美術評論家連盟とプレスカード、公立美術館と招待券

美術ブロガーと美術館の関係 - Togetter http://togetter.com/li/527627?page=3 の派生として別枠でまとめました。
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椹木 野衣 Noi Sawaragi @noieu

美術ブロガーの話が盛り上がってるみたいなので、ちょっと違う角度から(まとめチラ読み)

2013-07-05 11:41:06
椹木 野衣 Noi Sawaragi @noieu

1)僕は特別な機会を除き内覧会には足を運ばない。理由は簡単で、わらわらしてゆっくり作品を見れないから。ただ、内覧会に行かないと図録はもらえない(昔は招待状さえあれば後日でももらえたものだか。経費節減? 集客?)。だから図録はショップで購入することになるけど、それでもその方がよい。

2013-07-05 11:42:08
椹木 野衣 Noi Sawaragi @noieu

2)ところで僕は美術評論家連盟に属している。これはパリに本部をおく国際美術評論家連盟(AICA)の日本支部でもある。だからAICAの会員証を持っているけど、実はこの会員証がプレスカードなのだ。つまり原則として世界中どこでもプレスセンターに行けば自由に取材ができることになっている。

2013-07-05 11:44:06
椹木 野衣 Noi Sawaragi @noieu

3)だから招待状がないときでも、この会員証を提示してドクメンタやベネチアにも入っている。多少の手続きは必要だが、美術館の展覧会などでもたいへん重宝する。ところが、である。海外では当たり前に通用するこのプレスカードが、日本の美術館では、受付で提示してもほとんど効力を発揮しないのだ。

2013-07-05 11:46:38
椹木 野衣 Noi Sawaragi @noieu

4)前会長の故針生一郎氏など、わざわざ会員証を出し受付で手間取っていたという。一日に何館も回るのにいちいちこれではとてもじゃないので、大抵は会員証は出さず普通にチケットを買って入るか、招待状がある時はそれで入る。でも、これではなんのために本部に高い会費を払っているのかわからない。

2013-07-05 11:48:35
椹木 野衣 Noi Sawaragi @noieu

5)もちろん会員証で入れる美術館もなくはない。首都圏では近美や都現美、鎌倉(葉山も)や区立では松濤も入れる。広報?がしっかりしている館は招待状を送ってくれるので、会員証は使わず、それで入場することも多い。でも、半分くらいの主要館からは(招待状だけでなく)案内も届かないのが現状だ。

2013-07-05 11:51:51
椹木 野衣 Noi Sawaragi @noieu

6)だから、そういう館で興味を引く展覧会がある時は自分で調べて見に行く。もちろんチケットは窓口に並び自費で購入している。それでも、僕などは知り合いの学芸員の方も少なくないので、まだましな方だと思う。でも、これからはできるだけ積極的にAICAの国際会員証を使ってみたいと思っている。

2013-07-05 11:53:45
椹木 野衣 Noi Sawaragi @noieu

7)大学に属しているから一定の研究費もある。実際、会員の多くは今では大学の教員や美術館の学芸員が大半を占めているので、会員証を提示する機会は国内ではほとんどないからだ。でも、本来はフリーランスという「弱い」立場にある書き手が、ゆえに自由な「強い」力を発揮するための会員証だと思う。

2013-07-05 11:55:56
椹木 野衣 Noi Sawaragi @noieu

8)それゆえ、現役の新聞記者や出版社の編集者は今でも原則、書き手であっても会員になることはできない。逆に、在野のブロガーでも、会員二名の推薦があり、総会で承諾されれば、美術評論家連盟の会員になれるし、国際標準であるAICAのプレスカードを持つこともできる。海外では効力を発揮する。

2013-07-05 11:58:05
椹木 野衣 Noi Sawaragi @noieu

9)だが、新たに美術評論家連盟の会員として認められ、プレスカードを持っていても、国内の展覧会に入るのはまだまだむずかしい。これではいつまで経っても「世界の常識は日本の非常識」のままなので、これを目にした美術館関係者の方は、プレスカードの本来の意義についてぜひ検討していただきたい。

2013-07-05 11:59:04
椹木 野衣 Noi Sawaragi @noieu

10)さすがに国内でもビエンナーレやトリエンナーレといった国際展の取材に招待状が必要で、AICAの会員証が無効とは思えないが、試したことがないのでわからない。皮肉なのは、プレスカードは書く動機次第で対象を限定しないので、国内では東電本社の会見でこの国際会員証が役立ったことがある。

2013-07-05 12:00:09
椹木 野衣 Noi Sawaragi @noieu

(まあ、いろいろと事情はおありかと思いますが)

2013-07-05 12:12:12
小松崎拓男 T.Komatsuzaki @平凡社『TOKYO POPから始まる』 @takuokomart

椹木野衣さんが国際美術家連盟のプレスパスの話をしていたので、さらに別の角度から。なぜ公立美術館で招待状や招待券がなかなか出せないのかということを。1〜7

2013-07-05 15:52:21
小松崎拓男 T.Komatsuzaki @平凡社『TOKYO POPから始まる』 @takuokomart

公立の美術館では招待状や招待券の管理が厳格なところが多い。招待券は金券と見なされる。鍵のかかる金庫などに置かれ、通し番号が打たれ、配布先などを氏名まで記すような記録簿を置いているところもある。多くが管理部門に置いてあり、学芸員などが勝手にさわれない場合も。1

2013-07-05 15:52:51
小松崎拓男 T.Komatsuzaki @平凡社『TOKYO POPから始まる』 @takuokomart

これは公金(税金)で運営している施設だから当然とも思えるのだが、私は無料で入場させるのは、一部の人に対する利益供与だという役所的な考え方からだろうと思っている。かつて役人が知人に配っていて問題になったとも聞いたことがある。不正使用だとして。 2

2013-07-05 15:53:29
小松崎拓男 T.Komatsuzaki @平凡社『TOKYO POPから始まる』 @takuokomart

従って、公立の美術館の場合、知人の学芸員を頼って招待券などで展覧会を見るのは、面倒くさい内部手続きを思うと申し訳がなく気が引ける。館長といえども、顔パスで知人を入れる訳にいかないようだ。これまた不正行為と見なされてしまうからだ。3

2013-07-05 15:53:50
小松崎拓男 T.Komatsuzaki @平凡社『TOKYO POPから始まる』 @takuokomart

招待状も同様に、招待状送付リストがあるのが普通であるが、これもまた公立美術館の場合、美術関係者よりも滅多に美術館に来ないような役所関係者の方が多かったりする。また地方美術館の場合には、近隣の関係者のみ、また逆に都市圏の美術館は遠隔地には招待状を送らないところも多い。4

2013-07-05 15:54:08
小松崎拓男 T.Komatsuzaki @平凡社『TOKYO POPから始まる』 @takuokomart

これはコストの問題でもある。招待状の印刷費、郵送費など100部から200部程度しか作っていないところも多いのではないかと推察する。カタログもレセプションや内覧会当日に限定するのも経費のためだ。美術評論家連盟の会員に招待状を送ってくるのは事務局のある国立近代美術館ぐらいかも。5

2013-07-05 15:54:39
小松崎拓男 T.Komatsuzaki @平凡社『TOKYO POPから始まる』 @takuokomart

学校の無料招待なども手続きや仕組みが複雑。まず減免申請を出し、無料にする手続きをする。友の会の無料パスの場合も減免扱いしている。この減免というのは美術館が予算を建て入場料分を歳入として補填する仕組みになっているところもある。つまり無料ではなく、結果有料ということだ。6

2013-07-05 15:55:56
小松崎拓男 T.Komatsuzaki @平凡社『TOKYO POPから始まる』 @takuokomart

こうした背景には、役所の「受益者負担」という考え方がある。利益を受けたものがその経費を負担するということだ。ここからは無料の招待という考え方はどうやっても生まれない。広告宣伝や取材の便、学芸員の仕事のためといった事柄が入り込む余地はない。杓子定規な考え方のように見えるのだが。7

2013-07-05 15:56:49
土屋誠一 @seiichitsuchiya

美評連の会員で、そんなことまで考えてるのは椹木さんぐらいでしょう。ただ、椹木さんは勿論そういう立場じゃないだろうけど、会員を見る限り、明らかに高齢化しているのは事実で、これは一部の美評連関係者が名誉称号とでも考えているということの表れなんじゃないかと邪推されても無理はない。

2013-07-05 19:48:34
土屋誠一 @seiichitsuchiya

(承前)ここ http://t.co/5Jq1dFA8T6 に美評連の名簿が公開されているけど、私と同年代や年下の美術関係者なんて誰もいないんじゃないだろうか。これは明らかに異常。まるで、公募団体展の会員名簿みたいだ。

2013-07-05 19:51:11
土屋誠一 @seiichitsuchiya

(承前)私みたいな定収入のある物書きなら、別に入っても入らなくてもどっちでもいいけど、椹木さんが指摘するように、特にフリーの物書きの方にとって、美評連のパスカードが機能すれば、すごく身動きとりやすくなるはず。30代ぐらいの、現役バリバリの美術評論家や美術ライターならばなおさらだ。

2013-07-05 19:54:02
土屋誠一 @seiichitsuchiya

(承前)私みたいな定収入のある物書きなら、別に入っても入らなくてもどっちでもいいけど、椹木さんが指摘するように、特にフリーの物書きの方にとって、美評連のパスカードが機能すれば、すごく身動きとりやすくなるはず。30代ぐらいの、現役バリバリの美術評論家や美術ライターならばなおさらだ。

2013-07-05 19:54:02
土屋誠一 @seiichitsuchiya

(承前)定収入のある私ですら、展覧会をめぐって入場料払って、カタログ買って、なおかつ移動のための交通費使えば、展覧会観るのは金かかるなぁ、と思う。足で稼がなければならない美術の物書きにとって、フリーランサーであればなおさらこの出費は痛いはず。

2013-07-05 19:57:05