ニンジャズ・デン 完結編

日本語版公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 書籍版公式サイト http://ninjaslayer.jp/ ニンジャスレイヤー「はじめての皆さんへ」 http://togetter.com/li/73867
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(あらすじ:ソゴ・セシモト秘蔵のオイランドロイド「ヨナヨ」がニンジャに強奪された。ニンジャスレイヤーはヨナヨの行き先を暗黒非合法探偵行為によってつきとめる。ネオサイタマ郊外の竹林の退廃ホテルを改造した謎のアジト、「ブラッドバス・シアター」である。)

2013-07-07 14:42:34
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

(不吉なその名にたがわず、ブラッドバス・シアターは殺人オークションや薬物、陵辱、虐待、暴力にまみれたソドム空間であった。ニンジャスレイヤーは決断的にこの地に乗り込み、VIPルームへ直行する。そこにはやはりニンジャがいた!こいつはどうみても大惨事が待ち受けるぜ!)

2013-07-07 14:47:12
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……」彼は異様な何かを前方から感じ取り、足を止める。「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」……カラテ・シャウト、そして悲鳴。やがてひとつの足音が近づき、赤黒装束を身にまとうニンジャが、角を曲がって現れた。 1

2013-07-07 14:49:03
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

赤黒のニンジャと対したアルビノの男は一歩後ずさった。赤黒のニンジャの放つアトモスフィアは恐るべきものだ。だが、男は失禁や恐慌には至らない。彼がつい今しがた、VIPルームでこのブラッドバス・シアターのあるじとおぼしきニンジャと、平然とやり取りしていた事を思い出していただきたい。2

2013-07-07 14:51:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……ドーモ。始めまして」アルビノの男はなんと、先手を打ってオジギを繰り出したのである。さらに、頭を上げながら自らの懐に手をいれ、滑らかな動作で名刺を差し出した。「私の名前はエシオです。ピグマリオン・コシモト兄弟カンパニーのエージェントをしております」 3

2013-07-07 14:58:12
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……ドーモ。エシオ=サン」ニンジャスレイヤーは反射的にオジギを返し、名刺を受け取った。アイサツ行為は神聖不可侵だ。「ニンジャスレイヤーです」「お噂は存じております。お会いできて光栄です」エシオは滑らかに言った。「ニンジャを殺しておられると」「その通りだ」とニンジャスレイヤー。4

2013-07-07 15:02:26
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーはエシオに右手を差し出した。スリケン投擲めいた仕草であったが、その手には黒いカードが……彼自身の名刺があった。「ニンジャスレイヤー」とだけ書かれている。他には何の情報も無い。エシオはこれを受け取り、名刺ケースにしまう。「見ての通り、私はニンジャではありません」5

2013-07-07 15:07:14
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「この城の関係者か」「いえ」エシオは首を振った。「我が社として、確認すべき事がありました。その為に訪れたのです」「……」ニンジャスレイヤーはピグマリオン・コシモト兄弟カンパニーの社名と、今回のオイランドロイドの件を容易に関連づける。「成る程。確認か」「……確認です」 6

2013-07-07 15:14:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

エシオは脇にのいた。そして己が歩いてきた廊下を見やった。「オーナーのニンジャに御用があるのでしょう。あるいは……そのニンジャの強奪品に?」「そのどちらもだ」ニンジャスレイヤーは無感情に言った。「彼女は無事でした」エシオは冷たく言った。「少なくとも、私が見た数分前にはね」7

2013-07-07 15:19:58
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニンジャスレイヤーは一歩踏み出す。さらに一歩。エシオは目を閉じ、会釈をした。「……」「……」二者が交錯する。この廊下の空気が重苦しく渦巻く音が聴こえてくるようだ。ニンジャスレイヤーは……駆け出した。その背中を、エシオは一秒間、見送った。 8

2013-07-07 15:25:22
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ターン!隣室と繋がるフスマが勢いよく開かれ、待機していた手下ギャングがぞろぞろと現れた。「いけすかねえサラリマン野郎だったですよね、ボス!」「女どうします」「……」ブロンズ装束のニンジャ……その名をヒートシーカー……はバッファロー革のソファーに踏ん反り返り、彼らを振り返った。10

2013-07-07 15:38:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「見ての通りだ」ヒートシーカーは低く言った。そしてヨナヨの着物を掴み、引き裂いた。「イヤーッ!」「アイエエエ!」白く艶かしい背中が露わだ!「専門家のお墨付きだ。インチキの代物よ」「アイエエエ!」ヨナヨは泣き叫び、布切れと化したキモノで豊満な胸を隠そうとした。 11

2013-07-07 15:45:42
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ただの肉だ、これは。ソゴ・セシモトはこの女にドロイドのフリをさせ……」「ファ、ファックしていいですよね、アバーッ!?」ヒートシーカーの言葉を遮ったモヒカンの額にスリケンが刺さり即死!「ダマラッシェー……」ヒートシーカーは不機嫌そうに呟き、白い息を吐いた。 12

2013-07-07 15:50:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

手下達は恐怖に緊張し、揃って気をつけ姿勢を取る。モヒカンは愚かだった。ヒートシーカーのもと、好き放題の専横が出来るのは、単に許されているからに過ぎない。このブラッドバス・シアターを根城にガス吸引行為やファックに勤しんでいた彼らのもとに、このヒートシーカーが現れたのは一月前。 13

2013-07-07 16:02:28
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

いきなり会合に押し入ってきたヒートシーカーは、まず、彼らのボスであったジュウタロを、彼らに正座見物させたうえで半日かけてゆっくりと殺し、首をはねた。更にその頭から頭蓋を取り出し、この部屋のキモン方角のダッシュボードに、これ見よがしに飾らせた。14

2013-07-07 16:08:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

程なくして、このブラッドバス・シアターは、郊外の鬱屈した不良青年の溜まり場から、より大規模な、血なまぐさい無法の砦へと生まれ変わった。地域の人々の堕落は驚くほどに早かった。さながら悪魔に魅入られたかのように。 15

2013-07-07 16:14:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

周辺地域には何もない。コケシモールには、あまねく住人を充足させる物資と娯楽が十二分に供給されている。だがそれは漂白された画一的な充足である。竹林の奥、凶悪で過激な悪徳を用意するブラッドバス・シアターは、まるで、その漂白過程から零れ落ちた声なき声の掃き溜めのようでもあった。16

2013-07-07 16:27:21
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ソゴ・セシモトはそこの女に、オイランドロイドのフリをさせていた。人間と変わらない最新のオイランドロイド発明と嘯いてな……」ヒートシーカーは瞑想的に言った。手下達は熱心に頷きながら聴いている。モヒカンの死体と、床で震える半裸のヨナヨに、時折視線が泳ぐ。 17

2013-07-07 16:56:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「そうしてカネモチの投資を引き出し、自転車操業に勤しんでいたというわけよ。たいしたファック野郎だ……」「ハイ、ファック野郎ですよ!」スキンヘッド刺青男が合いの手を入れた。「アバーッ!?」額にスリケンが突き刺さり即死!「わかったフリをするな、バカども」「「ハイわかりません!」」18

2013-07-07 16:59:34
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ヒートシーカーはヨナヨの髪を掴み、立ち上がらせた。「アイエエエ!」「イヤーッ!」そして山賊めいて担ぎ上げた。「アイエエエエ!」「ピグマリオン・コシモトからは50%の謝礼が振り込まれた。残りはどうする」「ハイ、わかりません!アバーッ!?」長髪男がスリケン即死!「考えろ、バカめ」19

2013-07-07 17:08:35
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

この部屋に残る手下は四人。三人は死体と化した。ヒートシーカーはスモトリ崩れを睨む。スモトリ崩れは恐怖からくる震えのあまり、白目をむきかけている。泡を吹きながら答える。「そのう、ソ、ソゴを脅します」「……その通りだ。カスめ」ヒートシーカーは冷たく言った。 20

2013-07-07 17:16:50
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「秘密が外部に漏れればソゴはおしまいだ。ゆえに、俺は優しさを見せてやる。俺が奴のビジネスパートナーになってやろう。上納金は九割。良心的と思うか?」「ハイ!」「では九割五分だ」「イヒッ……イヒヒ!」手下達は笑い出した。ニンジャの暴虐が自分達ではなく、他者へ向かう。その嬉しさだ。21

2013-07-07 17:24:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「カシラ……その女とファックするんで?」チョンマゲ男が訊いた。ヒートシーカーは抱えたヨナヨを見下ろす。「当然だ」「どうか……俺たちにも」「フン」ヒートシーカーは侮蔑的に鼻を鳴らす。「くれてやる。搾りカスをな」「や、やった!」手下達は狂った笑顔を浮かべた。ナムアミダブツ……! 22

2013-07-07 17:36:32
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