山本七平botまとめ/日本社会に根付いた西欧的非合理性「殺される側に立つ論理」/~天皇制の害悪の実体とは”軍刀の知識人”が振るった「知的テロリズム(西欧の異端宣告)」~

山本七平著『存亡の条件――日本文化の伝統と変容――』/第四章 合理と非合理/心理的解決としての”終戦”/127頁以降より抜粋引用。
政治 軍刀の知識人 知識人党 山本七平 殉教者自己同定化 本多勝一 存亡の条件 二・二六事件 知的テロリズム 異端宣告 社会問題の自己同定化
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山本七平bot @yamamoto7hei
①氏は「殉教者自己同定」という言葉は使われていないが「知識人党」の名で紹介されているその内容は、まさに同じものといわなければならない。 次にその一部を引用させていただく。(『月曜評論』一九五号、カッコ内は筆者) <『存亡の条件』
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②「この『知識人党』が平和に生活できるのは、武装しているからだが、民主主義国でも全体主義国でも、知識人の武器はモラルである。 モラルはそれ自身が批判であるから、批判の対象にはならない。」
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③「もっとも、全体主義国における知識人はプリンスの意思の前に頭を下げることを拒否し、牢獄や死を賭ける(すなわち殉教をかける)。 一方、自由な民主主義国では彼らのモラルの猿まね、あるいは顔つきだけだ。」
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④「ロシアの抗議者は自己の存在を賭けるが、民主主義国の抗議者は、光輝ある衣裳をまとうために、前者の威信を利用しようと試みるだけのことで、前者は(殉教の)恐怖の中に生き、後者は自分らが、それを非難する贅沢を持つところの政治的習慣によって保護され、快適に生活する。」
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⑤「このシステムは絶妙に機能し使命感を帯びさせる。 彼らは代理によって英雄になる。 北ベトナム支援のデモや署名によってジャングルで戦う無名の人々と自らを同一化する(即ち殉教者自己同定)。
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⑥「同一化が全面的である為には(殉教者への)死刑執行人の目が光る事が必要なのだが、民主主義国にはそんな者はいない。」
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⑦「だから彼らは、自分が喜劇役者であることを認めるか、それとも(今にも殉教する)全体主義世界に生きていると信じ(かつ信じさせ)るかの、どちらかだが、知識人は、むろん後者を選び、自分を迫害の中に生きる英雄に祭りあげる(すなわち殉教者自己同定)。」
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⑧「この時から彼らは正当化され、同時に無限の自由を得るのだ……。 なお、シュフェール氏は、これら『知識人党』による『知的テロリズム』(伝統的表現を使えば西欧の『異端宣告』であろう)をも論じている。」
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⑨「テロリズムとは何か。 『自らの理念を、信仰を、他人に押しつけ、自らの行動を周辺の人に押しつけることを許すところの物理的・知的手段一切をひっくるめたもの』 と著者は規定し、『知的テロリズム』の方法を具体的に説明している……。」
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⑩この問題は、もちろん現代の日本にも存在する。 いわば「正義の側に立つ被害者(殉教者)との自己同定」 すなわち「殺される側に立つ」論理であろう。
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⑪前に本多勝一記者への心酔者、俗にいう「本多教徒」からだいぶ脅迫状(一種の知的テロであろう)を貰ったが、その心的態度の基本にあるものは、ほぼシュフェール氏が説くものと同じであり、この「殉教者自己同定」という西欧の伝統的な非合理性が、わが国にも完全に根づいている事を示している。
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⑫後述する『軍刀の知識人』のこの行き方に苦しめられた経験をもつ一定年齢以上の人に、いわゆる「本多教徒」への嫌悪感はあるであろう。
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⑬だが、西欧がこれに対する非常に強い免疫性と拒否反応をもつ…のに比べれば、日本はそれが皆無に近く、特に戦前は皆無であり、この非合理が絶対の権力を握ってしまうと、これに対してどう対応すべきか、方法を失ってしまう。
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⑭これは現在でも同じで、まだその方法論さえ確立していないのが実情だが、戦前は文字通り決定的であった。 そして昭和初期には、これがさらに決定的であり、この西欧の非合理性と日本的儒教のもつ前述の非合理性が結びつくと、その″知識人党″に対して、誰も対抗する手段をもたなかった。
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⑮これが明治の正の面がすべて負に出てきたと記した理由である。 そして今の多くの人が天皇制の害悪を説くものの実体は実はこれなのだが、ここではその表れ方を簡単に図式化しておくことにしよう。 もちろん、儒教的非合理性もこれと結びついて、強固に存続した。
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⑯皮肉なことに日本に安穏な″終戦″をもたらしたのは、日本的儒教的規範すなわち、一切の問題を自己の内心の問題として心理的に解決する方向、 「耐え難きを耐え、忍び難きを忍び」 であった。
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⑰それでおさまった以上、この規範も強力に生きていたこと、またその逆方向、内心で解決できないことを、社会へと爆発することも生きていたことを示している。 と同時に、 日本的殉教者へ自己同定、 それによる″免罪符″と絶対権の獲得も生きていた。
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⑱戦後わずか五カ月めの「野坂参三帰国歓迎国民大会」の熱狂ぶりがそれを示している。 そしてこの図式は、″役者″をかえれば昭和のはじめにそのままあてはまり、今も、これにあてはまるさまざまな事象がある。
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⑲では次に、以上がどのような形で天皇と結びついたかを、主として二・二六事件を例にとって考えてみよう。

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