを警察に話したところで、相手にされないのがオチだ。だったら、もうこのまま放置して、解決してくれるのを待つだけだ。

2013-07-02 00:15:33
前村郷太朗 @kyotaro003

@radicalcradle ふぅ……と深呼吸をし、すっと立ち上がろうと腰を上げた。「なんだ……立ちくらみ?」急な目眩に襲われるが、それはほんの一瞬の事だった。直ぐに目眩は消え、いつもの調子を取り戻す。ただ一つ違う事はと言えば、見た事もない化け物が僕の目の前に居る事だけだった。

2013-07-02 19:51:41
のこの @radicalcradle

@kyotaro003 「ひぇ?」あまりにも情けない声が出た。そして、次第に脳が状況を理解し、恐怖が体を支配していく。そして、心も支配されていく。ウゴケナイ。ダレカ。タスケテ。ナンダコレ。タスケテ。思考だけが先行していくが、体はもう石のように固まっていた。

2013-07-02 20:04:02
前村郷太朗 @kyotaro003

@radicalcradle 怪物は何か言っているように聞こえたが、何を言っているのか全く分からない。ただのうめき声だったのかもしれない。僕は恐怖する中、一切の希望を見い出せなかった。ここで、この化け物に喰われて死ぬ。助かる術は無い。《だらしない。これが新しい時代を担う者とはね》

2013-07-02 20:17:20
のこの @radicalcradle

@kyotaro003 その声は唐突に僕の頭の中に響いた。その声は、次第に頭の中から響かなくなり、その代わり、目の前で響くようになった。そして、その目の前に突然スラリとしたスーツの女性が現れた。「何をしているの。さっさと立ちなさい。そして、さっさと戦いなさい。」

2013-07-02 20:25:40
前村郷太朗 @kyotaro003

@radicalcradle いっそハッキリと「これは夢だから!さっさと起きなさい!」と言ってくれた方がまだ信憑性もあるだろうに、この女性は僕に戦えと言ってきた。それが出来ていれば今頃!と返事をする間も与えず化け物はこちらに襲い掛かる!

2013-07-02 20:39:58
のこの @radicalcradle

@kyotaro003 化物の爪が振りかぶられ、下ろされようとする。でも、それでも、その女性は一切動かなかった。ただ、静かに振り下ろされる爪を見ていた。なぜこの人は何もしようとしないんだ。だが、女性に爪が触れようとした瞬間、パキンと音を立てて、それは跳ね返った。

2013-07-02 20:46:43
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