山本七平botまとめ/大正自由主義時代のプロテスタント病的傾向を「自由主義」排撃の名のもとに、天皇への無謬性寄託という形で排除しようとした「軍刀の知識人」

山本七平著『存亡の条件――日本文化の伝統と変容――』/第四章 合理と非合理/無謬性寄託現象の危険な膨脹/139頁以降より抜粋引用。
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山本七平bot @yamamoto7hei
①【無謬性寄託現象の危険な膨脹】この場合、その社会は崩壊の危機を内包する。 従って各人はますます「自分は正しい、社会は悪い」と感じ、そう主張せざるを得なくなる。 しかしそう主張すればするだけ、社会の統合は失われ、危機はますます強くなる。<『存亡の条件』
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②この悪循環は、最終的には、無膠性の寄託現象で切り抜けるより方法がなくなるのである。 一定のグループが、自己の無謬性を、ある団体もしくはその代表者乃至は象徴に寄託して、その象徴と同じ言葉を口にし、その象徴に従うことで結合する。
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③こう結合すると、その集団は無謬で、他は全て誤っていることになる。 いわば「私は正しい」から、 「われわれの集団は正しい、われわれ以外の社会は間違っている」 という形になるのである。
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④これは、戦後のさまざまな戦闘的新興宗教団体に見られる傾向で、一言でいえば、これは、無謬性寄託者集団と言ってよいであろう。 いうまでもなく、その集団にも非合理性は存在する。
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⑤ただ、その非合理性は一部を、集団外部へ転化してこれに対して攻撃的姿勢をとることによって排除し、同時に、他の一部は「自己の内心の問題として」宗教的に止揚することによって排除しているわけである。
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⑥戦前はこれが、全国家的規模によって行われた。 いわゆる大正自由主義時代のプロテスタント病的傾向を「自由主義」排撃の名のもとに、天皇への無謬性寄託という形で排除しようとした。 この中心となったのが軍部であり、これが「軍刀の知識人」と「長椅子の知識人」との違いである。
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⑦そしてこれが極限まで進むと、 「日本は正しい、世界は悪い」 という形になり、その表徴である天皇は無謬ということになるのである。 これは、図式として記せば、自己の無謬性を天皇に寄託し、その寄託した天皇の「聖旨を体して」行動することによって、自己が無謬となるわけである。
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⑧この関係は、いわば一方的寄託であるから、天皇がお前の行動は間違っているといった場合、その最終的態度は二つしかない。 一つは、それを天皇の真意ではないと信ずることである。
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⑨自己の無謬を寄託したのだから、天皇の無謬は自己の無謬であり、従ってもしそういう状態にならなければ、「外部」から、この関係を遮断する者がいるはずである。 従って前述の、自己乃至は自己の集団の無謬を主張する者と同じ形で、天皇周辺の外部へと攻撃が向けられる。
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⑩この攻撃を実際に行い、最後までその姿勢を維持しつづけるのが「天皇囚人論」の磯部浅一である。 彼にはこの態度がはっきりと出ている。 もう一つは、無謬性を寄託したのだから、寄託者が何を言おうとそれを無謬とし、自己の無謬性の誤差は、内心の問題として処理してしまう方法である。
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⑪終戦にはこの二つの面がそのまま表れている。 故高見順氏の日記に、玉音放送を聞く迄は天皇が玉砕だといえば玉砕するつもり、しかし一たび放送があり、無条件降伏となればそれに従った、というこの状態がはっきりと示されている。 クーデターを行おうとした者は…磯部浅一と同じ発想であろう。
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⑫結局、無謬性寄託集団はそれが宗教団体であろうと一国家であろうと常にこれと同じ形になるであろう。 ただこの際の「自己の内心の問題としての心理的解決」は、その解決そのものが一種の自己義認となるのは当然である。 というのは、自己義認の為の心理的解決という形になっているから――。
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⑬そこで、その新しい自己義認は、古い無謬性寄託集団を解体さすか、変容さすかして、新しい無謬集団の形成へと進むのである。
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⑭ここで過去とは完全に断絶するが、その断絶期間は、原初の形すなわち「私は正しい、社会は悪い」にもどる。 そしてそれが自己義認の新しい寄託先を求めて、新しい社会的統合へと進み出すのである。

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