「幻想郷の終わり」のはじまり、のおはなし

さあ。 EXちゃん、久々の活躍よ
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ルーミアちゃんが強いおはなし @strong_rumia

「紫様」 「何かしら?」 「判っているのでしょう。このままではこの幻想郷が……」 「ええ、判っているわ」 「では、何故あのような連中を野放しにするのですか?」 「……藍」 「何ですか?」 「……私はね」 . . .

2013-07-03 10:24:31
ルーミアちゃんが強いおはなし @strong_rumia

藍の言うあのような連中、とは、先日この幻想郷に流れ着いた3人のルーミアを指していた。 その内の1人は今、紅魔館に居る。 「……違う」 「ぎゃっ」 「違う、違う!」 「あがっ」 「ぐあっ」 「これも違うっ……!」 「ぎゃあっ」

2013-07-03 10:27:38
ルーミアちゃんが強いおはなし @strong_rumia

「あああっ! 違う、違うわ、こんなのじゃない!」 狂ったような一方的な虐殺。 紅魔の図書館は、血の海になっていた。 「666匹全部併せて1人にも満たないッ! 私の居た幻想郷のあの子とは全然違う!」 たった1日で、666体居たこの幻想郷の小悪魔は壊滅した。

2013-07-03 10:35:35
ルーミアちゃんが強いおはなし @strong_rumia

「……おいおい、私のホームステイ先で一体何をしてくれてるんだ?」 そこへやって来たのは、もう1人のルーミア。 どこから調達したのか漆黒のマントを身に付け、黒いオーラを纏った魔道書を携えている。 「あなたは……?」 「私か? 私はルーミア、おそらく名前は君と同じだよ」

2013-07-03 10:39:47
ルーミアちゃんが強いおはなし @strong_rumia

「……がっかりしてた所だけど、少しは楽しめそうね」 「あいにくだが私に楽しむつもりは無い。折角自分に合う魔道書が手に入ったのだから、この図書館の主にちょっとした恩返しをしなければならないんだよ」 翼を生やして銃を構えるルーミアと、マントを羽織り魔道書を携えるルーミアが対峙する。

2013-07-03 10:42:37
ルーミアちゃんが強いおはなし @strong_rumia

一方その頃、3人の内のもう1人は魔理沙の家にやって来ていた。 「魔理沙ぁー、ほら、早く顔出しなさいよ」 ニタニタと笑いながら、チェーンソーを構えて魔理沙の家の中を徘徊するその姿は、まるで映画の中の殺人鬼のようだった。 「くそっ、何だってんだ…」

2013-07-03 10:45:05
ルーミアちゃんが強いおはなし @strong_rumia

「意識が飛んじまいそうだ…」 魔理沙は、その殺人鬼によって右腕を切り落とされていた。 右手に持っていた八卦路は、右手と一緒に置いてきてしまっている。 「使い方…わかんねぇよ、こんなの」 残った左手に握られているのは、以前倒した狂ったルーミアから没収した拳銃一丁。

2013-07-03 10:46:51
ルーミアちゃんが強いおはなし @strong_rumia

「あはは、魔理沙ぁ! 隠れてても血のニオイでわかるのよ?」 殺人鬼のようなルーミアは、チェーンソーで床や壁を削りながら大声を上げる。その姿は、まるで狩りを楽しんでいるようだ。 「奇襲なんてせずに遊んであげるって言ってるんだから出て来なさいよ!」 「そーなのかー」 「あ?」

2013-07-03 10:50:50
ルーミアちゃんが強いおはなし @strong_rumia

その目の前に立ち塞がったのは――“見た目は”普通のルーミアだった。 「何、この世界の私? 随分色々と足りてなさそうな顔ねぇ」 「そーなのかー?」 お互い、似たような顔で、同じようにニタニタと笑いながら首を傾げる。 しかしその笑顔の本質はそれぞれ違っていた。

2013-07-03 10:54:58
ルーミアちゃんが強いおはなし @strong_rumia

「死ねぇっ!!」 殺人鬼のルーミアが、チェーンソーでなぎ払う。 その笑顔は、これから自分が体験するであろう肉を切り裂き骨を断ち切る快感を予期した期待と愉悦の笑みだった。 一方、もう1人のルーミアの浮かべていた笑みは―― 「そーなのかー」 狂気のみが支配する笑みだった。

2013-07-03 10:58:40
ルーミアちゃんが強いおはなし @strong_rumia

そして、同じ頃。 3人のうちの最後の1人は、人里に陣取っていた。 人里全体を闇で覆い、逃げ惑う人間を、応戦しようとした妖怪を、たった一本の剣で切り刻んでいく。 「てめえ達は……死んでくだちい」 その言葉は、口から発せられるのではなく頭上に浮いた球体に浮かび。上がっていた

2013-07-03 11:01:34
ルーミアちゃんが強いおはなし @strong_rumia

「ったく…」 その闇の中に、もう1人のルーミアが現れる。 「似たような姿して、好き勝手やられちゃたまんないわ」 その頭にリボンはなく、その髪は長く、そして胸は豊満で、手には大剣を握っていた。 「さあ。 EXちゃん、久々の活躍よ」 「てめえも 死んでくだちい」

2013-07-03 11:03:28
ルーミアちゃんが強いおはなし @strong_rumia

. . . 「私はね、この幻想郷が大嫌いなのよ」 そう語った八雲紫の瞳は、赤かった。 . つづく

2013-07-03 11:04:33